排水負荷単位から排水管径を決定する方法 2023.12.28 こんにちは。設計を始めたばかりだと排水管の管径をどのように決めた良いのかがいまいちわからないかと思う。排水管の管径が小さいと排水がうまく機能しなくなり、排水管が詰まってしまう恐れがある。結果的に排水が逆流するトラブルが起こることさえあり得る。今回は排水負荷単位から排水管径を決定する方法を紹介する。 コンテンツ 排水負荷単位排水横枝管、横主管、たて管の意味計算例 その1排水横枝管 (2,3階)男子便所女子便所排水たて管排水横主管 -2F,3F系統-排水横主管 -1F系統-計算例 その2排水たて管排水横主管 -2F~5F系統-まとめ 排水負荷単位 建築設備設計基準で紹介されている排水負荷単位を以下に紹介する。 管径[A]排水横主管,屋外排水管[単位]勾配1/2001/1001/5050––2165––2475–2027100–180216125–390480150–7008402001,4001,6001,9202502,5002,9003,5003003,9004,6005,600 管径[A]排水横枝管[単位]301403506651275201001601253601506202001,4002502,5003003,900 管径[A]排水たて管[単位]ブランチ間隔3以下ブランチ間隔4以上たて管合計たて管合流までの枝管30221404825010246652042975306016100240500901255401,1002001509601,9003502002,2003,6006002503,8005,6001,0003006,0008,4001,500 排水横枝管、横主管、たて管の意味 排水管の算定にあたって、排水管の種別ごとに排水負荷単位が異なる。排水管の種別(排水横枝管、排水横主管、排水たて管)については以下の記事で紹介しているため参照頂ければと思う。 【排水管】排水横主管、排水横枝管、排水たて管、屋外排水管の範囲こんにちは。排水管の負荷単位から排水管径を確認する際にいつも迷うこと。それはどこまでの範囲が排水横主管で、排水横管の範囲は一体どこなのかといったことだろう。排水負荷単位から排水管径を求める際はこれらの範囲をしっかりと把握しておく必要がある。... 計算例 その1 検討モデルは以下とした。男子便所には大便器x3、小便器x3、洗面器x3が設置されている。女子便所には大便器x3、洗面器x2が設置されている。また、SKには掃除流しが設置されており、女子便所系統の排水管へ接続される。 建物は3階建てとし、1階と2,3階の排水をそれぞれわけて配管計画を行う。 排水横枝管 (2,3階) 男子便所 器具名称 数量 排水負荷単位 [単位/個] [単位] 大便器 3 8 24 小便器 3 4 12 洗面器 3 1 3 合計 – – 39 左表より男子便所の排水負荷単位は合計で39単位となる。排水横枝管にあたるため排水横枝管は100Aとなる。なお同一の横引き管で排水負荷単位が徐々に増えるからといってタケノコ配管にはしてはならない点は注意いただきたい。(横引きのメインとなる配管は、排水負荷単位により要所要所で配管径を変更するのではなく、排水負荷単位が最大となる末端部分の配管径と同一の配管径とする。) 管径[A] 排水横枝管 100 160 女子便所 器具名称数量排水負荷単位[単位/個][単位]大便器3824掃除流し133洗面器212合計––29 左表より男子便所の排水負荷単位は合計で29単位となる。排水横枝管にあたるため排水横枝管は100Aとなる。 管径[A] 排水横枝管 100 160 排水たて管 室名称排水負荷単位2F男子便所392F女子便所293F男子便所393F女子便所29合計136 排水たて管の配管径の算出にあたり、各室からの排水負荷単位を合計して排水負荷単位を求める。合計136単位となる。建物が3階建て(ブランチ間隔2)であるため、下表のブランチ間隔3以下より、配管たて管は100Aとなる。 管径[A] 排水たて管[単位] ブランチ間隔3以下 ブランチ間隔4以上 たて管合計 たて管合流までの枝管 100 240 500 90 排水横主管 -2F,3F系統- 室名称排水負荷単位2F男子便所392F女子便所293F男子便所393F女子便所29合計136 排水横主管の配管径の算出にあたり、各室からの排水負荷単位を合計して排水負荷単位を求める。合計136単位となる。(多くのケースで排水たて管と同じ排水負荷単位となる)下表より管径は100Aとなる。なお、排水たて管よりも配管径を小さくすることはできない点は注意いただきたい。 管径[A] 排水横主管,屋外排水管[単位] 勾配 1/200 1/100 1/50 100 – 180 216 排水横主管 -1F系統- 1F系統は排水横枝管がない。そのため、男子便所と女子便所でそれぞれ排水横主管を算定することとなる。男子便所の排水と女子便所の排水をそれぞれ分けて屋外まで配管を計画する場合は、男子便所は39単位、女子便所29単位として配管径を計算する。男子便所の排水と女子便所の排水を合流させる場合は男子便所+女子便所=68単位として配管径を計算する。今回の場合だといずれのケースにおいても100Aとなる。 管径[A] 排水横主管,屋外排水管[単位] 勾配 1/200 1/100 1/50 100 – 180 216 計算例 その2 次は建物が5F建ての場合を確認する。トイレ廻りの平面は計算例その1と同様とする。そのため、排水横枝管の算定は省略する。 排水たて管 室名称排水負荷単位2F男子便所392F女子便所293F男子便所393F女子便所294F男子便所394F女子便所295F男子便所395F女子便所29合計272 排水たて管の配管径の算出にあたり、各室からの排水負荷単位を合計して排水負荷単位を求める。合計272単位となる。建物が5階建て(ブランチ間隔4)であるため、下表のブランチ間隔4以上より配管たて管を算定する。「たて管合計」もしくは「たて管合流までの枝管」により求められる配管径の大きい方を排水たて管とする。なお、「たて管合流までの枝管」とは最大排水負荷単位となる1つの階のことを示す。つまり今回のケースでは男子便所+女子便所=68単位となる。「たて管の合計」は272<500。「たて管合流までの枝管」は68<90。そのため排水たて管は100Aとなる。 管径[A] 排水たて管[単位] ブランチ間隔3以下 ブランチ間隔4以上 たて管合計 たて管合流までの枝管 100 240 500 90 排水横主管 -2F~5F系統- 排水横主管の配管径の算出にあたり、各室からの排水負荷単位を合計して排水負荷単位を求める。合計272単位となる。(多くのケースで排水たて管と同じ排水負荷単位となる)下表より管径は125Aとなる。 管径[A] 排水横主管,屋外排水管[単位] 勾配 1/200 1/100 1/50 125 – 390 480 まとめ 今回は排水負荷単位から排水管径を決定する方法を紹介した。屋内の排水並びに敷地内の排水計画は排水負荷単位から求めることが多いが、公共下水道へ接続する際は、別途マニングの公式により排水管径を求めることも多い。そのため排水負荷単位以外にもマニングの公式より求める方法もマスターするべきだ。マニングの公式は以下の記事で紹介しているため、是非確認頂ければと思う。 【必見】排水勾配と排水量がわかる-マニングの公式-はいこんにちは。普段排水の計算をしていて行政などからマニングの公式やクッターの公式を用いて計算するよう指導された経験はないだろうか。そのように指導された場合建築設備設計基準に記載の計算方法と異なるため困ってしまう方も多いかと思う。また純粋に...
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