外気温度と電気熱源空冷ヒートポンプのCOPの関係

こんにちは。

年々外気温度が上昇する中で、冷房需要も増大しているのが現状である。
そのため、あらかじめ冷房能力に余裕を持たせた空調機器を選定するケースも少なくない。
しかし、外気温度の上昇に伴う電気式空冷ヒートポンプの効率低下を十分に考慮していない場合もあるだろう。

本稿では、冷房運転時における外気温度と電気熱源空冷ヒートポンプのCOPの傾向について紹介する。

東京における各年の月別最高外気温度を下図に示す。
決定係数は必ずしも高くはないが、年々外気温度が上昇している。
そのため、一般的に外気温度が上昇するほど、空冷式の空調機器の効率が低下するため、外気温度を考慮して機器選定を行う必要がある。

外気温度による冷房能力および消費電力、COPの推移

外気温度による室外機の補正値

下図に外気温度による室外機の補正値を示す。
前述したとおりだが、一般的に外気温度が上昇すると機器能力が低下する。
また、外気温度の上昇により消費電力も増えるため、COPが低下する。

図:外気温度による室外機の補正値(出典:建築設備設計基準)

外気温度の上昇に伴う冷房能力、消費電力、COP

定格冷房能力を100kW、冷房時定格COPを3.0とし、建築設備設計基準に基づき、冷房能力と消費電力を補正した図を下図に示す。
外気温度が35℃を超えると冷房能力が低下する。
また、外気温度が上昇するほど、消費電力が上昇することがわかる。
結果として、COPが低下する。

例えば、外気温度35℃と外気温度40℃時における冷房能力を比較すると、冷房能力はおおむね10%程度低下することがわかる。
また、消費電力は約30%程度増加する。
結果として、COPは20%程度低下することが確認できる。

外気温度上昇に伴う各種パラメーターの推移
冷房能力 低下
消費電力 増加
COP 低下

外気温度上昇による電気式空冷ヒートポンプ採用時の注意点

外気温度上昇に伴う電気式空冷ヒートポンプ採用時の注意点を下表に示す。
注意点は大きく二点あり、空調機器の効率の低下と消費電力量の増加が挙げられる。

水冷式の場合は、外気温度の影響を受けづらい一方で、空冷式の場合は外気温度の上昇に伴い空調効率の低下が顕著である。
また、効率が低下することにより消費電力量が増加し、電気代(ランニングコスト)が上昇する。

さらに、外気温度が上昇することにより、同じ機器でも最大冷房能力が低下するため、より大きな空調機器を選定する必要があり、イニシャルコストが増加する。

外気温度上昇による電気式空冷ヒートポンプ採用時の注意点
効率の低下 空冷式は水冷式に比べて効率の低下が顕著
消費電力量の増加 効率低下に伴うランニングコストの上昇
空調設備容量の増加 冷房能力補正により空調設備容量の増強が必要

まとめ

本稿では、冷房運転時における外気温度と電気熱源空冷ヒートポンプのCOPの傾向について紹介した。
今後も、外気温度が上昇することが想定されるため、長期的な目線も含めた空調計画が重要だろう。

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