パスダクトのダクト径の求め方を紹介

こんにちは。

少しでも建物の省エネ化を図るため、空調空気の二次利用(カスケード利用)を計画することが多い。
空調空気の二次利用を行うことで、廊下などの空調を行う必要性が低くなり、結果として、省エネにつながる。
空調空気の二次利用を行う際には、ドアガラリや、アンダーカット、パスダクトを用いる。

今回は、パスダクトのダクト径の計算方法を紹介する。

ドアガラリやアンダーカット、パスダクトを計画する際に、通常ファンを設置することはない。
そのため、自然に空気の流出入を行わせる必要があるが、面風速が速いと他の隙間から予期しない空気の流出入が発生する。
具体的にはこれらの予期しない空気の流出入には、隙間風による騒音を伴う。
これを避けるため、一般的に面風速が1.5m/s~2.0m/s以下となるように計画を行う必要がある。
詳細は以下の記事で紹介しているため参照されたい。

パスダクトのダクト径

パスダクトのダクト径は以下の式で求めることが可能である。

スパイラルダクトのダクト径計算式
有効面積[m2]風量[m3/h] ÷ 面風速[m/s] ÷ 3,600[s/h]
ダクト径[Φ]√(有効面積[m2] ÷ π) x 2
矩形ダクトのダクト径計算式
有効面積[m2]風量[m3/h] ÷ 面風速[m/s] ÷ 3,600[s/h]
ダクト径[mm]有効面積を満たすように幅と高さのダクト径を設定

有効面積[m2]

風量と面風速からスパイラルダクトに必要な面積を求めることができる。
パスダクトにおける面風速は通常1.5m/s以下で計画するため、1.5m/sと設定する。
3,600[s/h]は単位換算のために使用している。

スパイラルダクトのダクト径

スパイラルダクトのダクト径を求める際には、円の半径から円の面積を求めるための公式を利用すると良い。(下表)
円の面積を求める公式を組み替えることで、円の半径[m] = √(円の面積[m2] ÷ π)となる。
つまり、円の直径は円の半径[m] x 2となる。

スパイラルダクトのダクト径計算式
円の面積[m2]円の半径[m] x 円の半径[m] x π
円の半径[m]√(円の面積[m2] ÷ π)
円の直径[m]円の半径[m] x 2

パスダクト計算例

計算例①

与条件
風量300m3/h
面風速1.5m/s
計算例
必要面積300m3/h ÷ 1.5m/s ÷ 3,600s/h = 0.056m2
スパイラルダクトの径 √(0.056m2 ÷ π) x 2 = 0.268m → 300Φ
矩形ダクトの径400×150,300×200,250×250等

(参考)圧損 約5Pa程度

計算例②

与条件
風量500m3/h
面風速1.5m/s
計算例
必要面積500m3/h ÷ 1.5m/s ÷ 3,600s/h = 0.093m2
スパイラルダクトの径 √(0.093m2 ÷ π) x 2 = 0.345m → 350Φ
矩形ダクトの径500×200,400×250,350×300等

(参考)圧損 約2Pa程度

(参考)パスダクトの制気口の大きさ

前項の隙間風等を理由に、パスダクトの制気口の大きさについても、面風速を考慮して決定する必要がある。
具体的には開口率を考慮したうえで、面風速が1.5m/s以下となるように設定することが望ましい。
詳細は以下の記事で紹介しているため、興味がある方は参考にされたい。

まとめ

今回は、パスダクトのダクト径の計算方法を紹介した。
パスダクトの面風速や求め方については、基本的な内容さえ理解できていれば、算出自体はそこまで難しくない。
そのため、是非とも習得いただければと思う。

あきしょー工房公式アプリ メカナビ!

機械設備に関する計算をはじめ、気象データ、表やグラフなどをアプリ内で公開。詳細はこちらよりご確認いただければと思う。

イラストや技術データ、ソフト、電子書籍のダウンロードは?

本ブログで紹介しているイラストや技術データ、電子書籍はすべてこちらで公開している。
興味がある方は是非ご確認頂ければと思う。(iosアプリ メカナビご利用者限定!)
閲覧はこちらから!


より深く学びたい方は以下の書籍がおすすめ!



初心者マークとおさらば ダクト図の基本


本サイト経営者が執筆。
各設備の中でもダクト設備は特に覚えることが多い上に奥深いことが特徴だ。
そこで本書ではダクトに関する基礎的な知識を極力わかりやすく紹介。
まずは本書を通じてダクトの基本を身につけて頂ければと思う。
Kindle Unlimitedユーザーであれば無料で購読が可能だ。


購読はこちらから





初心者マークとおさらば 換気計画の基本


本サイト経営者が執筆。
各設備の中でも換気計画は、最も重要な設備の一つであり、基本中の基本である。
そこで本書では換気計画に関する基礎的な知識を極力わかりやすく紹介している。
本書を読めば基本的な換気計画の考え方を習得可能だ。
Kindle Unlimitedユーザーであれば無料で購読が可能だ。


購読はこちらから




初心者マークとおさらば エアコンの基本

本サイト経営者が執筆。
多くの家庭に設置されているエアコン。
近年では外気温度も年々上昇しております桝エアコンのニーズが高まっている。
そこで本書ではエアコンに関する基礎的な知識を極力わかりやすく紹介。
まずは本書を通じてエアコンの基本を身につけて頂ければと思う。
Kindle Unlimitedユーザーであれば無料で購読が可能だ。


購読はこちらから




初心者マークとおさらば 空気線図のよみかた

本サイト経営者が執筆。
参考書といえばどうしても難しい表現で記載されていることが多い。
難しい表現を使った書籍で理解を深めるためにはそれ相応の時間を要する。
本書はそんな難しい表現を極力使用せずに空気線図について紹介している。
今回をきっかけに空気線図を学びたい方にはぴったりだ。
Kindle Unlimitedユーザーであれば無料で購読が可能だ。


購読はこちらから



お悩み相談掲示板を始めました!
建築に関する内容やその他建築だけに関わらず、こちらへご相談ください!

Mechanical System
秋翔設計 -Akisho Architectural & Engineering Consultants-

コメント