排気フードと排気風量の算定方法 -電気熱源(厨房機器)についても紹介-

こんにちは。

建物が大規模になるほど建物内に飲食店を構えるケースが大きくなる。
飲食店が入る場合は、厨房が設置されることも多い。
厨房内では調理が行われ、排気フードを計画することも必然的に多くなる。

いざ設計を行うときに排気フードの計画方法がわからないと、計画がスムーズに進まない。

今回は排気フードと排気風量について計画方法を紹介する。

排気フードは主に火気を使用する厨房機器や蒸気が発生する厨房機器の直上に設置されることが多い。
具体的には排ガスや油、蒸気等が発生する厨房機器の上部に排気フードを設置する。
分かりやすい例だと左図の通り、コンロの上部に排気フードが設置される。
他にも身近な厨房機器だと洗浄機の上部に設置される。

排気フードの設置位置設置例
排ガスや油、蒸気が発生する厨房機器の上部コンロや洗浄機の上部

なお、オール電化の場合は排気フードの設置義務がない。
理由としては、オール電化の場合は燃焼空気が発生しないためだ。
(別途各地方自治体の火災予防条例により基準がある場合を除く)
但し、IHヒーター等を設置する場合は少なからず湯気が発生し、天井に水蒸気が溜まってしまう恐れがある。
水蒸気を確実に室外へ排出するためにも加熱源がある場合は排気フードを設置することが望ましい。

排気フードの種類

排気フードは排気フードの形状によりⅠ型フードとⅡ型フードに大別が可能だ。
また、Ⅰ型フードと同等とみなせるフードは、厨房機器が設置される天端から排気フードの高さを1.0m以上としたい場合に使用することとなる。

Ⅱ形フード

Ⅱ型フードはフード上部がくぼんだ形をしているフードを指す。
上部がくぼむことから火源周囲からh/2以上の大きさの排気フードとする必要がある。
つまり
h=0.8mであればB=0.4m
h=1.0mであればB=0.5m
となる。

Ⅰ形フード

Ⅰ形フードは真四角の形をした排気フードのことを指す。
Ⅱ形フードと比較すると排気フードの大きさを小さくすることがメリットだろう。

Ⅰ形フードと同等とみなせるフード

Ⅰ形フードと同等とみなせるフードはⅠ形フードよりもh寸法を大きく取りたい場合が該当する。
Ⅰ形フードよりも排気フード自体の大きさが大きくなる半面、h寸法は1.2mまで延長することができる。

排気風量の算定方法

建築設備設計基準によれば、厨房の排気風量は以下の方法で算定される。

種別排気風量の算定方法
ガス以下の計算結果の最大値
室内の換気回数 40回/h
排気フードの有効換気量(建築基準法)
排気フードの面風速(0.3m/s)から算出した換気量
電気排気フードの換気量の合計値

排気量の算定方法 -ガス-

室内の換気回数 40回/h

厨房内を十分に換気することで良好な状態を保つ必要がある。
室内の換気量は室面積[m2] x 天井高さ[m] x 40[回/h・m3]で求めることが可能だ。 

計算式
室内の換気量[m3/h] = 室面積[m2] x 天井高さ[m] x 40[回/h・m3]

排気フードの有効換気量(建築基準法)

建築基準法により排気フードの有効換気量を求める方法は大きく3種類に大別される。

換気上有効な換気扇のみを設ける場合

排気フードは設置せず換気扇のみを設ける場合は以下の式で換気量を算定する。
なお、排気フードの設置基準に外れた場合も以下の計算式で求めることとなる。

計算式
排気フードの有効換気量[m3/h] = 40 x K x Q

K:理論排ガス量[m3/kW・h] (0.93)
Q:厨房機器の燃料消費量[kW]

例えば、厨房機器の燃料消費量が合計で10kWの場合は380CMHの換気量が必要となる。

Ⅰ形フードを設置する場合

計算式
排気フードの有効換気量[m3/h] = 30 x K x Q

K:理論排ガス量[m3/kW・h] (0.93)
Q:厨房機器の燃料消費量[kW]

例えば、厨房機器の燃料消費量が合計で12kWの場合は340CMHの換気量が必要となる。

Ⅱ形フードを設置する場合

計算式
排気フードの有効換気量[m3/h] = 20 x K x Q

K:理論排ガス量[m3/kW・h] (0.93)
Q:厨房機器の燃料消費量[kW]

例えば、厨房機器の燃料消費量が合計で9kWの場合は170CMHの換気量が必要となる。

排気フードの面風速から算出した換気量

排気フードの面風速から算出した換気量は以下の通りとなる。

計算式
排気フードの有効換気量[m3/h] = 3,600[s/h] x v x A

v:フード部の面風速[m/s] (0.3)
A:フードの面積[m2]

例えば、排気フードの面積が1m2で面風速が0.3m/sの場合の必要換気量は1,080m3/hとなる。

排気量の算定方法 -電気-

厨房機器がオール電化の場合は火気使用に当たらない。
そのためガス熱源の場合に行っていたような様々な方法から計算する必要がないこととなる。
(各地方自治体の火災予防条例に特別記載がある場合を除く)
つまり、排気フードの面風速から算出する。

排気フードの面風速から算出した換気量

排気フードの面風速から算出した換気量は以下の通りとなる。

計算式
排気フードの有効換気量[m3/h] = 3,600[s/h] x v x A

v:フード部の面風速[m/s] (0.3)
A:フードの面積[m2]

例えば、排気フードの面積が0.54m2で面風速が0.3m/sの場合の必要換気量は590m3/hとなる。

まとめ

今回は排気フードと排気風量について計画方法を紹介した。
排気フード廻りの計算は大変複雑なであるため、少しずつマスターして頂ければと思う。

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