【初心者向け】実施設計って何? -機械設備として実施設計で行うことを紹介-

こんにちは。

いざ設計業務を始めてみると一体どんな順序で物事を考えたらよいかわからなくなることも多い。
特に設計業務では基本計画(基本構想)や基本設計、実施設計、積算業務等設計業務の中に様々なスキームが存在する。

今回はその中でも機械設備に関する実施設計の実施内容について紹介する。

実施設計とは大きな枠組みでいえば設計の業務内に分類される。
設計は大きく基本設計、実施設計、積算に分類される。
(実際には積算は実施設計の中に含まれることが普通)

その中でも実施設計では設計図の作成や細かな設備仕様の決定を行う期間となる。
主に以下の内容を行う。

実施設計でやること その1 計算書の作成

基本設計で決定した方針に基づきまずは計算書を作成する。
具体的には熱負荷計算や換気計算から行うことが多い。
熱負荷計算では建築の構造体や壁の仕様、窓の仕様を一式拾う。そのうえで各室に必要な空調能力を算定する。
換気計算では部屋の広さや用途から各室に必要な外気量を決定する。

実施設計でやること その2 設備機器仕様の決定

計算書作成の次に行うことが設備機器の仕様を決定することだ。

計算書の結果に基づき各室や建物に必要な機器を一式決定する。
機器の決定と同時に平面上に各室に必要な機器をプロットすることが多い。
機器仕様としては大きく以下の内容を記載することが多い。
(機器により設計図に記載する内容は異なるのであくまでも参考)

記載項目概要
機器番号各図面間で機器仕様を紐づけするために使用
機器名称一般に呼ばれる機器の名称を記載
台数機器の台数を記載
能力室外機であれば冷房能力、暖房能力 ポンプであれば流量や揚程を記載
消費電力機器に必要な消費電力を記載
参考重量機器の重さを記載
遠方発停機器の運転方法や警報の要否を記載
設置場所設置場所を記載

実施設計で行うこと その3 電気容量、荷重の伝達

機器の仕様や設置場所を決定したのちに、他分野へ電気容量と荷重を伝達する必要がある。
電気容量は電気設備設計者へ伝達を行う。
電気容量を電気設備設計者へ伝達をしないと電気設備設計者からすればどこにどれだけの電気を準備したらよいかが確定できない。
また荷重については構造担当者へ伝達が必要だ。
構造側で設備の機器荷重を見込んでもらわないと建物が崩落するリスクすらあるため注意が必要だ。

機器荷重を伝達する際は機器を設置するために必要な基礎や架台の寸法も併せて伝達する必要がある。
基礎や架台も荷重に影響するからだ。

なお基礎と架台については意匠担当者へも伝達が必要だ。
これらは建築工事で行われることが多いためだ。

実施設計で行うこと その4 平面図、平面詳細図、系統図の作成

機器と機器や器具は通常配管やダクトで接続される。
それらのつながりを平面図、平面詳細図、系統図でそれぞれ表現する。
配管やダクトはただ単線で書けばよいというものでもない。
実施設計では配管やダクトの大きさについても記載する必要がある。

平面詳細図は機械室内やトイレ内等配管やダクトの量が比較的多い部分に対し作成される。

実施設計で行うこと その5 設計段階最後の調整

実際に平面図を描くと本来基本設計で予定していた配管、ダクトルート通りに計画できないことに気づくこともある。
そんな場合は早めに意匠、構造と相談し問題を解決する必要がある。
本当は基本設計でこれらのスペース関係は担当者間で調整しきるものだ。
だが実際には限られた時間や条件の中で完全に調整しきることは難しい。
そのため分野間で不整合に気づいたら早めに打合せをし変更することが望ましい。

だが注意したいことが変更を加えることで平面、断面が変わる。
変更が多くなるほど手戻りが多くなり、貴重な実施設計期間をどんどんとひっ迫させる要因となる。
その点だけは常に念頭に置きながら調整されたい。

実施設計で行うこと その6 役所協議

機械設備図面の大半を作成したら順次役所に協議に行く必要がある。
機械設備でいえば水道局や下水道局、消防や保健所だ。
(その他にも採用した設備機器により往訪しなければならない場所が増えることもある)
消防や保健所は機械設備だけではなく他分野の担当者も通常往訪するため各担当が揃って同時に往訪することが多い。

役所協議では作成した図面の内容でよいか事前に確認を行う。
事前に相手側と合意を得ておかないと、後になっていきなり「これじゃだめだ」と言われてしまう。

設計は普通、後になればなるほど大きな変更ができなくなる。
また些細な変更でも関わる人が増えるため変更に対する労力も増加する。

特に消火設備については建築確認申請時(設計図の内容が法的に満足しているか審査機関による確認)に図面が消防へも共有される。
設計業務の最後に大幅変更が必要な指摘があった場合、どうしようもなくなることもある。
事前にいかに各諸官庁へ根回しをしておけるかが設計業務をスムーズに遂行できるかのカギだ。

消防の話ばかりになったが上下水、保健所についても役所協議が必要だ。
上下水は設計段階で事前協議書を諸官庁と交わす必要がある場合がある。
また保健所の場合は特定建築物とみなされる場合、衛生基準に満足しているかの事前審査もある。

これらの手続きに意外と時間を要する。
そのため時間には余裕をもって行動することをお勧めする。

実施設計で行うこと その7 省エネ計算書

図面が完成したら早めに省エネ計算に取り掛かる必要がある。
現在では延べ面積300m2以上の非住宅建物については省エネの適合義務がある。
建築確認申請の時点で必要な書類にもなるため早めに省エネ計算書を作成することが望ましい。

なお省エネ計算書は「モデル建物法」と「標準入力法」の2種類に大別される。
特に省エネ性能の数値を気にしない場合は比較的計算が容易な「モデル建物法」で計算を行うことが多い。
一方で最近ではZEBやカーボンニュートラルが世間的に流行りだ。
そのため省エネ性能を対外的に証明する場合はより計算が複雑な「標準入力法」が用いられる。

なお300m2以上の非住宅建物の場合で省エネ基準値を満足しない場合は機器の仕様などを見直すことになる。
そんなことにならないために基本設計時から粗概算で構わないので計算しておくことをお勧めする。

実施設計で行うこと その8 建築確認申請

確認申請では建築基準法に基づき審査が行われる。
(図面の内容が法的に適合しているか審査機関により確認される)
フローとしては概ね以下の通りとなる。
(自治体により若干異なることもあるが大きくは以下の通りだ)

確認申請時の設備的確認内容について機械設備でいえば大きく以下の内容について確認される。

確認項目概要
換気計算シックハウスの観点や1人当たりの必要外気量について確認
防火区画貫通部防火区画貫通部にFDが見込まれているかどうか確認
SD,SFD階をまたいでダクトが計画されている場合 適切にSD,SFDが計画されているかどうか確認
静圧ファンの必要静圧が確保されているか確認
上水吐水口空間が確保されているか確認
排水排水配管の流量と径が適切に計画されているか確認

まとめ

今回は機械設備に関する実施設計の実施内容について紹介した。
本稿より大枠としての実施設計での作業内容を把握いただければと思う。

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