こんにちは。
最近では建物の省エネ化がより一層要求されており、ファンをインバータ化(INV化)し、変風量制御を行うことで省エネを行う建物が増えている。
しかし、ファンのINV化によって、一体どの程度の効果があるのかがいまいちわからない方も少なくないだろう。
今回はファンINV化に伴う、ファンの回転数と消費電力の関係について紹介する。
ファンの特性より、ファンの風量は回転数(周波数)に比例する。
つまり、回転数が半分となれば、風量も半分となる。
通常、ファンの回転数は定格運転時の30%程度を下限とすることが多い。
そのため、風量も定格風量の30%となる。
一方で、消費電力はファンの回転数の3乗に比例する。
そのため、ファンの回転数が半分の場合は、消費電力は12.5%まで低減させることが可能となる。
(計算方法は後述)
ファンの特性 | |
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風量 | 回転数(周波数)に比例 |
圧力 | 回転数(周波数)の2乗に比例 |
消費電力 | 回転数(周波数)の3乗に比例 |
ファンINV化による消費電力の計算式
ファンINV化による消費電力の計算方法は、下表に示すとおりである。
ファンの定格消費電力に回転数[%]の3乗を乗じることにより計算される。
ファンINV化による消費電力の計算式 | |
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消費電力[kW] = ファン定格消費電力[kW] x 回転数[%]^3 |
消費電力の計算例
ファンINV化による、ファンの回転数と消費電力について、計算例を2題紹介する。
計算例①
ファン定格消費電力:15[kW]、回転数:50[%]の場合 | |
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消費電力[kW] = ファン定格消費電力[kW] x 回転数[%]^3 | |
消費電力[kW] = 15[kW] x 50[%]^3 = 1.875[kW] |
計算例②
ファン定格消費電力:30[kW]、回転数:70[%]の場合 | |
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消費電力[kW] = ファン定格消費電力[kW] x 回転数[%]^3 | |
消費電力[kW] = 30[kW] x 70[%]^3 = 10.290[kW] |
ファンのインバータ化と省エネ
ファンのインバータ化により、空調機器やファンに関して大幅に省エネ化を図ることが可能となる。
例えば、ファンのインバータ化により、ファンの年間平均稼働率が70%となった場合を計算してみる。
(なお、ファンのインバータ化の導入理由によって、年間平均稼働率は大きく変わるため、あくまでも参考値となる。)
結果下表のとおり、変風量運転時のCO2排出量は4.9[t-CO2/年]、定風量運転時14.4[t-CO2/年]となり、66[%]の省エネ化を図ることが可能となる。
与条件 | |
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ファンの定格消費電力 | 15[kW] |
年間運転時間 | 8[h/日] x 240[日/年] = 1,920[h/年] |
CO2排出係数 | 0.0005[t-CO2/kWh] |
計算式(定風量運転の場合) | |
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年間消費電力 | 15[kW] x 1,920[h/年] = 28,800[kWh/年] |
CO2排出量 | 28,800[kWh/年] x 0.0005[t-CO2/kWh] = 14.4[t-CO2/年] |
計算式(変風量運転の場合) | |
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平均消費電力量 | 15[kW] x 70[%]^3 = 5.145[kW] |
年間消費電力 | 5.145[kW] x 1,920[h/年] = 9,878[kWh/年] |
CO2排出量 | 9,878[kWh/年] x 0.0005[t-CO2/kWh] = 4.9[t-CO2/年] |
まとめ
今回はファンインバータ化に伴う、ファンの回転数と消費電力の関係について紹介した。
普段は、省エネだからという理由だけでインバータ化を導入しているケースがほとんどかと思う。
今回のようにどの程度の省エネ化を図ることが可能であるかをある程度見える化できれば、省エネの貢献度合いやコストメリットについても解像度を高めることができるはずである。
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