窓面の結露と結露に対する対策 2025.08.24 こんにちは。近年では、建物の気密性の向上や外気条件の悪化がより顕著になり、結露に関するトラブルも年々増加している。特に、窓面については壁に比べて外皮性能が低いため、比較的結露が発生しやすい。今回は窓面の結露について紹介する。 コンテンツ 結露が発生する要因結露が近年顕著になっている理由気密性の向上外気条件の悪化冬の結露窓性能の向上窓面に暖房設備を設置窓表面に加湿空気を供給しない夏の結露窓性能の向上窓表面に極力気流を発生させない窓面を冷房しないまとめ 結露が発生する要因 乾球温度によって空気が保持できる水蒸気量(水分量)が決まっている。一般的に乾球温度が高くなるほど保持できる水蒸気量が増加する。言い換えれば、乾球温度が低下するほど保持できる水蒸気量が減少する。すなわち、乾球温度が低下し続けると、保持できる水蒸気量が実際の水蒸気量を下回る。保持できる水蒸気量が実際の水蒸気量を下回ったときに結露が発生する。このときの保持できる水蒸気量を飽和水蒸気量といい、飽和水蒸気量のときの乾球温度を露点温度という。 飽和水蒸気量と露点温度は密接な関係にある。そのため、空気が露点温度未満になると、結露が発生する。すなわち結露を抑制するためには空気を露点温度以上に維持することが求められる。 結露が近年顕著になっている理由 気密性の向上 昔の建物とは異なり現在の建物は気密性が飛躍的に向上している。また、人が快適に過ごすため冷暖房の導入が常識となっている。つまり、室内外で温度差が発生しやすい環境である。室内外温度差が大きいと、室内と室外で相互に温度の影響が生じる。そのため、室内と室外のいずれか一方の空気が露点温度を下回りやすい環境であるともいえる。 外気条件の悪化 外気条件の悪化も結露が促進される要因の一つである。近年では湿度の上昇が顕著である。(絶対湿度でいうと1割から2割程度上昇している)湿度の上昇に伴い、結露が発生しやすい状況が生まれている。 クリモグラフから見る -東京の温湿度20年間の推移-こんにちは。東京の温湿度の変遷について感覚的にはわかっている方は多いだろう。特に最近は気温も高くじめじめしていて外にも出たくない。過去はそんな温湿度ではなかったのに。そう思われている方も多いだろう。だが過去のデータから実際に東京の温湿度につ... 冬の結露 冬期は室内の窓表面温度が露点温度以下となると、室内窓面に結露が発生する。窓面の結露を抑制するためには窓表面の温度を上昇させることや、窓表面に加湿空気を供給しない方法が考えられる。窓表面の温度を上昇させる方法としては、窓性能を向上させる方法や、窓面に暖房設備を設置する方法が挙げられる。 窓面の結露の抑制方法その1窓性能の向上その2窓面に暖房設備を設置その3窓表面に加湿空気を供給しない 窓性能の向上 例えば、単板ガラス3mmとLow-Eガラス6mm+A+単板ガラス6mmを比較する。(外気0℃、室内温度22℃とする。)単板ガラス3mmは外皮性能が低いこともあり、窓面内側表面温度は6.5℃となる。一方で、Low-Eガラス6mm+A+単板ガラス6mmは窓面内側表面温度は18.4℃となる。つまり、窓性能を向上させることで結露が発生するリスクを大幅に改善することが可能である。 窓面に暖房設備を設置 窓面に暖房設備を設置することも結露の抑制に有効であり、例えば、床置形の暖房設備や天井カセット形、天井隠蔽ダクト接続形による空調が考えられる。暖房設備の設置により窓表面室内側の空気が暖められ、また風速も向上するため、窓表面の熱伝達の向上も見込まれる。例えば、 例えば、暖房設備からの吹き出し温度が32℃、内側窓表面の対流熱伝達が23W/m2・Kと同等である場合は、窓面内側表面温度は16.6℃となる。(透明ガラス3mmの場合) Low-Eガラス6mm+A+単板ガラス6mmと組み合わせると窓面内側表面温度は28.4℃となる。 窓表面に加湿空気を供給しない 窓表面に加湿空気を供給しないことも結露の抑制としては一定の効果がある。ただし、ビル管法により居室に対しては加湿を行うことが求められている。そのため、本対応を適用可能な室が限られる点に注意が必要である。 夏の結露 夏期は屋外の窓表面温度が露点温度以下となると、屋外窓面に結露が発生する。窓面の結露を抑制するためには窓表面の温度を上昇させることが考えられる。窓表面の温度を上昇させる方法としては、窓性能を向上させる方法や、窓表面に極力気流を発生させない方法、窓面を冷房しない方法が考えられる。 窓面の結露の抑制方法 その1 窓性能の向上 その2 窓表面に極力気流を発生させない その3 窓面を冷房しない 窓性能の向上 例えば、単板ガラス3mmとLow-Eガラス6mm+A+単板ガラス6mmを比較する。(外気35℃、室内温度26℃とする。)単板ガラス3mmは外皮性能が低いこともあり、窓面外側表面温度は32.5℃となる。一方で、Low-Eガラス6mm+A+単板ガラス6mmは窓面外側表面温度は33.9℃となる。つまり、窓性能を向上させることで結露が発生するリスクを大幅に改善することが可能である。 窓表面に極力気流を発生させない 窓表面に極力気流を発生させないことで、結露を抑制することも可能である。例えば、単板ガラス3mmのときかつ、室内の面風速が約4m/s(熱伝達率23W/m2・K)の場合における窓面外側表面温度は30.7℃となる。一方で面風速が約0.25m/s(熱伝達率7W/m2・K)の場合における窓面外側表面温度は32.9℃となる。 窓面を冷房しない 窓面にペリメーター用の冷房設備を設置している場合は、窓面を冷やさないように十分注意が必要である。特に窓面が冷えると窓面外側の表面温度も低下し、結露が促進される。例えば、単板ガラス3mmのときかつ、室内窓付近の温度が20℃の場合における窓面外側表面温度は30.8℃となる。一方で、室内窓付近の温度が16℃の場合における窓面外側表面温度は29.7℃となる。 まとめ 今回は窓面の結露について紹介した。今後も結露に関するトラブルは増加することが想定される。そのため、結露が発生する根本的な理由について理解することが重要だろう。
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