ホーム > 機械設備一般 寒冷地の設計 配管の凍結 -パンクに注意- 2023.12.09 こんにちは。普段なかなか寒冷地の設計を行う方がよくやりがちなミス。それは配管の凍結を考えずに設計してしまうことだ。配管は凍結すると最終的には配管に亀裂が入り水漏れを起こす。だがなぜ配管が凍結すると配管が破裂するのかがわからない方も多いだろう。今回は配管が凍結すると配管が破裂する理由を紹介する。 コンテンツ 配管がパンクするとは配管が凍結するとパンクする理由配管を凍結させないために凍結深度以深に配管を計画水廻りがある室に電気ヒーターを設置凍結防止ヒーターを設置まとめ 配管がパンクするとは 配管がパンクするとよく聞くことが多い。パンクとは配管が破裂することを示す。配管は通常穴は開いておらず、その配管の中を水が通ることで給水や給湯、冷水温水の循環等を行っている。配管が破裂すると破裂部分から水が漏れ出す。また給水や給湯の圧力の低下にもつながる。 配管が凍結するとパンクする理由 配管が凍結するとパンクする理由は水と氷の密度が影響している。基本的に配管内を通る水の密度は氷よりも大きい。つまり水から氷に状態変化すると必要な体積が大きくなる。 必要な体積が大きくなるということは、普段よりも配管への圧力が大きくなるということだ。また配管自体は温度が下がるほど収縮する。水から氷への状態変化により必要な体積が増える一方で配管自体は温度低下により収縮する。つまり配管にかなりの圧力がかかることは想像しやすいだろう。やがて配管が圧力に耐えられなくなり配管が破裂する。 配管を凍結させないために 配管を凍結させない方法はいくつかある。 凍結深度以深に配管を計画 地中内の温度は年間を通じて比較的15℃から20℃程度で安定している。但し地面から比較的浅い部分は外界の気象条件により温度が乱れる。そのため配管自体を凍結深度以深に計画することで配管の凍結を防ぐことが可能だ。凍結深度は水道局や下水道局等のホームページや問い合わせることで確認することが可能だ。 水廻りがある室に電気ヒーターを設置 水廻りがある室に電気ヒーターを設置することも配管凍結に貢献する。寒冷地の設置での基本は極力外壁に面する部分に水廻りを設置しないことだ。だが計画上どうしても水廻りがある室を外壁面に配置せざるを得ない場合がある。そういったときは室内温度が0℃を下回らないように空調を導入することだ。ただ冷房時に空調は必要ないことが多いため手軽な電気ヒーターを設置することが多い。実際に北海道では多くの地域でトイレに電気ヒーターやラジエーターが導入される。詳細は以下の記事で紹介しているため参照されたい。 凍結防止として使用される電気ヒーターの役割を紹介こんにちは。寒冷地でよく見かける電気ヒーター。本当に様々なところで見かけることが多い。特に北海道では半ば当たり前のように電気ヒーターが導入されている。寒冷地にゆかりのない方からすれば何のため?となる。今回は凍結防止として使用される電気ヒータ... 凍結防止ヒーターを設置 計画上あまり望ましくないことだがどうしても配管を屋外露出で設置しなければならない場合がある。そんな時は凍結防止ヒーターを配管に巻き付け、配管が凍結しないように配慮する。設置イメージとしては以下のイメージだ。 出典:https://temco-eco.jp/save90_3/ まとめ 今回は配管が凍結すると配管が破裂する理由を紹介した。寒冷地の設計に慣れていないと些細なことでも配管が凍結してしまう。設計時や施工時には問題となることが少ないが、建物の運用を開始した後にトラブルになることも少なくない。そのため設計時点からしっかりと凍結しそうな部分をおさえておくことが重要だ。
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