ホーム > 機械設備一般 機械基礎(設備基礎)の基本 -べた基礎やげた基礎の違いも紹介- 2021.01.142023.12.16 こんにちは。屋上や機械室内に設備機器を設置する場合通常機械基礎を設けることがほとんどだ。通常どの建物でも機械基礎が設けられる。またべた基礎やげた基礎といった専門用語が使用されることが多い。今回は機械基礎(設備基礎)の基本やべた基礎とげた基礎の違いについて紹介する。 コンテンツ 機械基礎の種類べた基礎げた基礎機械基礎が必要な理由建築躯体への振動の伝搬を防止改修時に建築躯体への影響を考えなくてもよい機器下部の点検が可能荷重の分散が可能防水を傷つけずに機器の設置が可能アンカーボルトの設置位置機械基礎の高さ基礎の重量まとめ 機械基礎の種類 機械基礎は大きく2種類の大別することが可能だ。受水槽については建築基準法上、6面点検が求められるのでげた基礎を選択する必要がある。受水槽以外は特段基礎の形状に指定がないためべた基礎とげた基礎のどちらでもよい。 機械基礎の種類 1. べた基礎 機器全体を覆うように設置される基礎 2. げた基礎 下駄を逆にしたような形で設置される基礎 べた基礎 げた基礎 げた基礎は上記の通りだがげた基礎の場合は二次部材を設置することも多い。二次部材は以下のようなイメージだ。 機械基礎が必要な理由 機械基礎が必要な理由は主に以下の通りだ。 機械基礎が必要な理由1.建築躯体への振動の伝搬を防止2.改修時に建築躯体への影響を考えなくてよい3.機器下部の点検が可能4.荷重の分散が可能5.防水を傷つけずに機器の設置が可能 建築躯体への振動の伝搬を防止 コンクリートを1枚挟むことで(機械基礎を設けることで)建築躯体への振動の伝搬を抑制することが可能だ。ただし機械基礎のみだと振動を完全に防止できるわけではないので、機器側で防振架台等を設置することも多い。 改修時に建築躯体への影響を考えなくてもよい 機械基礎を設置することで改修時に建築躯体への影響を考えなくてもよいことが挙げられる。改修時において機械基礎上であれば設備機器を自由に設置が可能だ。(設備機器自体の荷重が構造上問題なければだが)もし機械基礎がないと床の配筋を確認した上で損傷がないようにはつる必要がある。またその他構造条件によってはその他にも考慮が必要だ。 機器下部の点検が可能 機器下部の点検が可能となることも機械基礎を設置するメリットだ。特に受水槽においては建築基準法により6面点検が義務付けられている。そのため基礎を設置した上で水槽下部の点検を行うことが可能なよう計画する必要がある。 荷重の分散が可能 機械基礎を設置することにより建築躯体へかかる荷重を分散することができる。例えば設備機器の部分により機器の荷重が異なる場合だ。機械基礎が設けられていない場合設備機器の重量が直接的に建築躯体へ影響する。一方で機械基礎が設けられている場合は機械基礎部分である程度荷重が均一化する。 防水を傷つけずに機器の設置が可能 特に屋上に機器を設置する場合は基礎の設置が必須となることがほとんどだ。実際に設備機器を設置する際はアンカーボルトを使用して躯体や機械基礎に緊結する必要がある。一方で屋上からの雨水の漏水防止のため屋上には防水層(アスファルト防水など)が設けられる。つまり機械基礎が設置されていないと防水層を貫通するようにアンカーボルトを設置する必要がある。また、将来的な防水の更新(改修)工事を行う場合を考えると、設備基礎の下に防水層並びにその保護層を設けることは望ましくない。一般的な防水の性能保証期間は10年程度であることもあり、設備機器よりも寿命が短いことが多い。(設備機器は一般に15年程度)。つまり防水層が設備機器の下に配置されないように配慮する必要がある。つまり、機械基礎の高さを通常よりも高く設定する必要がある。一般的には600mmH程度の機械基礎とすることで機械基礎の立ち上がりに沿って、防水を巻き上げる。防水を巻き上げることで設備基礎下部に防水層が設置されないように配慮する。 アンカーボルトの設置位置 アンカーボルトを設置するにあたり基礎に穴をあける必要がある。基礎の端に開けようとするほど基礎が割れてしまう可能性がある。そのため基礎から150mm程度離れるように基礎の大きさを決めるとよいだろう。 機械基礎の高さ 公共建築工事標準図(機械設備編)によれば設備機器別の基礎の高さは以下の通りだ。 設備機器名称 基礎種別 基礎の高さ ポンプ 標準基礎 300mmH 防振基礎 150mmH 送風機 – 150mmH 空気調和機 – 150mmH ボイラー、温水発生機、冷凍機 – 150mmH パッケージ形空気調和機 – 150mmH 受水槽 – 500mmH 冷却塔 – 150mmH 基礎の重量 コンクリートの重量は 23kN/m3程度だ。(コンクリートの重量は種類にもよる)1kN = 100kg だ。つまりコンクリートの重量は 2,300kg/m3 となる。 まとめ 今回は機械基礎(設備基礎)の基本やべた基礎とげた基礎の違いについて紹介した。一概に機械基礎といえども様々な考え方があるため機械基礎について総合的に考慮した上で基礎の形状や大きさを決定されたい。
コメント
わかりやすく丁寧な機械基礎の説明有難うございます。大変参考になります。
新築ではなく改修工事が多くなっている時代に、この設備基礎の増設は多く有り
スーパーゼネコンの施工管理者も大きな間違いを起こしています。
設備機械の発展も目まぐるしく、室外機やキュービクル増設など多くなっています。
そこで、防水施工保証は10年とされ、意外に性能保証が短いと感じられるようになっています。改修工事には、防水の経年劣化を勘案して改修する必要があります。なので、改修工事のコメントが記載されていますが、将来防水層を斫ってアスファルト防水を改修する場合は、防水層の保護層に設備基礎を設置する記載について正しいコメントとは思えないのですがいかがなのでしょうか。
建築屋サトノブ様
ご拝読頂きありがとうございます。
またご連絡ありがとうございます。
防水の改修工事についてはおっしゃる通りかと思います。
特に防水が必要となる屋上等については、防水層の保護層の上に設備基礎を設置すると、防水の改修ができないといったことになりかねません。
設備機器を移設、一時取り外しができるような場合は別ですが、特にキュービクルや建物全体の熱源設備等を屋上に計画する場合は特に注意が必要かと思います。
そのため、防水上部に設備基礎を設置しないように、防水を巻き上げて計画することが一般的かと思います。
本稿ではその点も記載させて頂いており、本稿内よりご確認頂けますが、ポンチ絵でしか表現していなかったため、誤解を招かれたものと存じます。
「参照URL:https://akisho-workshop.com/archives/492#toc9」
該当箇所にはその点追記させて頂きたいと思います。
ご指摘ありがとうございました。
引き続きあきしょー工房をよろしくお願いいたします。
中継ポンプのコンクリート基礎(1.3m×3.0m)に厚さ20㎝コンクリート打ち増しが必要な箇所で、鉄筋を配筋する必要があるか教えてください。私は必要ないと考えています。ポンプ室の重量が1.1tしかないので、無筋コンクリートで対応できるのではと考えています。
よろしくお願いします。