空調二次ポンプの台数と制御による省エネ効果

こんにちは。

建物の省エネを図る際には、具体的にどのような施策を行えばどの程度の省エネに寄与するかがわからないことも少なくない。
建物全体のエネルギー消費量としては、一般的に特に空調設備が占める割合が大きい。
そのため、空調設備の省エネ施策が建物全体の省エネルギーに大きく寄与する。
しかし、空調設備の省エネ施策と一口にいっても、実際には様々な手法が存在し、効果も建物の用途や使われ方によって大きく異なる。

今回は空調二次ポンプの台数と制御による省エネ効果について紹介する。

空調二次ポンプの概要

空調二次ポンプとは

空調二次ポンプとは建物の中央熱源システムにおいて、熱源機器から空調機やファンコイルユニットなどの各種空調設備に冷温水を送るためのポンプを示す(図中の冷温水二次ポンプ)。

空調二次ポンプの省エネ

空調二次ポンプ省エネ手法
その1 ポンプのインバータ化
その2 ポンプの台数と台数制御

空調二次ポンプの省エネ手法としては大きくポンプのインバータ化とポンプの台数制御が挙げられる。
インバータ化により、配管内の冷温水流量を制御することが可能となり、省エネ化を図ることが可能となる。
また、ポンプの台数制御を行うことで低負荷時において必要最小限の流量で送水することが可能となる。

ケーススタディ

比較検討の概要

空調二次ポンプの省エネ効果について、ケーススタディを行った。
省エネ計算ツールである標準入力法で紹介されているサンプルモデル「事務所モデル(標準入力法)」を用いて検討を行った。
サンプルモデルでは標準でポンプ2台(定流量運転、台数制御有)で入力されている。
サンプルモデルをケース2とし、ポンプを1台としたときをケース1、ポンプを3台としたときをケース3とした。

また、下表のケーススタディの一覧表に示すとおり、さらなる詳細比較として台数制御の有無と流量制御の有無で各ケースを細分化した。
なお流量制御時の最小流量は定格時流量の30%とした。

ケーススタディ一覧
ケースポンプ台数台数制御流量制御
1-11台
1-21台
1-31台
1-41台
2-12台
2-2(基準)2台
2-32台
2-42台
3-13台
3-23台
3-33台
3-43台

比較検討結果

下表にケース別の一次エネルギー消費量と一次エネルギー消費量削減率を示す。
ケース一覧にポンプ消費電力合計値も併記した。

空調二次ポンプに台数制御や流量制御といった制御を見込むことによって一次エネルギー消費量が低減することが確認できる。

また、空調用二次ポンプの台数に着目すると、空調用二次ポンプを2台の場合が省エネ効果が大きいことがわかる。
ポンプの台数が増えるほど低負荷時のポンプの消費電力を低減することができるはずだが、年間の消費電力が増加した。

ポンプの消費電力合計値によってこれらのエネルギー消費量が変化するため、建物ごとに試算することが望ましいと考えられる。

まとめ

今回は空調二次ポンプの台数と制御による省エネ効果について紹介した。
空調用二次ポンプについて台数制御や流量制御を導入することで一定の省エネ効果があることが確認できた。
また、空調用二次ポンプの台数による省エネ化については、建物ごとに試算することが重要である。

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