【徹底比較】EHPとGHPのどちらを選択するべきか

はいこんにちは。
近年では空冷ヒートポンプパッケージ(以降:パッケージエアコン)の効率も上昇していることもあり比較的中規模や大規模の建物においても個別熱源による空調とされることが増えている。
より汎用性が高まっているパッケージエアコン。
より多くの方が設計時にパッケージエアコンにて空調を計画することが増えているがパッケージエアコンとはいえ電気熱源とするかガス熱源とするかはよく考える必要がある。
今回は電気熱源のパッケージエアコン(以降:EHP)とガス熱源のパッケージエアコン(以降:GHP)についてそれぞれ比較していくこととする。

まず最初にEHPとGHPの違いについて。
EHPのEとはelectricの意味。
一方でGHPのGとはgasの意味。
HPはヒートポンプを意味する。
それぞれの違いは使用する燃料の違いだ。

EHPは電気を主熱源として空調を行う機器だ。
一方でGHPはガスを主熱源として空調を行う機器である。
但しGHPについてだがガスのみを燃料としているわけではなく起動用の電源としては電気を用いている。

通常EHPの場合建物内にキュービクルがありキュービクルで電気が変圧された後にEHPへ供給される。
一方でGHPの場合は、道路に埋められているガス管もしくは都市ガスが通っていない地域の場合はプロパンガスなどによりGHPへ供給される。

EHPとGHPの使い分け

EHPとGHPの特徴を説明したので次にそれぞれの使い分けを紹介する。
主にEHPの特徴は以下の通り

EHPの特徴
・電気を主熱源とした空調。
・必要電力量が大きいためキュービクルが増大する。
・ガス配管を建物内に引き込む必要がない。
・電気の基本料金が増加する。
・効率がよい。

GHPの特徴
・ガスを主熱源とした空調。
・必要電力量が小さいキュービクルを小さくすることができる。
・ガス配管を建物内に引き込む必要がある。
・ガスの基本料金が発生するが電気の基本料金に比べ安い。

EHPとGHPのランニングコスト比較 ①境界条件

続いてEHPとGHPの場合でのコスト比較を行ってみることとする。
なお機器本体の価格や設置にかかる費用、その他冷媒管などの初期費用および機器更新や点検などにかかる費用は考慮しないものとした。
なお本検討はあくまでも試算であるためあくまでも参考程度にされたい。

各境界条件を示す。
延べ面積10,000m2とし場所は東京とした。
電気料金とガス料金は添付の通り。
某社の料金表を参考にした。

EHPとGHPのランニングコスト比較 ②庁舎の場合

まず最初に庁舎を想定して比較することとする。
庁舎の場合の境界条件は以下の通り。
庁舎の特徴としては平日日中および残業時間含めて一年中冷暖房が行われる。
そのため年間を通じて電気代およびガス代を消費することが特徴だ。

上記の境界条件に年度ごとの累計費用について試算を行う。

庁舎分のEHPおよびGHPについて各年度の積算費用を試算した。
電気の基本料金は前項の契約電力から基本料金を乗じて算出とした。
↑220318_追記↑

先ほどの表をグラフ化した。
空調の運転時間が長いことからEHPの方が費用が安い結果となった。
庁舎において個別熱源の場合一般的にEHPが採用されることもうなずける結果となった。

EHPとGHPのランニングコスト比較 ③学校の場合

続いては学校を想定してEHPとGHPに係るランニングコストを試算する。
学校の特徴としては夏休みや冬休みがあり空調の運転時間が短いことがあげられる。
また夏休み、冬休みはそれぞれ冷暖房のピーク負荷が発生する期間であることもあり比較的低負荷な状態で空調が運用される。

上記の境界条件に年度ごとの累計費用について試算を行う。

学校分のEHPおよびGHPについて各年度の積算費用を試算した。
前項同様に電気の基本料金は前項の契約電力から基本料金を乗じて算出とした。
↑220318_追記↑

先ほどの表をグラフ化した。
GHPの方が費用が安い結果となった。
学校においては年間の空調時間が少ないこともあり電気の基本料金がEHP側に大きく負担となる傾向となった。

まとめ

今回は電気熱源のヒートポンプパッケージおよびガス熱源のヒートポンプパッケージについて紹介した。
建物用途によりEHPとGHPのどちらが安価となるかが異なることを説明した。
本検討はあくまで一例であり、実際の空調の使われ方や地域性によっても異なる。
そのため案件ごとにより検証したうえで設備計画を決めていただければと思う。

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コメント

  1. より:

    電気は基本料金が抜けているように見えますがいかがでしょうか。