排水負荷単位から排水管径を決定する方法

こんにちは。

設計を始めたばかりだと排水管の管径をどのように決めた良いのかがいまいちわからないかと思う。
排水管の管径が小さいと排水がうまく機能しなくなり、排水管が詰まってしまう恐れがある。
結果的に排水が逆流するトラブルが起こることさえあり得る。

今回は排水負荷単位から排水管径を決定する方法を紹介する。

建築設備設計基準で紹介されている排水負荷単位を以下に紹介する。

管径[A]排水横主管,屋外排水管[単位]
勾配
1/2001/1001/50
5021
6524
752027
100180216
125390480
150700840
2001,4001,6001,920
2502,5002,9003,500
3003,9004,6005,600
管径[A]排水横枝管[単位]
301
403
506
6512
7520
100160
125360
150620
2001,400
2502,500
3003,900
管径[A]排水たて管[単位]
ブランチ間隔3以下ブランチ間隔4以上
たて管合計たて管合流までの枝管
30221
40482
5010246
6520429
75306016
10024050090
1255401,100200
1509601,900350
2002,2003,600600
2503,8005,6001,000
3006,0008,4001,500

排水横枝管、横主管、たて管の意味

排水管の算定にあたって、排水管の種別ごとに排水負荷単位が異なる。
排水管の種別(排水横枝管、排水横主管、排水たて管)については以下の記事で紹介しているため参照頂ければと思う。

計算例 その1

検討モデルは以下とした。
男子便所には大便器x3、小便器x3、洗面器x3が設置されている。
女子便所には大便器x3、洗面器x2が設置されている。
また、SKには掃除流しが設置されており、女子便所系統の排水管へ接続される。

建物は3階建てとし、1階と2,3階の排水をそれぞれわけて配管計画を行う。

排水横枝管 (2,3階)

男子便所

器具名称数量排水負荷単位
[単位/個][単位]
大便器3824
小便器3412
洗面器313
合計39

左表より男子便所の排水負荷単位は合計で39単位となる。
排水横枝管にあたるため排水横枝管は100Aとなる。
なお同一の横引き管で排水負荷単位が徐々に増えるからといってタケノコ配管にはしてはならない点は注意いただきたい。
(横引きのメインとなる配管は、排水負荷単位により要所要所で配管径を変更するのではなく、排水負荷単位が最大となる末端部分の配管径と同一の配管径とする。)

管径[A]排水横枝管
100160

女子便所

器具名称数量排水負荷単位
[単位/個][単位]
大便器3824
掃除流し133
洗面器212
合計29

左表より男子便所の排水負荷単位は合計で29単位となる。
排水横枝管にあたるため排水横枝管は100Aとなる。

管径[A]排水横枝管
100160

排水たて管

室名称排水負荷単位
2F男子便所39
2F女子便所29
3F男子便所39
3F女子便所29
合計136

排水たて管の配管径の算出にあたり、各室からの排水負荷単位を合計して排水負荷単位を求める。
合計136単位となる。
建物が3階建て(ブランチ間隔2)であるため、下表のブランチ間隔3以下より、配管たて管は100Aとなる。

管径[A]排水たて管[単位]
ブランチ間隔3以下ブランチ間隔4以上
たて管合計たて管合流までの枝管
10024050090

排水横主管 -2F,3F系統-

室名称排水負荷単位
2F男子便所39
2F女子便所29
3F男子便所39
3F女子便所29
合計136

排水横主管の配管径の算出にあたり、各室からの排水負荷単位を合計して排水負荷単位を求める。
合計136単位となる。
(多くのケースで排水たて管と同じ排水負荷単位となる)
下表より管径は100Aとなる。
なお、排水たて管よりも配管径を小さくすることはできない点は注意いただきたい。

管径[A]排水横主管,屋外排水管[単位]
勾配
1/2001/1001/50
100180216

排水横主管 -1F系統-

1F系統は排水横枝管がない。
そのため、男子便所と女子便所でそれぞれ排水横主管を算定することとなる。
男子便所の排水と女子便所の排水をそれぞれ分けて屋外まで配管を計画する場合は、男子便所は39単位、女子便所29単位として配管径を計算する。
男子便所の排水と女子便所の排水を合流させる場合は男子便所+女子便所=68単位として配管径を計算する。
今回の場合だといずれのケースにおいても100Aとなる。

管径[A]排水横主管,屋外排水管[単位]
勾配
1/2001/1001/50
100180216

計算例 その2

次は建物が5F建ての場合を確認する。
トイレ廻りの平面は計算例その1と同様とする。
そのため、排水横枝管の算定は省略する。

排水たて管

室名称排水負荷単位
2F男子便所39
2F女子便所29
3F男子便所39
3F女子便所29
4F男子便所39
4F女子便所29
5F男子便所39
5F女子便所29
合計272

排水たて管の配管径の算出にあたり、各室からの排水負荷単位を合計して排水負荷単位を求める。
合計272単位となる。
建物が5階建て(ブランチ間隔4)であるため、下表のブランチ間隔4以上より配管たて管を算定する。
「たて管合計」もしくは「たて管合流までの枝管」により求められる配管径の大きい方を排水たて管とする。
なお、「たて管合流までの枝管」とは最大排水負荷単位となる1つの階のことを示す。
つまり今回のケースでは男子便所+女子便所=68単位となる。

「たて管の合計」は272<500。
「たて管合流までの枝管」は68<90。
そのため排水たて管は100Aとなる。

管径[A]排水たて管[単位]
ブランチ間隔3以下ブランチ間隔4以上
たて管合計たて管合流までの枝管
10024050090

排水横主管 -2F~5F系統-

排水横主管の配管径の算出にあたり、各室からの排水負荷単位を合計して排水負荷単位を求める。
合計272単位となる。
(多くのケースで排水たて管と同じ排水負荷単位となる)
下表より管径は125Aとなる。

管径[A]排水横主管,屋外排水管[単位]
勾配
1/2001/1001/50
125390480

まとめ

今回は排水負荷単位から排水管径を決定する方法を紹介した。
屋内の排水並びに敷地内の排水計画は排水負荷単位から求めることが多いが、公共下水道へ接続する際は、別途マニングの公式により排水管径を求めることも多い。
そのため排水負荷単位以外にもマニングの公式より求める方法もマスターするべきだ。
マニングの公式は以下の記事で紹介しているため、是非確認頂ければと思う。

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