土をいじるのってお金がかかる(土工事、建築設備工事積算編)

今回は設備工事の中で特にインフラ関係の引き込み等に費用が伴う土工事について。
よく言われるのが土をいじるのが一番お金がかかるといわれるが実際どの程度お金がかかるのか設備工事費のうち何%程度であるのか算出してみることとする。
特に建物とは直結しない土工事は計画敷地や条件によりかなり金額が右往左往するため留意が必要である。

土工事の内訳

設備工事における土工事といえば、給水や排水などの水系のインフラ設備の引き込みや配管敷設に伴い掘削する必要がある。
また水系以外にもガスを引き込む場合においても土工事が発生する。
他にもケースバイケースだが配管トラフ(トレンチ)を設ける場合も工事区分次第では土工事が発生する。

土工事の構成とし絵は屋外給水設備、屋外排水設備、屋外ガス設備の項目の中にそれぞれ土工事といった項目が入ることとなる。
内訳書上通常土工事の部分は別紙明細として作成することが多いかと思うがその内訳としては根切り、埋戻し、山砂、建設発生土処理といった形で記載される。

・根切りとはいわゆる掘削量を指す。
・埋戻しは根切りを行った土を元に戻すことを指す。
その中で山砂と出てくるのは、埋設配管周辺に埋め戻すことが多いいわゆる保護砂を指す。
・建設発生土処理とは山砂分の根切による土量が余ってしまうこととなるためどこかへ搬出など処理を行う必要がある土量を示す。
これらにかかる費用(直接工事費)を今回は算出してみることとする。

容積あたりにかかる土工事費

2020年機械設備積算業務マニュアルより算出する。
なお東北地域を対象として単価を調べる。

それぞれの複合単価(合成単価)は以下の通り
・根切り・・・3,090円/m3
・埋戻し・・・4,250円/m3
・発生土処理(場内敷き均し)・・・5,520円/m3
・山砂・・・7,440円/m3

例えば給水管50Aの配管で土被り600mm埋設長さ100mの場合は以下の通りとなる。
・根切り・・・33.75m3
・埋戻し・・・22.5m3
・発生土処理(場内敷き均し)・・・11.25m3
・山砂・・・11.25m3

土量が算出できたため各単価に当てはめてみると
・根切り・・・104,288円
・埋戻し・・・95,625円
・発生土処理(場内敷き均し)・・・62,100円
・山砂・・・83,700円
・合計345,713円

今回の算出では給水管のみとしたが実際には排水管およびガス管(あれば)形状を行う必要がある。
(ガス管の場合はガス会社工事となることも多いため実際には見積となることもしばしばある。(都市ガスの場合))

排水管は給水管と異なり配管を準勾配としなければならないため更に土量が増えることが想定される。
また排水の場合は土工事とは別途で排水桝の費用(これが結構高い)を見込む必要があり、給水の場合は仕切弁等の弁桝等を見込む必要がある。

 

設備工事での土工事割合

例えば個別熱源の建物で事務所用途の場合はだいたい設備工事費(直接工事費)は40,000円/m2程度。
中央熱源の場合だと60,000円/m2程度。
個別熱源を前提に延べ床面積が10,000m2だとすると工事費(直接工事費)は4億程度となる。
内衛生工事費は約1億程度で見込まれることが多い。

一方で前項の給水管費用は約40万、排水およびガスをそれぞれ換算しても土工事は150万程度だろうか。

とすると150万÷1億で約1.5%程度が衛生工事のうちの土工事費となる。
また設備工事全体からすれば150万÷4億で0.4%程度となる。

まとめ

設備工事において土工事にかかる費用を試算した。
結果特定の条件下において、衛生工事費のうちの約1.5%、設備工事全体のうちの約0.4%を占めることを確認した。
敷地条件や周囲のインフラ状況、建物用途により大きく異なることがあるため参考例でしかないが大体のつかみを理解していただければよいかと思う。
特に排水管の埋設深さを図中記載することがあると思うが、深さが100mm合わないだけで10万程度の増はざらだ。
さらに配管が深くなることで排水ますの金額も上がるため工事費増の金額はさらに高騰するので注意が必要だ。

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