省エネ法上のBEI値を計算上で向上させる方法

はいこんにちは。
今回は省エネのBEIについて。
特に設計上通常は実施設計を終えるころに省エネ計算を行うが行った際にBEI値が1.0を下回らないことが時々発生する。
また官庁物件で事務所用途の場合はBEI≦0.90が求められるためよりシビアな計算が必要となる。
基本的に個別熱源で電気式パッケージを採用している場合は特にBEIで悩むことはないかと思う。
一方官庁案件の場合は中央熱源かつ吸収式冷温水機を採用するケースが過半であるため
特に吸収式冷温水機を採用する場合はBEIが高くなる傾向となるため特に省エネ法の計算を見直しBEIを極力改善することが重要だ。
今回は省エネ計算の各項目を紹介したのちに省エネ計算上よく見落としがちなポイントを紹介する。
なお今回は通常よく使用されることの多いモデル建物法による場合として紹介する。

省エネ計算上の各項目

省エネ計算上以下の項目毎に評価を行う。

BEIac=空気調和設備
BEIv=  換気設備
BEIl=   照明設備
BEIhw=給湯設備
BEIev=昇降機設備
BEIpv=太陽光設備

上記の各項目に大別される。
仮想モデルの基準値を各項目1.0とし1.0に対する良しあしで省エネのBEIが算定されることとなる。
例えばモデル建物法上事務所用途で6地域の場合各比率項目が占める比率は以下の通り。
BEIac=空気調和設備・・・49%
BEIv=  換気設備・・・・・4%
BEIl=   照明設備・・・・・25%
BEIhw=給湯設備・・・・・1%
BEIev=昇降機設備・・・・1%

太陽光設備については発電した分だけBEIの値が改善される。
また昇降機設備についても輸送能力係数の見直しにより基準値そのものが変わるので注意が必要だ。

空気調和設備の見直し

空気調和設備で見直すポイントとしては計算対象外となる室を再確認することだ。

例えば低温室といった明らかに普通の温度条件とは異なる室だ。
低温室の空調の装置容量は明らかに事務室用途(事務所モデルの場合)にそぐわないため計算対象外となる。
また実験室なども同様に計算対象外となる。
というのも実験室毎に室の使われ方が大きく異なるため定量的な評価が難しいためだ。

換気設備の見直し

換気設備についても見直すポイントが多々存在する。

例えば三相電源のファンで定格消費電力が0.75kW以上の場合は高効率モーターを採用できるため評価が可能だ。
また単相ファンについてはモデル建物法の解説によれば0.75倍乗じてよいこととなっている。
更に極めつけは天井高さ補正を見込んでよいこと。
例えば天井高さ6mの室に設置されている換気ファンは2.7m(仮想天井)÷6.0m=0.45となり0.45を乗じてよい。
そのため上記計算を見直すことで大幅にBEIが改善される可能性がある。

またサーバー室に設置の空調などの見直しについても換気設備で評価となる。
サーバー室などについては空調設備を2重化しているケースもあるためその場合はバックアップ分の空調設備は評価対象外とできる。

照明設備

照明設備では特に大きく見直すことができる項目は存在しない。
だがLED等については日本照明工業会による「照明エネルギー消費係数算出のための照明器具の消費電力の参考値」を用いることでBEIを改善できる可能性がある。

給湯設備

給湯設備については大きくBEIを改善することができない。
改善項目があるとすれば保温仕様を見直すくらいだ。
保温仕様については標準仕様書によるものとし特記仕様書などに記載されていないこともある。
そのため省エネ計算上保温仕様が裸管のままのケースがある。

まとめ

今回は省エネ計算の見直しについて紹介した。
特に省エネ計算時には大半のスペックがすでに確定していることが多いため後からのスペック見直しは設計工期に大きく影響が出てしまう恐れがある。
そのため省エネ計算自体の見直しを行うことが先決でそれだけで要求されているBEI値を満足できれば設計スペックの見直しまでは波及しないで済む。
特に省エネ計算で苦労されている方への参考になればと思う。

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