ドアガラリ・アンダーカット・パスダクト -推奨面風速を紹介-

こんにちは。

設備設計を行う上で意匠担当と必ず打合せする内容の一つ。
ドアガラリやアンダーカットだろう。
またその際にパスダクトが使用される場合もある。

特にパスダクトについては面風速についての直接的な基準がないためにどの程度の大きさで計画したらよいかわからない方も少なくない。

今回はドアガラリやアンダーカット、パスダクトの基礎および推奨面風速について紹介する。

ドアガラリ、アンダーカット・パスダクトはいずれも部屋と部屋を空気でつなぐための開口だ。
つまり開口を設ける方法により呼び名が変わる。
以下にそれぞれ紹介する。

ドアガラリ

ドアガラリは扉(建具)自体にガラリが設置される。
扉に設けられたガラリを通じて空気が流出入する。
ドアガラリはアンダーカットに比べて比較的大きな風量の流出入が可能だ。

アンダーカット

扉の下部にすき間がある扉をアンダーカットと呼ぶ。
アンダーカットはドアガラリに比べて意匠性はよい。
だがせいぜい1cm程度しかアンダーカットの高さを確保できない。
つまり小さな風量の流出入しか期待ができない。

パスダクト

パスダクトは扉に対して設ける設備ではない。
ダクトを各室の間で接続することで空気の流出入を行う方法だ。
メリットは扉にガラリやアンダーカットを設ける必要がないことだ。
デメリットとしては使用する材料が大幅に増えるためコストが高い。

ドアガラリ・アンダーカット・パスダクトが必要な理由

換気方式給気排気室内の圧力
第一種機械換気機械換気機械換気等圧
第二種機械換気機械換気自然換気陽圧(正圧)
第三種機械換気自然換気機械換気陰圧(負圧)

建物の換気は建築基準法に基づき計画される。
また換気の方式は大きく三種類あり第一種機械換気、第二種機械換気、第三種機械換気がある。
各換気方式が選定される要因は様々だ。
だが、特に第二種機械換気および第三種機械換気を設置する室およびその隣室にはドアガラリ・アンダーカット・パスダクトのいずれかが設置される必要がある。(絶対ではない)
第二種機械換気は室内が陽圧(正圧)となり第三種機械換気は室内が陰圧(負圧)となる。
そのため壁面や窓面のどこかから空気の流出入が発生する。
ドアガラリ・アンダーカット・パスダクトのいずれかが設けられていればそこから空気の流出入が行われる。
だがいずれも設けられていない場合は室内のわずかなすき間から風切り音を発生させて空気の流出入が行われる。

(参考)換気種別の違いについて詳細は以下の記事で紹介しているため参考にされたい。

ドアガラリ・アンダーカット・パスダクトの面風速

建築設備設計基準によればドアガラリ・アンダーカットの面風速は以下の通りだ。
なおパスダクトについては面風速の記載がない。
だがドアガラリとアンダーカットに要求される面風速の低い方、つまり1.5m/s以下とすることが望ましいだろう。

項目面風速
ドアガラリ2.0 m/s
アンダーカット1.5 m/s
パスダクト定義なし
(1.5m/s推奨)

風速が速いと

ドアガラリやアンダーカット・パスダクトが適切に設けられていないと扉の開閉に支障が出たり隙間風が発生する。

(参考)以下の記事で扉にかかる圧力について紹介しているため興味がある方は参考頂きたい。

有効開口の計算方法

ドアガラリやアンダーカット・パスダクトの有効開口の計算方法は以下の通りだ。

計算式
有効開口[m2] = 風量[m3/h] ÷ 3,600[s/h] ÷面風速[m/s]

計算例①

パスする風量が300CMHでドアガラリを使用する場合に必要な開口を求める。

計算式
有効開口[m2] = 風量[m3/h] ÷ 3,600[s/h] ÷面風速[m/s]
有効開口[m2] = 300[m3/h] ÷ 3,600[s/h] ÷2.0[m/s] = 0.042[m2]

風量が300m3/hで面風速が2.0m/sとなる。つまり、有効面積は0.042m2となる。

計算例②

パスする風量が100CMHでアンダーカットを使用する場合に必要な開口を求める。

計算式
有効開口[m2] = 風量[m3/h] ÷ 3,600[s/h] ÷面風速[m/s]
有効開口[m2] = 100[m3/h] ÷ 3,600[s/h] ÷1.5[m/s] = 0.019[m2]

風量が100m3/hで面風速が1.5m/sとなる。つまり、有効面積は0.019m2となる。

まとめ

今回はドアガラリやアンダーカット、パスダクトの基礎および推奨面風速について紹介した。
本稿が計画の参考になればと思う。

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