地下階に設置される倉庫の結露

こんにちは。

設計を行っていると地下階に倉庫が計画されることがよくある。
そんな倉庫だが最近ではよく倉庫内が結露しカビが発生したといったクレームが多い印象だ。
倉庫だからと言って単に3種換気を行うだけでは結露が発生する可能性がある。

今回は地下階に設置される倉庫の結露について結露が発生する要因とその対策を紹介する。

地中温度

まずは地中の温度を紹介する。
以下のリンクによれば地中の温度は年間を通じて15~20℃で安定している。

つまり熱負荷がほとんど発生しない倉庫が地下の外壁に面している場合は壁面温度が15~20℃程度となる可能性がある。

結露が発生する要因

例えば25℃90%の外気を倉庫へ導入する。
一方で地中と面している外壁の温度は15℃だ。
外壁がこれだけ冷やされていると外壁により外気取入れ空気温度が低下する。
つまり24℃、23℃・・・と低下する。

 

上図に空気線図を示す。
25℃90%の空気の露点温度はおおよそ23℃だ。
つまり外気取入れ空気温度が23℃を下回ると結露が発生する。

結露対策

居室の余剰空気を利用する

結露を極力防止するための対策としては居室の余剰空気を倉庫へ流出させることが挙げられる。

夏期であれば居室の空気は26℃50%程度であることが多い。
また居室の空気の露点温度は倉庫の表面温度とほとんど変わらない。
外壁によって居室の余剰空気が倉庫の表面温度まで下がることは考えづらい。
つまり結露が発生しづらくなる。

外調機を導入する

次に考えられる案が外調機を導入することだ。
外調機により強制的に結露しづらい空気を生成する。
但し外調機を導入する場合は冷却だけでなく再熱も行う必要がある点に注意が必要だ。

空気線図で示すと上図のイメージとなる。
一旦冷却を行いさらに再熱を行うことで極力空気温度を上昇させる。
倉庫の表面温度と温度差を設けることにより倉庫内で結露が発生しづらくなる。

再熱を行わないとどうなるのか

通常外調機の吹き出し空気は20℃90%程度であることが多い。
この時の露点温度は18℃程度だ。
吹き出し空気20℃と表面温度が15℃が混ざると倉庫内の温度が18℃を下回る可能性は十分に考えられるだろう。

それなら外調機からの吹き出し温度を15℃まで下げたらどうなるのかと思った方もいるだろう。
倉庫の場合内部発熱がほとんどない。
そのため温度を上昇させる要因がない。
つまり室内が常に15℃90%となる。
湿度が常に90%ということはいつでも結露が発生するリスクと隣り合わせということだ。
例えば扉を開けて意図しない空気が流入した場合、即座に結露が発生する可能性がある。

除湿器を導入する

除湿器を導入することも結露防止に役立つ。
除湿器は大きく冷却式と吸着式に分けることができる。
比較的容易に導入しやすい方式は冷却式だろう。
冷却式除湿器は過冷却した後に再熱を行う。
(つまり再熱コイルを搭載した外調機とほとんど同じ役割だ。)

そのため室内の露点温度を下げることができる。
つまり結露防止に貢献することができる。

まとめ

今回は地下階に設置される倉庫の結露について結露が発生する要因とその対策を紹介した。
本稿により少しでも結露に対しての理解を深めていただければと思う。

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