こんにちは。
特に寒冷地では注意しなければならない現象。
それはコールドドラフトだ。
このコールドドラフトを知っているかどうかで寒冷地に対する設計方法はだいぶ変わる。
それと同時に建物の運用が始まってからのクレームの頻度にもつながるほどの内容だ。
特に温暖地域ではコールドドラフトがあまり気にならないかもしれない。
そのためあまりコールドドラフトについて知らない方も多いことも事実だろう。
今回はコールドドラフトについて概念からその対策まで紹介する。
①コールドドラフトとは
コールドドラフトとは冬期に窓等から冷気が室内に流入し足元が冷える現象をいう。
特に窓の断熱性能が低いほど起こりやすい現象だ。
②コールドドラフトが起こるプロセス
例えば室内を暖房している場合を想定する。
22℃と設定し暖房を行う。
暖かい空気は冷たい空気よりも軽い。
そのため暖房された空気は天井付近に集まりやすい。
その窓面にある暖かい空気が窓からの冷気と接触し温度が下がる。(例えば10℃に下がる)
温度が下がった空気は空気の性質上暖かい空気よりも重い。
そのため冷たい空気が足元へ滞留する。
③空気の重さ
空気の重さは厳密には空気密度が影響する。
空気温度が低いほど空気密度が大きい。
一方空気温度が高いほど空気密度が小さい。
そのため空気がより重い冷気の方が室内下部に滞留してしまう。
以下に参考に空気温度別の空気密度を紹介する。
物質 | 温度[℃] | 密度[kg/m3] |
空気 | -100 | 1.984 |
-50 | 1.533 | |
-20 | 1.348 | |
0 | 1.251 | |
20 | 1.166 | |
40 | 1.091 | |
60 | 1.026 | |
80 | 0.968 |
コールドドラフトに対する対策
次にコールドドラフトに対する対策を紹介する。
①窓面に暖房機器を設置
実際に寒冷地で見かけるコールドドラフト対策。
それは窓面に暖房機器を設置することだ。
具体的には電気ヒーターを設置する場合や放熱器を設置することだ。
窓面の空気を暖める装置を設置することで窓面に冷気を発生させないよう配慮する。
冷気が発生しないためコールドドラフトは起こりづらい。
②サーキュレータの設置
次に考えられる案としてはサーキュレータ(エア搬送ファン)を設置する方法だ。
暖気が室内上部に滞留することを利用する。
滞留した暖気を強制的に吹き降ろすことでコールドドラフトを抑制する。
③ペリメーター用の空調を設置(天井)
ペリメーター用に空調を導入しエアカーテンを作る方法も考えられる。
空調により暖かい空気を強制的に作り出す。
そのためコールドドラフトに対しては②案によりもより効果的な方法だ。
但し暖かい空気は冷たい空気よりも軽い性質がある。
そのため吹出口から床面までの到達距離を考えて制気口の選定を行う必要がある。
④ペリメーター用の空調を設置(床)
もし床下にある程度の空間を作り出すことができる場合は床吹き出し空調を行うことも考えられる。
空調空気を床から吹き出し床から吸い込む方式だ。
これにより暖気が室内上部に滞留することを大幅に抑制可能だ。
だが以下の点がデメリットだ。
・建物の階高が上がること
・OAフロアが通常よりも大きく必要なこと
これらはどうしてもコストへ跳ね返ってくる。
まとめ
今回はコールドドラフトについて概念からその対策まで紹介した。
特に寒冷地においてはコールドドラフトに対しより重点的に対策を考えていただければと思う。
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