ガラス性能とブラインドによる熱負荷の変動 2022.07.112024.01.07 こんにちは。最近業務をしていると周りからよくZEBやらカーボンニュートラルやらとにかく省エネ関連の用語を聞くことはないだろうか。言葉が流行することはいいがいざ自分がZEBを担当するとなるとどうしたらよいかよくわからない方も多いのではないだろうか。それもそのはずでZEBを達成するための情報がまだまだ少なすぎる。省エネといえば事務所のような一般的な建物であれば空調設備が約4割も占めている。そのためZEBを目指すにあたり空調のエネルギーを低減することは必須だ。空調設備の効率やシステムの見直しによる省エネ効果は期待できる。だが空調設備全体に関わる熱負荷を見直すことで空調設備全体の省エネを期待できる。今回はそんな熱負荷に関わるガラス性能とブラインドによる熱負荷の変動について紹介する。 コンテンツ 与条件ケーススタディまとめ 与条件 建物の平面および立面を示す。事務室100m2としその中に事務室および棚が並んでいる。外壁は窓が1,800mm x 1,800mm x 5連結とした。 外壁部分の断面を示す。Case1としてごくごく一般的な外壁を簡単に示した。 Case2として窓部分にルーバーを追加した。ルーバーを追加することにより日射熱の取得低減に寄与し、また熱伝達率の軽減も図ることができる。 その他ガラス性能として以下の二種類を用意した。・透明ガラス(6mm)の場合・Low-eガラス6mm + 空気層6mm +透明ガラス6mm(以降:Low-eガラス6mmと示す。) 設備的要件としては以下の通り。透明ガラス6mm(ブラインド無し)の場合に熱負荷原単位を200[W/m2]とする。100[m2]のため合計20,000[W]。 上記を踏まえて以下の4ケースにて日射熱取得量およびガラス通過熱負荷を考慮した熱負荷のケーススタディを行う。Case1a・・・透明ガラス6mm ブラインド無しCase1b・・・透明ガラス6mm ブラインド有りCase2a・・・Low-eガラス6mm ブラインド無しCase2b・・・Low-eガラス6mm ブラインド有りなお日射熱取得量およびガラス通過熱負荷は建築設備設計基準に記載の値を用いることとした。 ケーススタディ Case1a 透明ガラス6mmの場合(ブラインド無し)前項でも紹介した通りだが本ケースを基準値とする。他のケースに比べて最も日射遮蔽係数および熱貫流率ともに高い。 Case1b 透明ガラス6mmの場合(ブラインド有り)Case1aに比べ日射遮蔽係数。熱貫流率ともに小さいため熱負荷が小さくなった。Case1b比で7ポイント熱負荷が低減した。 Case2a Low-e6mmの場合(ブラインド無し)Case1bに比べ日射遮蔽係数がわずかに大きい。一方で熱貫流率はCase1bよりも小さいことから結果としては熱負荷がCase1bよりも小さい結果となった。Case1a比で8ポイント熱負荷が低減した。 Case2b Low-e6mmの場合(ブラインド有り)他のケースに比べ日射遮蔽係数および熱貫流率が小さい。そのため熱負荷が最も小さい結果となった。Case1a比で10.5ポイント熱負荷が低減した。 上記にグラフ化した。横軸に各ケース、縦軸に熱負荷原単位を記す。透明ガラス6mm(ブラインド無し)が最も熱負荷原単位が大きい結果となった。またLow-e 6mm(ブラインド有り)が最も熱負荷原単位が小さい結果となった。 まとめ 今回は熱負荷に関わるガラス性能とブラインドによる熱負荷の変動について紹介した。最近ではLow-eガラスとする建物も増えてきているが体感的にどの程度効果があるものか理解できていると今後のZEBへの要求へ的確に判断しやすくなるかと思う。
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