水槽内の連通管径(サイズ)の決定方法

こんにちは。

官庁案件の建物を計画する際には、雨水利用の促進の観点から雨水利用設備を建物内に導入することが多い。
また、大規模な建物になるほど一日の使用水量が大きくなるため、雨水貯留槽の容量が大きくなる傾向にある。
さらに、雨水貯留槽は一般的にピット内に設置されることが多い。
しかし、ピット内には地中梁などにより一筋縄に計画することはできない。
つまり、綿密な計画が要求される。

具体的には、地中梁にまたがって雨水貯留槽が計画される際は、水槽間を接続するために用いられる連通管について計画を行うことがある。
しかし、連通管の算定方法がいまいち理解できていない方も多い。

今回は連通管の算定方法を紹介する。

連通管の概要

連通管とは下図に示す通り、水槽間にコンクリート等がある場合に水槽と水槽をつなぐ配管を示す。
連通管を設けることで、ポンプ等による移送を行う必要がなく、また、水槽間の水位を一定に保つことが可能となる。

なお、水槽下部に設置されている排水管は、水槽内を空にするために用いられる配管であり、半割の穴が設けられることが多い。

連通管の算定方法

連通管は流量と水位差を用いて計算することが可能である。
具体的には流量と水位差から連通管断面積を算出し、連通管断面積から連通管径を算出する。
一般的に水位差があるほど流量が大きくなる。
連通管内の流速を0.2[m/s]程度とするためには、結果として水位差が0.003[m]程度となる。
(出典:建築設備設計基準)
そのため、水位差を0.003[m]として計算する。
なお、下表の9.8は重力加速度を記している。

連通管の計算式
連通管断面積[m2]流量[m3/h] ÷ (0.75 x √(2 x 9.8 x 水位差[m]))
連通管径[A]√(連通管断面積[m2] ÷ π) x 2 x 1000
連通管流速[m/s]流量[m3/s] ÷ ((配管径[A] ÷ 1,000 ÷ 2) ^2 x π )

計算例

以下に連通管の計算例を2例紹介する。

まずは、流量が600[L/min]かつ水位差が0.003[m]の場合を計算すると、連通管径は265[A]となり、300[A]を用いることとなる。
また、連通管内の流速は0.18[m/s]となる。

連通管の計算例①
連通管断面積[m2]流量[m3/h] ÷ (0.75 x √(2 x 9.8 x 水位差[m])) = 0.0550
連通管径[A]√(連通管断面積[m2] ÷ π) x 2 x 1000 = 265
連通管流速[m/s]流量[m3/s] ÷ ((配管径[A] ÷ 1,000 ÷ 2) ^2 x π ) = 0.1819

次に、流量が100[L/min]かつ水位差が0.003[m]の場合を計算すると、連通管径は108[A]となり、125[A]を用いることとなる。
また、連通管内の流速は0.1819[m/s]となる。

連通管の計算例①
連通管断面積[m2]流量[m3/h] ÷ (0.75 x √(2 x 9.8 x 水位差[m])) = 0.0092
連通管径[A]√(連通管断面積[m2] ÷ π) x 2 x 1000 = 108
連通管流速[m/s]流量[m3/s] ÷ ((配管径[A] ÷ 1,000 ÷ 2) ^2 x π ) = 0.1819

まとめ

今回は連通管の算定方法を紹介した。

連通管の計画がうまくできていないと、水槽間の水のやり取りが上手くいかない可能性があるため、注意が必要である。

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