【機械設備】設計用外気条件と実際の温湿度の違い

こんにちは。

普段何気なく建築設備設計基準(茶本)から読み取っている設計用外気温湿度。
思ったよりも設計温湿度が低いと思われた方はいないだろうか。
最近では各地で40℃を超えたなどとニュースでも報じることが多い。
しかし設計用外気温湿度は40℃を超えていないことが実情だ。
そのため、特に民間案件では、なぜ設計用外気温湿度がこんなにも低いのかと問われることも多い。
設計者としてはそういった問いにも明確に答えられるようにしておく必要がある。

今回は夏期における設計用外気温湿度と実際の外気温湿度の違いについて紹介する。

設計用外気温湿度

地域別外気温湿度(夏期)
札幌30.7℃ 59.2% 73.2kJ/kg
仙台32.9℃ 59.0% 81.2kJ/kg
東京34.8℃ 58.0% 87.8kJ/kg
名古屋35.4℃ 50.6% 83.0kJ/kg
大阪34.9℃ 53.1% 83.5kJ/kg
福岡35.1℃ 57.3% 88.3kJ/kg
那覇32.9℃ 70.9% 89.1kJ/kg
出典:建築設備設計基準(令和3年版)

建築設備設計基準では、設計用の外気温湿度として各地域の外気温湿度条件を定めている。
左表に主要都市の設計用外気温湿度(夏期)を紹介する。
いずれの都市においても設計用外気温湿度は40℃を下回っていることがわかる。

外気温湿度の算出条件(夏期)
2010年から2019年の気象データを引用
危険率2.5%とした値(冷房は6月~9月)

設計用外気温湿度の算出条件は左表に示す通りである。
2010年から2019年の気象データを使用していることが特徴だ。
また、危険率2.5%(TACとも呼ぶ)を使用しているため、異常気象を考慮した外気温湿度ではないことが特徴だ。

近年の外気温湿度の推移

上図に東京における月別、年別の外気温度、相対湿度相関図を示す。
平均外気温度なので本図においても40℃を超える結果とはなってはいないが、年々温湿度が上昇していることが読み取れる。

2023における東京都の温湿度

2023年の6月から9月における東京の温湿度を空気線図で示す。
気象庁HPより得られたcsvデータを使用し、1時間ごとのデータをプロットした。
設計用外気温度である34.8℃およびエンタルピーの87.8kJ/kgの部分に波線を記載した。
全体的に見ると僅かではあるが87.8kJ/kgを超えている時間があることがわかる。

下表に2023年の東京における外気温湿度の集計を示す。
6月から9月の全時間帯及び就業時間中のみを対象とした数値の2種類を併記している。
東京の設計用外気エンタルピーである87.8kJ/kgを超えた時間数は全体のうち32時間のみであった。
また、その割合は就業時間帯のみを対象とした場合において、2.62%であった。
つまり、建築設備設計基準の危険率2.5%からは大きく逸脱はしていない結果となった。

対象範囲(2023年東京)時間数87.8kJ/kg以上の時間数割合
6月から9月の全時間帯2,928h32h1.09%
6月から9月かつ8時から17時1,220h32h2.62%

まとめ

今回は夏期における設計用外気温湿度と実際の外気温湿度の違いについて紹介した。
設計用外気温湿度はあくまでも異常気象を対象としているわけではなく、危険率2.5%を加味した外気温湿度である点が特徴である。
そのため、民間案件の場合は特に、この外気温湿度条件での設計を行う旨を一度協議し快諾いただくことが大切だろう。

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