通気管の開放位置を紹介

こんにちは。

排水設備は建物の中でも最も重要な機能の一つである。
排水が詰まると、建物の機能として物理的な支障が発生する。
また、衛生面でも問題が発生する。

排水設備に含まれる通気管も同様である。
通気管が適切に計画されないと、封水切れの発生や悪臭に関するクレームが発生する。
しかし、普段建物を計画する際に、通気管は比較的蔑ろにされやすい。

今回は通気管の開放位置に関する基準について紹介する。

通気管の定義

空気調和・衛生工学用語辞典によれば通気管とは以下のように定義されている。

通気管の定義
排水系統において、排水を円滑にし、かつ排水によって生じる管内気圧変動からトラップ封水を保護する目的で、または水槽類において水位変化によって生じる気圧変動を調整する目的で空気を流通させること。
通気のために設ける管を通気管、その一連のシステムを通気系統という。

封水とは

封水とは、排水管内からの臭気蔓延を防止するために、排水管をS字状等にして、水たまりを作ることをいう。
排水管からの臭気この封水で食い止めている。

封水が切れると

封水が切れると、排水管内の空気と室内空気がつながってしまい、排水管内の臭気が室内で発生してしまう。

通気管の計画例

封水切れを防止するためには、通気管を適切に計画する必要がある。
通気管は左図に示すように、排水管に接続されるように計画される。
具体的には、最も水上の衛生器具からの排水管の水下側に設置することとなる。
また、接続された通気管は、大気へ開放される。
なお、通気管は排水管内の圧力変動により空気が流出入する。
つまり、あるときには通気管開放部へ排気され、あるときには通気管開放部から給気される特徴がある。

通気管の開放位置

建築設備設計基準

建築設備設計基準では通気管の開放位置について大きく3種類の基準がある。
なお、建築確認申請でも、通気管の開放位置について建築設備設計基準と同等の基準を遵守するように指摘が入る場合がある。

なお、通気管の開放位置に制約がある理由は、大きくは臭気が室内へ流入することを避けるためである。

通気管の開放位置
その1隣接建物の窓と通気管の離隔
その2戸または窓と通気管の離隔
その3外気取入口と通気管の離隔

その1 隣接建物の窓と通気管の離隔

通気管を計画する際には、隣接建物の窓面から3,000mm以上もしくは、隣接建物の窓面から上部600mm以上離隔を確保して設置する必要がある。

その2 戸または窓と通気管の離隔

通気管を計画する際には、戸または窓面から3,000mm以上もしくは、戸または窓面から上部600mm以上離隔を確保して設置する必要がある。

その3 外気取入口と通気管の離隔

通気管を計画する際には、外気取入口から3,000mm以上もしくは、外気取入口から上部600mm以上離隔を確保して設置する必要がある。

まとめ

今回は通気管の開放位置に関する基準について紹介した。

建物を計画する際だけではなく、施工する際においても意外と忘れられがちな内容であるため、十分に注意が必要である。

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