【改修時に必須の知識】風量が変わると必要静圧(圧損)はどの程度変化する? 2024.10.132024.10.14 こんにちは。建物の改修や空調機の改修を行う際、空調機の風量だけを変更し、ダクトを再利用する場合がほとんどである。風量を変更させるということは、必要な静圧も変わる。そのため、本来であれば、静圧計算を再度行う必要があるわけだが、既設のダクトが具体的にどのように施工されているかが、わからないことが多い。既設のダクト図があれば、静圧計算に必要な情報を拾うことが可能かも知れない。しかし、20年から30年はcadではなかったことも多いため、読み取ることができない図面であることもしばしばある。そういった状況下でも実は必要静圧を算出する方法はある。具体的には必要静圧は動圧に比例する。今回は風量や動圧と必要静圧の関係性について紹介する。 コンテンツ 境界条件風量と静圧の関係動圧と静圧の関係風量から動圧の算出方法局部抵抗の傾向計算例まとめ 境界条件 本稿では、風量や動圧、必要静圧について、ある一定の傾向がわかれば十分であるため、以下の条件で計算を行う。 今回試算を行う条件風量600m3/h~1,500m3/h(100m3/h刻み)ダクト径200Φ,250Φ,300Φ,350Φ,300×300,350×350 風量と静圧の関係 風量と静圧の相関図を以下に示す。静圧は風量の2乗に比例することがわかる。またこの傾向は、丸ダクトと角ダクトで特に変わらないことがわかる。(風量が0のとき、必要静圧が厳密には0にはならないが、下表の近似式より誤差の範囲だろう。) 動圧と静圧の関係 次に、動圧と静圧の相関図を以下に示す。風量と静圧のときの関係とは異なり、動圧と静圧は比例する関係にあることがわかる。(風量が0のとき、必要静圧が厳密には0にはならないが、下表の近似式より誤差の範囲だろう。) 風量から動圧の算出方法 風量から動圧の算出方法を以下に紹介する。動圧は風速の2乗を用いて算出するため、結果として、静圧は風量の2乗といった相関となる。 動圧の算定式 動圧[Pa] = 空気密度[kg/m3] x 風速[m/s]^2 ÷ 2 ※但し、空気密度は1.2とする。 局部抵抗の傾向 局部抵抗係数は以下の式で示される。つまり、直管部の抵抗と同様に静圧は風量の2乗に比例し、動圧に比例する関係となる。 局部抵抗の算定式局部抵抗[Pa] = 局部抵抗係数 x 動圧[Pa]※局部抵抗係数は部材によって異なる。 計算例 以下に計算例としての既設機器とダクト径等の仕様を示す。風量が5,000CMHで機外静圧が500Pa、ダクト径が600×400の場合における計算を行う。 既設機器の計算条件既設空調機仕様空調機風量5,000CMH空調機機外静圧500Pa既設ダクト仕様ダクト径600 x 400既設仕様の計算値丸ダクト相当サイズ533Φ面風速6.3m/s動圧23.8Pa/m 上記の既設機器の計算条件を基に、下表に示す空調機風量4,000CMHへ変更した場合の空調機機外静圧を算定する。空調機更新前後により、静圧の見直し係数は0.63となり、空調機の機外静圧は315Paとなる。 更新機器の計算更新空調機の風量空調機風量4,000CMH計算見直し丸ダクト相当サイズ533Φ面風速5.0m/s動圧15.0Pa/m計算結果静圧見直し係数15.0Pa/m ÷ 23.8Pa/m = 0.63空調機機外静圧500Pa x 0.63 = 315Pa まとめ 今回は風量や動圧と必要静圧の関係性について紹介した。必要静圧は風量の2乗に比例し、動圧に比例する。これらの関係性がわかれば、空調機を改修し、風量を変更する場合においても、必要静圧を求める事ができるはずである。
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