こんにちは。
建築設備設計者は設計者の一人だ。
設計者であると同時に実は営業職のような一面もある。
なぜならクライアントとの打ち合わせ時に設計方針や設計内容についての合意およびクライアントの要望などを聞き出さなければいけないからだ。
ただ建築設備は比較的専門性が濃い分野だ。
そのため建築設備に対してクライアント側の理解度がない場合がほとんどだ。
つまり専門的な内容を極力かみ砕いたうえで各種事項を説明する必要がある。
皆さんも経験があるかもしれないが文字だけの契約書や説明資料では意味が全く分からない経験をしたこともあるだろう。
また参考書でも同じだ。
文字だけの参考書と絵がふんだんに使用されている参考書ではどちらの方がより理解できるだろうか。
答えは明白だ。
イラスト(ポンチ絵)があるだけで設計業務をうまく進めることが可能となる。
今回は建築設備業界におけるイラスト(ポンチ絵)の使い方とメリットデメリットを紹介する。
専門用語であるポンチ絵を知らない方も多いだろう。
ポンチ絵とはいわゆるイラストや絵のことだ。
イラスト(ポンチ絵)については以下のリンクにまとめているので詳細を確認したい方はどうぞ。
イラスト(ポンチ絵)の使い方
比較表
設備設計を行っていると実に様々な比較表を作成する。
例えば熱源比較表や空調比較表だ。
比較表では各方式等について様々な特徴を定性評価で比較したのちにコストについて定量評価を行うことが一般的だ。
その際に比較表の各方式がわかりづらいことが多々ある。
理由としては方式名が既に専門用語だからだ。
例えば空調のイロハも知らない人に「ターボ冷凍機」や「モジュールチラー」といっても理解されない。
そんな時に各方式のイラスト(ポンチ絵)を添えるだけでかなり理解されやすい資料に変貌する。
例えば2つの空調方式について文章だけの場合とイラストを併用した場合を見てみよう。
文章だけの場合
比較表 | 空調方式< |
A案 | 空調機単一ダクト方式 |
B案 | 空調機 + ファンコイル方式 |
イラスト併用の場合
A案:空調機単一ダクト方式
B案:空調機 +ファンコイル方式
空調を知らない人を想像してほしい。
文字だけの場合とイラストがある場合では、圧倒的にイラストが併用されている方がわかりやすいと思われるはずだ。
設備システムの詳細説明
次に紹介する内容は設備設計職だからこそイラストが求められる場面だ。
設備システムの詳細を説明、打合せする際にはどうしても言葉だけ伝えることは難しい。
図面があれば図面をもって説明でも良いだろう。
だが図面がある程度出来上がるタイミングは設計後半だ。
そのためまずはイラストベースで打合せすることが得策だ。
例えば中央熱源でファンコイルユニットを使用する際の2管式、4管式の範囲について文章だけでの表現とイラストを用いた表現を比較する。
文章のみの場合
空調配管の2管式、4管式の範囲はどこまでがよいでしょうか。
(当然それぞれのメリットデメリットは説明するとして)
①全館2管式とする。
②立ち上がり部分までは4管式とする。
③各階の枝管も4管式とする。
イラスト併用の場合
イラストの方が圧倒的に理解しやすいのではないだろうか。
また文章だけの場合今一度の範囲までが4管式なのか、人により思い描く内容が変わる可能性すらある。
イラストを使用しないと解釈に齟齬が生じる
前項でも紹介したがイラストを使用せず文章のみで説明することで「どの範囲」で「どの対応」とするかなどの解釈が人により異なる可能性がある。
特に設計は他の事務業務などと異なりルーティン作業ではない。
そのため「どの範囲」で「どの対応」とするかは正解がない。
正解がないが故にイラストを用いて細かな部分まで打合せしておかないと、設計手戻りにつながる。
あるいは何度も打合せを行うことになる。
イラストを描いて頭の中を整理
イラストを描くことで設計者自身の頭の中を整理することができる。
イラストを描くとわかることだが思ったよりも細かな部分まで表現が必要だ。
その細かな部分の問題が表面化する。
表面化した問題を一つずつ整理してイラストを完成させることで結果的に設計者自身の頭の中を整理することができるのだ。
まとめ
今回は建築設備業界におけるイラスト(ポンチ絵)の使い方とメリットデメリットを紹介した。
イラストを使用することで圧倒的に設計をスムーズに進めることが可能だ。
そのため手書きでも構わないので少しでもイラストを使用してより分かりやすい資料構成にすることをお勧めする。
コメント