ストーリーや内容がよくわからない学生の梗概を読む機会があったので
梗概の書き方について書いてみる。
梗概の書き方ひとつで内容はともかくとしてその人の思考力や文章の構成力が垣間見える。
そんなところで自分自身の評価を下げること自体もったいないので梗概の書き方くらいは覚えておくとよい。
そもそも学生の方には梗概とは何ぞや?とはてなマークがつくケースが多い。
確かに梗概というワード自体そもそも普段から使用することがないので当たり前と言われれば当たり前。
そんな状況なので、梗概と研究の違いも学生の視点からすればわかるわけもない。
なので梗概と研究の違いを紹介する。
【梗概】
自分の行った研究についてどのような目的で研究を行いどんな条件でどんな結果が得られたかをまとめること
【研究】
まだ明らかになっていない事柄を明らかにすること。
その事柄が有益であること。
研究そのものは何か物事を明らかにすることの行為を示す。
一方で梗概はその研究結果をレポートのような形式でまとめることを指す。
梗概の文章構成
大きな梗概の構成は以下の通り。
①研究背景
②研究目的
③境界条件
④研究結果
⑤まとめ
次項から各内容について昨今のコロナウイルスの事例を例に挙げながら、詳細に説明する。
①研究背景
まず人はなぜ研究するのか考える必要がある。
前項で説明した通りだが研究とは明らかになっていないことを明らかにすること。はたまた有益出ること。
ということは研究をするためにはその研究背景の説明が必要不可欠だ。
何のために研究をするのか。本研究により何に貢献できるのか。
それが語られていない梗概は梗概とは呼べないと筆者は考えている。
例)
古今のコロナウイルスの影響により建物内の換気の重要性が極めて高まりつつある。
換気については除塵に関する研究や換気風量に関する研究は既に多くで研究がなされている。
一方で制気口の配置による換気効率や室内換気回数と制気口の設置位置による換気効率については研究がまだ不十分な状態である。
いくら換気の量を増やしたところで室内全体がある程度均一に換気できないと換気回数で換気が十分であるか定量的に判断することが不可能。
また設計時においても通常換気回数や換気量のみ配慮し吹出口の位置等を考慮されないことが多い。
このような状況から室内の換気効率を極力向上させるためにも換気回数と制気口の位置に配慮が必要である。
②研究目的
研究目的の章では基本的には研究背景とリンクすることが多い。
研究背景で記載した内容をそのまま転記するような格好でまとめるとストーリーがぶれずにまとめることが可能。
ここで記載する内容は目的以外にも研究フローについても述べる必要があるので注意すること。
例)
本研究では制気口と換気回数の観点から室内換気効率に関する研究を行う。
制気口の種類と通常設計で用いられる換気回数について整理したのにち、シミュレーションによる机上計算を行う。
机上計算により換気効率を配慮した適正な制気口の配置とその制気口からの風量を確認する。
③境界条件
建築設備の場合は実験だったり、検証などが多いと考えられるだろうからまずは必ず条件を述べること。
よく学生の梗概で見かけることが多い問題としては条件を全て出し切らずに結果を述べてしまうこと。
結果で吐きでてきた内容で疑問を感じるとすれば、そもそもなぜそうなったのかがわからないから
(条件を伝えきれていないことと同じ)
研究の条件がわからないと結果がいくら述べられててもそれが妥当であるのかすら判断ができない。
さらにいうならその条件とした理由にもストーリーを作ること。
そうでないと単発に条件を言うだけになってしまい、聞き手側が耳に入ってこない。
例)
制気口の種類にはE2をはじめVHSやバンカータイプなど様々な種類がある。
右図(ここにはないが)に事務所における建物別制気口数量表を示す。
対象は東京都に実在するオフィスビルの合計300件を対象とした。(実際には300件に対する理由と東京を対象にした理由が欲しい)
横軸に制気口の種類、縦軸に各制気口の積算数量を示す。
積算数量は各オフィスビルにて主に使用されている制気口を1として積算した。
多くの事務所では主にVHSが使用されていることがわかる。(例文なので本当かどうかはわからない)
そのためVHSを対象とする。
また建物別制気口風量表を示す。
対象建物は先ほどと同じとし横軸に制気口および制気口1個あたりの風量を示す。
風量は主に400CMH程度が多いことを確認した。(例文なので本当かは要確認)
次に設計段階で用いられる風量を示す。
建築設備設計基準では事務室用途の場合0.15人/m2に対する換気量30CMHを見込むことが記載されている。
そこで本研究ではVHSおよび400CMH/個の制気口を30CMH/人を基本とし右図で示す種類にて机上検討を行う。
(室形状や使用するシミュレーションツールについても同様に前段で触れること)
④研究結果
結果の部分では事実以外は基本的には語らないこと。
文字数稼ぎのためによく考察など入れてしまうひとがいるがそれではただのレポート。
梗概では事実だけを淡々と述べること。
それとグラフを用いる場合は必ず読み方を記載すること。
自分では理解してても初めてみた人が本当に理解できるかを必ず確認のこと。
⑤まとめ
まとめのページでは研究概要(行ったこと)と簡単な条件、結果を淡々と語ること。
もし余裕があるのであれば展望を記載しても良い。
(この研究が何か他のことに寄与されるなど)
最後には必ず参考文献を記載すること。
よくありがちなのが明らかに文中引用された文章なのに引用元が分からないケース(探しようがない)
まとめ
簡単ではあったが梗概の書き方について大まかに説明した。
一度慣れてしまえば梗概の書き方自体に苦労することはないと思うがそもそも梗概を知らなければ梗概を書きようがない。
本内容を参考にして頂き始めて梗概を書かれる方への参考とされることを望む。
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