いつもいつも現場段階へ入ったときにガラリの面積が足りないなどと施工者から指摘を受けることはないだろうか。
それもそのはずで知らず知らずのうちに設計で調整したはずの面積から大きく変わることが少なくない。
要因はたくさんあるが(室面積が変わり設計風量そのものが変わってしまったり、単純に間違えていたり)現場段階で少しでも手戻りを少なくすることで設計サイドの労力の省力化へつながる。
今回はガラリの必要面積の基本的な求め方をはじめ、設計時に余裕を持ったガラリ面積の調整方法について紹介する。
ちなみにドアガラリとアンダーカットの必要有効面積について知りたい方はこちらから↓
“ドアガラリとアンダーカットの有効面積の求め方”
またガラリ面積の簡易計算ツールはこちらから。
建築設備設計基準では以下のように表記がある。
外気取入れ側のガラリは面風速3.0m/s以下
排気側のガラリは面風速4.0m/s以下
外気取入れ側のガラリが排気側のガラリより面風速を抑える理由は主に雨の侵入と騒音の発生だ。
面風速が速いほど雨を吸い込んでしまいやすい。
またガラリ部での風きり音が大きくなりやすい。
そのためそれぞれ面風速に制限が設けられている。
ガラリの有効開口の算出方法
まずはガラリに接続される風量を確認することが大切だ。
次にそのガラリが外気取入れ側の用途で使用されるかそれとも排気側の用途で使用されるかを確認する。
次にガラリの有効面積を求める。
数式は以下の通りとなる。
ガラリ有効面積の計算式 | |
---|---|
基本的な式 | ガラリ有効面積[m2] = 風量[CMH] ÷ 3,600[s/h] ÷ 面風速[m/s] |
外気取入れガラリ | ガラリ有効面積[m2] = 風量[CMH] ÷ 3,600[s/h] ÷ 3[m/s] |
排気ガラリ | ガラリ有効面積[m2] = 風量[CMH] ÷ 3,600[s/h] ÷ 4[m/s] |
計算例
外気取り入れガラリで給気風量が1,000CMHの場合における必要なガラリの有効面積は0.093m2となる。
排気ガラリで給気風量が1,000CMHの場合における必要なガラリの有効面積は0.070m2となる。
注意しなければいけないことが上記で求めたガラリ有効面積はあくまでも有効面積だということ。
ガラリ自体の開口率は見込んでいないため注意が必要だ。
ガラリ面積の求め方
前項ではガラリの有効面積を算出した。
次は開口率を考慮したガラリ面積を算出する。
ガラリの有効開口率
建築側の公共工事標準仕様書ではガラリ開口は30%とすることと記載がある。
実際にはガラリ開口率は30%だけではなく35%や50%など存在する。
但し特に50%の場合はほとんどスカスカなガラリとなるため、ガラリを通じて雨が内部に侵入しやすいため注意が必要だ。
なお、ガラリの有効開口率や実際の形状は意匠担当が決定することとなる。
そのため機械設備設計者はあくまでもこれだけの面積が必要だと要望を伝達する形になる。
ガラリ面積の計算式 | |
---|---|
基本的な式 | ガラリ面積[m2] = ガラリ有効面積[m2] ÷ 開口率[%] |
計算例
例えばガラリの有効面積が0.093m2で開口率が30%の場合は、ガラリ面積は0.310m2となる。
余裕を持った数値で建築とガラリ面積を調整する
冒頭に申し上げた通りガラリ面積は設計の最中にコロコロと細かな数値が変わりやすい。
そのため最初からある程度余裕をもって建築と調整をしておくことで多少変わったとしても特に再度調整するなどといった手間が省ける。
具体的にはガラリの有効開口面積A’およびガラリの開口面積それぞれに1.2倍を乗じること。
基本的に1.2倍も見込んでおけばそもそも計算間違いなどをしていない限りは大きな問題とはなりにくいためおすすめだ。
1.2倍が小さいか大きいかは今後設計を行っていくうちに独自の数値追い求めていけばよいかと思う。
計算例
例えば、外気取り入れガラリで風量が1,000m3/hを想定する。
その時の面風速は3.0m/sとなる。
安全率を1.2倍とした時のガラリ有効面積は0.112m2となる。
開口率が30%の場合は、ガラリ面積は0.374m2となる。
まとめ
今回はガラリの基礎的内容から実際にガラリの必要面積の算出方法について紹介した。
特にガラリ面積は設計途中で細かく変わることがありその変わった数値が現場段階で問題として発覚することが多い。
そのためガラリ面積に余裕を見込むことをお勧めする。
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