こんにちは。
既設建物を調査する際に、建物全体の電力使用量のうち、どの程度空調設備で電力を使用しているか調べる必要があることがある。
特に国や市町村からの補助金を使用して空調機器を更新する際には、どの程度省エネとなるか等を計算する必要がある。
建物内に設置されている自動制御設備が充実している場合は、直接空調機器の電力使用量を算出することもできる。
しかし、ほとんどの建物では、建物全体の電力使用量くらいしかわからないことも少なくない。
今回は、建物全体の電力使用量から空調設備分の電力使用量を類推する方法を紹介する。
左図に建物の電力使用量のイメージを示す。
一般的な建物の場合、建物の電力使用量は夏期もしくは冬期にピークを迎えることが多い。
電力使用量は主に「空調」「換気」「衛生設備」「照明」「昇降機」「その他(コンセント、弱電等」に分類される。
空調は室内の熱負荷に比例して電力使用量が変動する。
その他の電力使用量は年間を通じて、ある程度一定である。
先ほどのグラフを「空調」と「空調以外」に分類すると左図の通りとなる。
つまり、「空調」と「空調以外」の割合さえわかれば空調に係る電力使用量を類推することが可能だ。
「空調」と「空調以外」の割合
省エネ法に準じる方法
「省エネルギー基準に準拠した算定・判断の方法および解説」では、省エネ法上の地域別、建物用途別の一次エネルギー消費量割合の基準値が記載されている。
建物がオール電化の場合、一次エネルギー消費量を電力使用量と読み替えることができる。
結果、省エネ法に記載の割合から「空調」と「空調以外」の割合を確認することが可能だ。
一般社団法人省エネルギーセンターの値を利用する方法
オフィスに関してであれば、省エネルギーセンターが紹介している割合を使用する方法も考えられる。
左図の例でいえば、全体のエネルギー使用量のうち「空調」の割合は43%であると想定される。
環境省 ZEB PORTALを使用する方法
下図に示すとおり、ZEB PORTALで紹介されている割合を使用する方法も考えられる。
ZEB PORTALでは建物の用途別のエネルギー使用量が公開されている。
まとめ
今回は、建物全体の電力使用量から空調設備分の電力使用量を類推する方法を紹介した。
空調設備分の電力使用量を普段なかなか計算することはないかもしれない。
しかし、空調設備設計者として多くの引き出しをあらかじめ持っておくことで、初めて直面した問題に対しても、対応できるようになる。
そのため、覚えておいても損はないだろう。
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