【排水設備】浄化槽とBODの計算方法を紹介

こんにちは。

浄化槽を計画する際に必ずと言っていいほど、排水の水質が現地基準を満足しているかどうか検証が必要となる。
排水水質といえば、BODの他にCOD、T-N、T-P、SSN-Hexなどさまざまな基準を満たさなければならない。

その中でも今回はBODの除去率に伴う排水水質の求め方を紹介する。

浄化槽を設置する理由

通常都市圏では下水道が配備されているため、浄化槽を設置することはほとんどない。
しかし、都市圏を少し外れると下水道が配備されていない地域もある。
そう言った場合には浄化槽で排水処理を行ったのちに、建物内からの排水を直接付近の側溝や海に放流する必要がある。
(なお、海への放流は漁業権についての打ち合わせがかかせない。)

浄化槽への流入水

浄化槽への流入は大きく雑排水と汚水に大別される。
汚水はトイレからのし尿を含む排水であり、雑排水はそれ以外の排水を示す。
そのため、汚水と雑排水は排水水質が大きく異なることが特徴だ。
つまり、浄化槽の流入水質は雑排水と汚水のBODを平均化した数値となる。
例えば、雑排水と汚水の排水量が同じで、雑排水のBODが150mg/L、汚水のBODが250mg/Lの場合は浄化槽への流入BODは200mg/Lとなる。

BODとは

BODとは「BioChemical Oxygen Demand」の略を示す。
和訳すると生物化学的酸素要求量といい、微生物が水中の有機物を分解するときに必要な酸素量を示す。
これは、水の汚濁指標として用いられ、この数値が大きいほど汚れていることを示す。

BODの計算方法

排水量と流入BODの整理

浄化槽から排出されるBODを計算するためには、流入側のBODを把握する必要がある。
今回は雑排水の排水量が10m3/日、BODが100mg/Lとする。
また、汚水の排水量は5m3/日、BODは250mg/Lとする。

浄化槽流入BODの求め方

浄化槽の流入BODを求めるためには、まず雑排水割合を求める必要がある。
計算方法は以下の通りとなる。
(汚水のBODの方が雑排水BODのよりも大きいことを前提とした計算式となる。)

雑排水割合の計算方法
雑排水割合[%] = 雑排水排水量[m3/日] ÷ (雑排水排水量[m3/日] + 汚水排水量[m3/日])
雑排水割合[%] = 10[m3/日] ÷ (10[m3/日] + 5[m3/日])
雑排水割合[%] = 66.67%
流入BODの計算方法
流入BOD[mg/L] =
雑排水BOD[mg/L] + (汚水BOD[mg/L] – 雑排水BOD[mg/L]) x (1 – 雑排水割合[%])
流入BOD[mg/L] = 100[mg/L] + (250[mg/L] – 100[mg/L]) x ( 1- 0.6667) 
流入BOD[mg/L] = 150[mg/L]

流出BODの計算方法

流出BODの計算は、浄化槽によるBODの除去率を用いて計算が可能だ。
BOD除去率は90%以上であることが多い。
今回はNOD除去率 = 90% として計算を行う。 

流出BODの計算方法
流出BOD[mg/L] = 流入BOD[mg/L] x BOD除去率[%]
流出BOD[mg/L] = 150[mg/L] x 90[%]
流出BOD[mg/L] = 15[mg/L]

計算例

計算例①

左図の条件で計算を行うと浄化槽流入BODは210mg/Lとなり、平均流出BODは21mg/Lとなる。

計算例②

左図の条件で計算を行うと浄化槽流入BODは165mg/Lとなり、平均流出BODは8mg/Lとなる。

まとめ

その中でも今回はBODの除去率に伴う排水水質の求め方を紹介した。
計算方法さえわかれば、BODの計算自体は特段難しくはない。
但し、冒頭でも紹介した通り浄化槽の計算はBODだけを対象とするわけではない。
そのため、浄化槽メーカーへ計算や機器選定をお願いすることが間違いはないだろう。

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