危険物を屋内に貯蔵すると大変危険な屋内貯蔵所
設計を行う上で屋内貯蔵所という単語が出てきたら要注意。
屋内貯蔵所では通常の小屋などに設置する危険物や地下埋設タンク(危険物)と違い明らかに必要な消火設備が異なり実際に危険物さえなければ設置する必要がない消火設備を設置する必要がある。
そんな消火設備だが一番問題なことは危険物の申請自体確認申請で確認されることもないので、設計の後半もしくは現場に入ってから消火設備が不足していることが発覚することが多々ある。
(危険物にまつわる法規関係は非常に難解なため既に経験がある方も多いと思うが、。)
それらが発覚すると別途消火設備に必要な室もしくはスペースを設ける必要があるのでいまさらそんなスペースを確保すること自体が困難なため大変なことになる。
今回はそんな問題を極力避けるために屋内貯蔵所で特に指定数量10倍以下に絞り説明する。
屋内貯蔵所とは建物の一部に危険物設置室を設け指定数量合計1以上を貯蔵する室をいう。
建物の一部という部分で消防法上区分される。
消火設備の分類
消防法上各消火設備は1-6種までに分類される。
各分類は以下の通り。
1種_屋内消火栓、屋外消火栓
2種_スプリンクラー設備
3種_泡消火設備、ガス消火設備、固定粉末消火設備等
4種_消化器、CO2消化器、移動粉末設備など
5種_砂バケツなど
屋内貯蔵所に必要な消火設備
屋内貯蔵所に必要な消火設備
屋内貯蔵所を設置する時点で最低でも2種もしくは3種の消火設備の設置が必須。
なお保管される危険物の種類により使用ができない消火設備があるので所轄消防と十分に事前協議を行うことをお勧めする。
事例紹介
ちなみに筆者が経験したパターンを紹介する。
ある一室(屋内貯蔵所)に危険物として石油類とアルコール類を設置していた。
たまたま消火設備として泡消火設備を駐車場用に導入していたため配管延長とアラームベンの設置程度の追加かと考えていた。
しかし実際に消防協議を行うと答えは屋内貯蔵所について泡消火での警戒は不可。
理由を聞いてみると泡消火設備側の使用している薬剤が石油用(ガソリン用)とのこと。
つまりアルコールによる火災発生による消火設備とは適さないとのことだった。
したがって次に考えうるのはガス消火設備の導入。
ガス消火についても窒素ガス消火設備を熱源機械室や電気室(いずれも200m2超)用に設けていたため配管延長、避圧口など必要設備の設置かと考えていた。
結果的に所轄消防より窒素ガスの使用を認めてもらえたものの、所轄消防によっては危険物に対するガス消火設備は未だにCO2ガスによる消火が必要とのこと。(メーカーヒアリングによる)
昨今CO2ガスの誤作動で亡くなった方もいるのにも関わらず方が追いついてない状態だ。
危険物の問題を解決するために
未然に問題を防ぐために
そんなことを未然に防ぐためにも以下に設計初期の段階で打合せ先から情報を引き出すことが重要だといえる。
いくら法について勉強してもそもそも知らないことについては誰かから聞かない限りは知るよしもない。
少しでも不安だと思った際は身近にいる誰かに聞くか危険物の検査を行う行政先に聞くしかない。
始末が悪いのは危険物関係は計画通知や確認申請で危険物については触れずに済証が降りてしまうこと。
一個人としては法的な穴だと思うのだが建物の基礎着工時点で危険物の申請と時期がずれていることから設計者側が見落としやすい要因となっている気がする。
まとめ
今回は消防法上屋内貯蔵所に関する留意事項を紹介した。
危険物関連の法規の見落としが設計手戻りの直接的要因にならないよう願う。
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