こんにちは。
近年ではカーボンニュートラルの観点から様々な省エネ技術を導入することが多い。
その中でも外気を用いた技術は比較的導入される傾向にある。
今回はそんな省エネ技術の一つである外気冷房の概要や運転方法の特徴について紹介する。
中間期や夏期において、室内の空気や屋外の空気を冷やし、室内へ供給を行い空調を行う。
一方で外気冷房は外気を直接的に建物内に導入する。
導入する外気は冷やすことなく空調の代わりに使用する。
冷房を行わず冷涼な外気を用いた分だけ省エネとなる。
外気冷房のためのダクトサイズ
通常外気ダクトや排気ダクトは必要最低限の大きさしか設けない。
一方で外気冷房を行う際は全外気で運転を行う。
そのため外気ダクトや排気ダクトも給気ダクトと同じ大きさとする必要がある。
外気冷房を行うための外気条件
基本的に外気冷房を行う際には室温よりも低い外気を用いることが絶対だ。
つまり通常の建物であれば26℃以下、クールビズ空調を行っている建物であれば28℃以下の空気を使用する必要がある。
その他にも以下の外気冷房使用可否の条件を設ける場合があるので一通り紹介する。
①温度のみ条件を設ける場合
温度のみを外気冷房使用可否の条件する場合の空気線図のイメージは左図の通りとなる。
②温度とエンタルピーに条件を設ける場合
温度とエンタルピーを外気冷房使用可否の条件する場合の空気線図のイメージは左図の通りとなる。
外気エンタルピーの方が室内エンタルピーよりも大きい場合は、処理するべき熱負荷を処理できない外気を取り入れることとなる。
そのためエンタルピーも外気冷房使用可否条件に設定する場合がある。
③温度と相対湿度に条件を設ける場合
温度と相対湿度を外気冷房使用可否の条件する場合の空気線図のイメージは左図の通りとなる。
温度だけを外気冷房使用可否の条件とする場合、梅雨の時期のじめじめした空気も導入することとなる。
じめじめした空気を少しでも緩和するために相対湿度も対象としている。
④温度と絶対湿度に条件を設ける場合
温度と絶対湿度を外気冷房使用可否の条件する場合の空気線図のイメージは左図の通りとなる。
確実に室内の湿度を処理するためには絶対湿度にも制限を設ける必要がある。
通常空調を行う際も室内の絶対湿度よりも低い空気が導入されている。
⑤温度と絶対湿度、エンタルピーに条件を設ける場合
温度と絶対湿度、エンタルピーを外気冷房使用可否の条件する場合の空気線図のイメージは左図の通りとなる。
通常空調を行うときと近しい外気条件の場合のみ外気冷房を行う方法だ。
外気冷房を行うことができる時間は少ないものの最も室内環境が乱れることが少ない。
条件別外気冷房運転可能時間
前項で紹介した外気冷房使用可否条件別に年間の外気冷房運転可能時間を紹介する。
①境界条件
気象庁で公開されているcsvデータ(2022年、1時間データ)を用いることとする。
場所は東京とし、1時間ごとの外気温度、外気相対湿度を用いる。
土曜日曜を除く8時から17時までを対象とする。
また夏期中間期のみを対象とするため4月から11月までを対象とする。
各条件の外気冷房運転可否は左図による。
②条件別外気冷房運転可能時間
条件別の外気冷房運転可能時間を紹介する。
最も条件が緩い温度のみを外気冷房の運転条件とする場合は66.6%となった。
一方で最も条件が厳しい温度、絶対湿度、エンタルピーを外気冷房の運転条件とする場合は34.0%となった。
③条件別月別外気冷房運転時間
条件別月別外気冷房運転時間を示す。
温度のみを外気冷房運転条件とした場合では8月にも外気冷房を運転可能な時間がわずかながら存在する。
だがその他の条件では火気に外気冷房を運用可能な時間はほとんどない。
つまり外気冷房は主に中間期に導入可能な技術となる。
まとめ
今回はそんな省エネ技術の一つである外気冷房の概要や運転方法の特徴について紹介した。
一概に外気冷房といっても様々な制御方法がある。
そのためそれぞれの地域特性に合わせた外気冷房制御とする必要がある。
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