今回は厨房排気がある室の空調の考え方を書いてみる。
厨房排気がある場合に空調がそもそも必要なのか、もしくは生外気でも良いのではなどいろいろな考え方があるかと思う。
まずは厨房の空調について概要を踏まえてから、室負荷を構成する要素を整理する。次に各設備機器が受け持つ負荷および空調方式の考え方について説明する。
厨房の空調と考えるとどのような空調設備を想像するだろうか。
基本的には家庭用のエアコンとはだいぶ異なるスペックが導入される。
というのも厨房ではコンロから出る発熱や機器から湯気が出ることもあり基本的には機器上部にフードがつくことが普通である。
フードがつくということはそこから空気が排出されることに直結するため、その分の空気を供給する必要がある。
その空気の量が厨房の場合だとかなり大きいケースが多いため一度に大量の空気を送風できるシステムの構築が必要となる。
そのため一般に個別空調システムでは外気処理パッケージを導入するケースが多い。
外気処理パッケージとは室内機の一つで外気の空気を冷却加熱コイルで音調したうえで室内に供給する機器である。
一度に大風量の空気を温調したうえで供給が可能となる。
熱負荷構成要素
熱負荷は大きく分けて外気負荷と室内負荷に分類される。さらに室内負荷は壁や屋根、床からの室負荷や窓からの負荷、その他人からの負荷に加えて機器からの負荷が存在する。
(もっと細かく言うと他にもあるが複雑になるので割愛する)
標準的な空調方式
標準的な空調方式としては一例ではあるが、外気処理パッケージ+室内機があげられる。
外気処理パッケージで外気負荷を処理し、室内負荷でその他の室内負荷を処理する。
厨房からの機器発熱は上部にフードを設けることで吸い取るため加味しない。
厨房からの排気
厨房からの排気としてフードを設ける場合は排気フードのからの面風速0.3m/s以上。
その他発熱量x30CMHやガスを使用する場合や電気を使用する場合により異なるが基本的には法的に決まっている数値なのでそれに従うべき。
外気処理パッケージを使用する理由
外気処理パッケージを使用する理由としては大きく2つある。
(中央熱源の場合は外調機を用いることが自然かと思われる)
①外気量がおおいと生外気の場合だと室内空気状態が外気に近くなること。
②外気量が多いと内部結露が発生しやすいこと。
①の外気量が多い場合について
外気量が多いと例えば夏期においては30℃近い空気が常時厨房内へ流入することとなる。単純に室内にいる人は暑いと感じるので外気を処理する機器があるとよい。
考えようによっては室内機に外気負荷分を持たせればよいなどと考える方もいると思うが、生外気が室内に入った時点で急速に外気を冷やすことはできない。風量が多ければ多いほど温度ムラが激しいことにつながる。
②内部結露について
最近ではどの案件においても問題になりがちでだが、生外気を入れると単純に結露する可能性がある。
特に厨房は人が口にするものを扱うため結露が発生する環境は極力避けるべきである。
室内機の要否
室内機の要否はケースバイケースだと考えられる。
外気処理パッケージからの風量が多い場合室内負荷割合がたかが知れていることになるのでオールフレッシュ分だけでほとんど室内温湿度環境が変わらない可能性がある。
一方で外気量が少ない場合は室内循環空気量も少なくなるため別途で室内機の導入をお勧めする。
まとめ
厨房の空調は基本的には以下が望ましい。
①個別熱源・・・外気処理パッケージ+室内機+排気ファン
②中央熱源・・・外調機+室内機+排気ファン
ただし室内機については実際に導入する外気量により要否を判断することが必要となる。
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