【脱炭素化】風力発電の発電量の計算方法

こんにちは。

建物のZEB化やカーボンニュートラル化を図る際には建物の省エネ化だけではなく、再エネの導入も欠かせない。
再エネといえば、太陽光発電が一般的だが、風力発電でも再エネ技術の一部である。

風力発電は海岸線沿い等、比較的安定した風力が得られるところに点在する特徴がある。

今回は風力発電の発電量の計算方法を紹介する。

風力発電とは

発電にはさまざまな種類がある。
電気は発電所により作られる。
一般的には火力発電や原子力発電といった発電により電気へ変換している。

太陽光発電や風力発電も発電の一種である。
風力発電は風の力を電気へ変換していることが特徴だ。

風力発電のCO2排出量

出典:財団法人 電力中央研究所 日本の発電技術のライフサイクルCO2排出量評価

通常火力発電では石炭や石油を燃焼させることで電気を生み出している。
そのため、燃焼させる分だけCO2が発生する。
対して、風力発電は風力発電自体の建設に係るCO2がほとんどで、運用時はCO2が発生しない。
つまり、クリーンなエネルギーとなる。

カーボンニュートラル

大局的に捉えれば、カーボンニュートラルを目指すためには、エネルギーを減らすもしくは吸収源を作るしか方法はない。
例えば電力や、ガス、油などの使用量そのものが減れば、その分だけCO2排出量が低減される。
また、太陽光発電や風力発電などのクリーンエネルギーの割合を増やすことで、発電量に対してのCO2排出量を低減することが可能だ。
森林などを積極的に樹植し、CO2を吸収するといったことも可能だろう。

カーボンニュートラルを目指すために
・電力や、ガス、油の使用量を減らす
・ CO2の排出係数を減らす(クリーンエネルギーの割合を増やす)
・ 森林などCO2吸収源を作る

風力発電の発電量

定格出力の計算式

風力発電の定格出力は一般的に下表のとおり、求めることが可能だ。
面積とは、風力発電の羽根の部分もしくは外径の面積を示す。
各メーカーのカタログでは面積別にパワー係数が設定されている。

風力発電の定格出力
風力発電の定格出力[W] = パワー係数 x 面積[m2] x 面風速[m/s]^3
製品名WL5000
定格出力5kW
定格風速12m/s
パワー係数0.95(ブレード直径)
0.51(レンズ外径)
ブレード直径2.5m
レンズ外径3.4m

例えば(株)ウインドレンズでは以下の通り製品について記載がある。
パワー係数は対象とする場所によってそれぞれ設定されている。

実際に計算をすると下図の通り、概ね5kWとなる。

年間推定発電電力量

建築設備設計基準によれば年間推定発電電力量は、下表の通りの計算式によって求められる。

年間推定発電電力量
年間推定発電電力量[kWh] = 風速vにおける発電出力[kW] x 風速vの出現率[%] x 8,760[h/年]
風速vの出現率[%] = (π ÷ 2) x (風速v[m/s] ÷ 平均風速v'[m/s]^2) x exp{ (-π ÷ 4) x ((風速v[m/s] ÷ 平均風速v'[m/s])^2}
※平均風速は所轄の気象台などで確認すること。

前項で紹介した風力発電で、年間平均風速8m/sを条件とした場合における年間発電量は2,130.8[kWh/年]と推定される。
(8m/sは一般的にかなり強風であり、年間で平均して風速8m/sを得られる地域はかなり限定される。)

なお、年間の平均風速が4.0m/sの地域であれば年間発電量は42.5kWh/年となる。
つまり、ほとんど風力発電による発電量は期待できないこととなる。

どの程度の電力量を賄っているのか

環境省が公表しているデータによれば「(令和3年度) 1世帯が1年間に消費したエネルギーは、全国平均で電気が4,175kWh」とのことだ。
つまり、直径2.5m/sで安定的に8m/sを得られる地域であれば、半年分の電力を風力発電によって賄うことができることとなる。

まとめ

今回は風力発電の発電量の計算方法を紹介した。

風力発電は実際に設置する場所によって、効果が大きく異なる。
そのため、立地条件を確認した上で導入を検討することが大切だ。

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