こんにちは。
中央熱源のシステム設計や衛生設備の設計を行っていると幾度となくエア抜き弁やエア抜きヘッダーといった用語を耳にする。
エア抜きヘッダーは水配管には必ずと言っていいほど設けられる。
だが意外とその役割を理解している方は少ない。
今回はエア抜き弁(空気抜き弁)とエア抜きヘッダー(空気抜きヘッダー)について紹介する。
通常冷温水配管や給水配管などの水配管は常に満水の状態だ。(左図)
もし空気が混入すると右図のような状態となる。
空気が溜まり続けると主に以下の不具合が発生する。
その1 水の流れが悪くなる
空気が水の通り道を邪魔してしまい水の流れが悪くなる。
空気は水よりも軽い性質上どうしても配管上部に滞留する。
そのためエアが溜まった部分については水が通れなくなってしまう。
その2 配管内で異音が発生する
その1に付随するが空気が溜まったところに水が無理やり通るためその部分で異音が発生するようになる。
水が無理に配管内を通ろうとするため配管内で空気が暴れだすのだ。
その3 ポンプが空転する(最悪壊れる)
次はポンプ周辺で空気が溜まっている場合に起こる現象だ。
配管内にたまった空気が何らかの形でポンプに吸い込まれた場合ポンプが空転してしまう。
空転する現象が続くほどポンプに負荷がかかりポンプが最悪の場合故障してしまう。
なおポンプが空転すると必要な圧力で水を送水できない。
そのため必要な箇所に送水できないといったトラブルも起こり得る。
空気(エア)はどんなところにたまるか
次に空気(エア)が実際にどんな場所に滞留するかを紹介する。
その1 配管システムの頂部
配管システムの頂部は必ずと言っていいほど空気(エア)が溜まる。
その2 鳥居配管の部分
空気の方が水よりも軽い。
そのため鳥居配管となる部分についても空気(エア)が溜まりやすい。
そもそもいつ空気(エア)が溜まるのか
次にいつ空気(エア)が溜まるのかを紹介する。
その1 そのうち自然と空気(エア)が溜まる
水には空気が含まれるため水配管を計画する以上は必ず空気(エア)は溜まる。
そのためいつかは必ずエア溜まりが発生し、それを避けることはできない。
その2 メンテナンス時
例えばポンプを更新する場合などはどうしてもポンプの取り外しが発生する。
ポンプの入れ替えに伴い満水であるはずの配管を接続する。
だが接続時にはどうしても空気が混入することが多い。
その3 施工時に最初に水張を行うとき
施工して最初に水張を行うときには配管内は空気が充満している。
(水張を行う前なので配管内は空っぽだ)
これらのときにも配管内の空気が抜けるようにしなければならない。
空気溜まり(エア溜まり)を抜く方法
次に空気(エア)を抜く方法を紹介する。
その1 エア抜き弁
一つ目の方法としてはエア抜き弁を設置する方法だ。
配管頂部にエア抜き弁を設置する。
エア抜き弁から空気を自動的に抜く。
仕切弁はエア抜き弁を更新可能とするために設けられる。
エア抜き弁以降は排水管(ドレン配管)へ導くように計画する。
(エア抜き弁がゴミ噛みした場合の水漏れ対策)
単にエア抜き弁を設ける方法が最も一般的な方法だろう。
その2 エア抜き弁装置
次にエア抜き弁装置を設置する方法だ。
一つ目の方法との違いはストレーナーが設けられている点とバイパスが設けられている点だ。
エア抜き弁はゴミ噛みした場合に水漏れが発生してしまう。
そのゴミ噛みを少しでも防止するためにストレーナーを設ける。
バイパスだがエア抜き弁を使用しなくてもエアを抜けるようにバイパス部に仕切弁を設ける。
その3 エア抜きヘッダー
次がエア抜きヘッダーを設置する方法だ。
エア抜きヘッダーは熱源機械室内で見かけることが多い。
配管が込み合うことと各機器同士をつなぐための配管内に空気(エア)が溜まる。
エア抜き弁をたくさん設けるとその分費用負担も大きくなる。
またエア抜き弁それぞれに排水管も必要なため排水ルートを確保する必要がある。
エア抜きは厳密には仕切弁で行う。
そのためエア抜きヘッダーというよりは実際には排水1箇所に集合させるためのヘッダーという意味合いの方が強い。
なお仕切弁による開閉であるため手動でエア抜きを行うこととなる。
熱源機械室内では最も一般的な方法だろう。
その4 エア抜きヘッダー + エア抜き弁
エア抜きヘッダー+エア抜き弁の場合は方法がさらに細分化される。
一つ目の方法はエア抜き弁をそれぞれの系統に設ける方法だ。
エア抜き弁以降はエア抜き弁により発生する可能性がある排水をエア抜きヘッダーで集合させ排水する。
次の方法がエア抜きヘッダーにエア抜き弁装置を設ける方法だ。
配管が複雑化しやすい。
だが考えられなくはない方法だろう。
まとめ
今回はエア抜き弁(空気抜き弁)とエア抜きヘッダー(空気抜きヘッダー)について紹介した。
エア抜きの理由から改善方法までを案件ごとに確認した上でどの方式とするかを検討いただく材料にしていただければと思う。
コメント