こんにちは。
厨房を計画する際に必ずと行っていいほど、グリーストラップの検討を行う。
普段からグリーストラップの検討方法を熟知していれば、計算自体はそこまで難しいものではない。
しかし、初めて計画する方や、普段あまり飲食店の計画を行わない場合は、いまいちグリーストラップの計画方法がわからない方も多いだろう。
今回は、グリーストラップの算定について利用人数から求める方法を紹介する。
グリーストラップに必要な能力を算定するにあたって、「流入流量」「阻集グリース」「堆積残さ」の3つの要素について計算を行う必要がある。
それぞれの計算方法は下記に示すとおりである。
流入流量[L/min]の計算方法 |
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利用人数[人/日] x 使用水量[L/人・日] x 厨房使用時間[min/日] x 危険率[-] |
阻集グリース[kg]の計算方法 |
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利用人数[人/日] x グリースの質量[g/人・日] x 掃除周期[日] ÷ 単位変換(1,000)[g/kg] |
堆積残さ[kg]の計算方法 |
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利用人数[人/日] x 堆積残さの質量[g/人・日] x 掃除周期[日] ÷ 単位変換(1,000)[g/kg] |
また、食種ごとの標準値は下表のとおりである。
基本的には下表に示す値を用いて計算することが多いが、厨房使用時間をすでに把握している場合は、標準値を変更して計算を行う。
標準値 | |||||
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食種 | 流量 | 厨房使用時間 | 危険率 | 阻集グリース | 堆積残さ |
中華 | 80[L/人] | 720[min/日] | 3.5 | 11.0[g/人] | 5.0[g/人] |
洋食 | 80[L/人] | 720[min/日] | 3.5 | 8.0[g/人] | 3.0[g/人] |
和食 | 80[L/人] | 720[min/日] | 3.5 | 5.5[g/人] | 2.0[g/人] |
ラーメン | 50[L/人] | 720[min/日] | 3.5 | 6.5[g/人] | 2.5[g/人] |
そば・うどん | 50[L/人] | 720[min/日] | 3.5 | 3.0[g/人] | 1.0[g/人] |
軽食 | 45[L/人] | 720[min/日] | 3.5 | 3.0[g/人] | 1.0[g/人] |
喫茶 | 25[L/人] | 720[min/日] | 3.5 | 1.0[g/人] | 0.5[g/人] |
ファストフード | 10[L/人] | 720[min/日] | 3.5 | 1.5[g/人] | 0.5[g/人] |
社員食堂 | 50[L/人] | 600[min/日] | 3.5 | 3.5[g/人] | 1.5[g/人] |
学生食堂 | 25[L/人] | 600[min/日] | 3.5 | 1.5[g/人] | 0.5[g/人] |
計算例
以下にグリーストラップの計算例を紹介する。
おまけ ー流入流量とはー
流入流量の計算方法については前項までで紹介した。
しかし、ここでいう流入流量について紹介する。
SHASE-S217-2016によれば、流入流量に対する油脂阻集性能が70回平均で95%以上、各回90%以上であることと規定されている。
流入流量自体はある時間あたりにグリーストラップへ流入する流量である。
規定流量を超えた場合には、規定流量を超えた分だけ油分が分離されずに下水道へ流出されることとなる。
極端な例ではあるが、水栓の数が1つや2つのみのカフェ等の場合は、極端に少ない流入流量が算出されることがある。
その少ない流入流量が水栓1個あたりの吐出量よりも少ない場合は、結果として排水の殆どが油分分離せずに下水道へ排水される可能性がある。
すなわち、流入流量については、前項までの計算結果によらず、ある程度の下限値が存在することになる。
流入流量の計算結果が明らかに小さい場合は、水栓の数量から同時使用率等を乗じて再計算するなど、流入流量を見直すことが望ましい。
以下にグリーストラップの流入条件と阻集効率の変化について紹介されているため、興味がある方は参考にされたい。
まとめ
今回は、グリーストラップの算定について利用人数から求める方法を紹介した。
利用人数が定かではない場合において上記の式を用いると全く異なる値となることもある。
そのため、利用人数を把握できている場合にのみ使用されたい。
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