意外と盲点? -屋内消火栓の計画の方法-

はいこんにちは。
ある程度の規模であれば設計をしていて普段屋内消火栓は基本的な設備として設置することが多いかと思う。
ただ所轄消防にもよるが彼らのローカルルールなどで思わぬ失敗をしたことはないだろうか。
今回はそんな屋内消火栓設置基準以外に事前に配慮すべき事項を紹介する。

屋内消火栓の種類

一口に屋内消火栓といっても様々な種類があるので以下に紹介する。
・1号消火栓
・易操作1号消火栓
・2号消火栓
・広範囲2号消火栓

とこれだけの種類が少なくとも存在する。
1号消火栓は基本的に1人では使用ができない消火栓。(2人必要)
これに対し少し前に登場した消火栓が易操作1号消火栓。
こちらは従来では2人でないと消火活動ができなかったものを改良し1人でも扱えるようにした消火栓だ。
それに対し当初から存在した2号消火栓は最初から1人で使用できるが易操作1号よりも前から存在していたこともありホースの長さが短いタイプとなっている。
一方で広範囲2号消火栓は2号消火栓のメリットを生かしつつホースの長さを2号消火栓からさらに延長した仕様となっている。

現在2号消火栓はほとんど使用されることがないかと思われるため今回は1号消火栓、易操作1号消火栓、広範囲2号消火栓に絞って紹介する。

屋内消火栓による包含

まずは最も基本的な部分である屋内消火栓による警戒範囲。
1号消火栓、易操作消火栓、広範囲2号消火栓は半径25m包含が必要だ。
建物全体を各屋内消火栓から半径25mで包含する必要がある。
建物の端を基準に半径25mの円を描いていくと最低限必要な屋内消火栓の数がわかる。
但し後述する各種基準も同時に網羅する必要がある。

ところで肝心の包含範囲の対象部分について。
所轄消防により異なるが通常は建築基準法上延床面積として参入している部分全域を警戒する必要がある。
そのため半屋外空間のような場所で延床面積が発生していればその部分についても屋内消火栓による警戒範囲としなければいけない。
また少しややこしい部分がバルコニーについてだ。
これも所轄消防により意見が異なるがバルコニーの外気側が建築基準法上の面積が発生する場合がある。
その場合はいくらばからしい位置に屋内消火栓を設けることになっても必要なものは必要となる可能性があることに注意されたい。
(例外的に消防側の判断により免除される場合もあり得るが)

屋内消火栓ホースによる実長警戒

前項で述べた半径25m包含の他にも基準がある。
(消防法上直接的には明記されていないが)
実際に屋内消火栓ホースが建物の全域に届かないと消火活動ができないことから消火栓ホースによる実長警戒を別途考える必要がある。

屋内消火栓ホースの長さは通常30mでありホース吐出口から水が7mまでしか放水距離を担保できないため実質37m以内で警戒する必要がある。
ここでもまた消防の見解にもよるがこの37mの警戒範囲の有効範囲は屋内消火栓半径25m以内の範囲でのみ有効となるケースがあるため注意されたい。
ほかにもホースの長さが30mであることから残りの放水距離7mは直線部分しか実質警戒できないことにも注意が必要だ。
(例えば90°折れ曲がった廊下に対して7mの放水距離は有効とはならない)

屋内消火栓の設置位置

屋内消火栓の設置位置は原則的に共用部に設置が望ましい。
というのももし専有部に設置し他部署などの専有部への屋内消火栓の警戒を行っている場合実質的にある専有部の人が他の専有部への消火活動ができない恐れがあるからだ。
(セキュリティなどが理由)

まとめ

今回は屋内消火栓の種類や概要および屋内消火栓による建物の警戒方法を紹介した。
当然所轄消防により見解は異なるため所轄消防の意見に準じることとされたいが基本的な事項は網羅できたかと思う。

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