【排水設備】浄化槽とBODの計算方法を紹介 2024.05.19 こんにちは。浄化槽を計画する際に必ずと言っていいほど、排水の水質が現地基準を満足しているかどうか検証が必要となる。排水水質といえば、BODの他にCOD、T-N、T-P、SSN-Hexなどさまざまな基準を満たさなければならない。その中でも今回はBODの除去率に伴う排水水質の求め方を紹介する。 コンテンツ 浄化槽の概要浄化槽を設置する理由浄化槽への流入水BODとはBODの計算方法排水量と流入BODの整理浄化槽流入BODの求め方流出BODの計算方法計算例計算例①計算例②まとめ 浄化槽の概要 浄化槽を設置する理由 通常都市圏では下水道が配備されているため、浄化槽を設置することはほとんどない。しかし、都市圏を少し外れると下水道が配備されていない地域もある。そう言った場合には浄化槽で排水処理を行ったのちに、建物内からの排水を直接付近の側溝や海に放流する必要がある。(なお、海への放流は漁業権についての打ち合わせがかかせない。) 浄化槽への流入水 浄化槽への流入は大きく雑排水と汚水に大別される。汚水はトイレからのし尿を含む排水であり、雑排水はそれ以外の排水を示す。そのため、汚水と雑排水は排水水質が大きく異なることが特徴だ。つまり、浄化槽の流入水質は雑排水と汚水のBODを平均化した数値となる。例えば、雑排水と汚水の排水量が同じで、雑排水のBODが150mg/L、汚水のBODが250mg/Lの場合は浄化槽への流入BODは200mg/Lとなる。 BODとは BODとは「BioChemical Oxygen Demand」の略を示す。和訳すると生物化学的酸素要求量といい、微生物が水中の有機物を分解するときに必要な酸素量を示す。これは、水の汚濁指標として用いられ、この数値が大きいほど汚れていることを示す。 BODの計算方法 排水量と流入BODの整理 浄化槽から排出されるBODを計算するためには、流入側のBODを把握する必要がある。今回は雑排水の排水量が10m3/日、BODが100mg/Lとする。また、汚水の排水量は5m3/日、BODは250mg/Lとする。 浄化槽流入BODの求め方 浄化槽の流入BODを求めるためには、まず雑排水割合を求める必要がある。計算方法は以下の通りとなる。(汚水のBODの方が雑排水BODのよりも大きいことを前提とした計算式となる。) 雑排水割合の計算方法雑排水割合[%] = 雑排水排水量[m3/日] ÷ (雑排水排水量[m3/日] + 汚水排水量[m3/日])雑排水割合[%] = 10[m3/日] ÷ (10[m3/日] + 5[m3/日])雑排水割合[%] = 66.67% 流入BODの計算方法流入BOD[mg/L] =雑排水BOD[mg/L] + (汚水BOD[mg/L] – 雑排水BOD[mg/L]) x (1 – 雑排水割合[%])流入BOD[mg/L] = 100[mg/L] + (250[mg/L] – 100[mg/L]) x ( 1- 0.6667) 流入BOD[mg/L] = 150[mg/L] 流出BODの計算方法 流出BODの計算は、浄化槽によるBODの除去率を用いて計算が可能だ。BOD除去率は90%以上であることが多い。今回はNOD除去率 = 90% として計算を行う。 流出BODの計算方法流出BOD[mg/L] = 流入BOD[mg/L] x BOD除去率[%]流出BOD[mg/L] = 150[mg/L] x 90[%]流出BOD[mg/L] = 15[mg/L] 計算例 計算例① 引用:メカナビ(iosアプリ) 左図の条件で計算を行うと浄化槽流入BODは210mg/Lとなり、平均流出BODは21mg/Lとなる。 計算例② 引用:メカナビ(iosアプリ) 左図の条件で計算を行うと浄化槽流入BODは165mg/Lとなり、平均流出BODは8mg/Lとなる。 まとめ その中でも今回はBODの除去率に伴う排水水質の求め方を紹介した。計算方法さえわかれば、BODの計算自体は特段難しくはない。但し、冒頭でも紹介した通り浄化槽の計算はBODだけを対象とするわけではない。そのため、浄化槽メーカーへ計算や機器選定をお願いすることが間違いはないだろう。
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