こんにちは。
普段空調設計を行う際は熱負荷計算から各室の室負荷を計算する。
そのうえで空調容量を求めることが普通だ。
だが特殊な室の場合は発熱量から空調容量や換気風量を求めることがある。
例えば電気室は発熱量から必要な換気量や空調容量を求めることとなる。
比較的温暖な地域かつ大規模な建物では電気室に空調を導入することがほとんどだ。
だが東北や北海道などの寒冷地では換気のみ導入することも多い。
今回は電気室の発熱量から必要な換気量を算定する方法を紹介する。
発熱量から必要換気量を算定する手順を以下に紹介する。
手順 | 内容 |
---|---|
ステップ① | 機器からの発熱量を把握 |
ステップ② | 機器の稼働可能温度を確認 |
ステップ③ | 必要換気量を算定 |
ステップ① 機器からの発熱量を把握
電気室には主に変圧器が設置される。
建築設備設計基準には電気容量毎の発熱量が記載されている。
以下に変圧器容量別の発熱量を紹介する。
変圧器容量[kVA] | 20 | 30 | 50 | 75 | 100 | 150 | 200 | 300 | 500 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
発熱量 [kW] | 油入 | 単相 | 0.4 | 0.6 | 0.9 | 1.2 | 1.4 | 2.1 | 2.6 | 3.6 | 5.7 |
三相 | 0.5 | 0.7 | 1.1 | 1.3 | 1.7 | 2.4 | 3.0 | 4.4 | 6.6 | ||
モールド | 単相 | 0.5 | 0.7 | 1.0 | 1.3 | 1.6 | 2.2 | 2.7 | 3.9 | 6.1 | |
三相 | 0.8 | 1.0 | 1.4 | 1.8 | 2.1 | 2.8 | 3.3 | 4.5 | 6.4 |
つまり電気設計担当者より変圧器容量を確認できれば発熱量を計算することが可能だ
ステップ② 機器の可能稼働温度を確認
建築設備設計基準では電気室内の温度は40℃以下になるように必要換気量の計算を行う。
ただし特殊機器などが室内に設置される場合はその旨をあらかじめ加味する必要がある。
(40℃よりもさらに低い温度が機器の可能稼働温度である場合は空調の導入がほぼ必須だ。)
ステップ③ 必要換気量を算定
次に必要換気量を算定する。
必要換気量算定式は以下の通りだ。
計算式 | 必要換気量[CMH] = (発熱量[kW] x 3,600[(kJ/h)/kW]) ÷ (空気密度 x (許容温度[℃] – 設計外気温度[℃])) |
必要換気量[CMH] = (発熱量[kW] x 3,600[(kJ/h)/kW]) ÷ (1.2 x (40[℃] – 設計外気温度[℃])) |
※出典:建築設備設計基準
計算例
上記説明だけだとわかりづらいかと思うので以下に計算例を紹介する。
与条件
与条件 | |
電気容量 | 変圧器容量:500kVA(モールド,三相) |
許容温度 | 40℃ |
設計外気温度 | 35℃ |
発熱量を求める
変圧器容量は500kVA(モールド、三相)だ。
そのため先ほど紹介した変圧器容量別の発熱量より6.4kWを導き出すことができる。
許容温度の確認
許容温度は与条件より40℃であることが確認できる。
必要換気量の算定
必要換気量の計算式は以下の通りだ。
計算式 | 必要換気量[CMH] = (発熱量[kW] x 3,600[(kJ/h)/kW]) ÷ (空気密度 x (許容温度[℃] – 設計外気温度[℃])) |
必要換気量[CMH] = (6.4[kW] x 3,600[(kJ/h)/kW]) ÷ (1.2 x (40[℃] – 35[℃])) | |
必要換気量[CMH]=3,840[CMH] |
つまり必要な換気量は3,840[CMH]となる。
換気計算ツールは以下のページで紹介しているので興味がある方はご確認頂きたい。
まとめ
今回は電気室の発熱量から必要な換気量を算定する方法を紹介した。
電気室に必要な換気量の計算ができるようになれば実は電気室以外にも応用することが可能だ。
そのためまずは電気室の換気量の計算を身につけていただければと思う。
以下のリンクでも様々な換気量について紹介しているので興味があればご確認頂ければと思う。
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