大便器の洗浄方式 -洗浄弁、洗浄タンク、専用洗浄弁の違いを紹介-

こんにちは。

大便器廻りの設計を行うと、よく聞きなれない単語である、洗浄弁や、洗浄タンク、専用洗浄弁をよく聞くことがある。
また、これらの用語についてご存じの方も、大便器の洗浄方式の違いによって、設計内容が変わることを理解されていない方もいる。

今回は、大便器の洗浄方式である、洗浄弁および洗浄タンク、専用洗浄弁の違いを紹介する。

洗浄弁、洗浄タンク、専用洗浄弁とは

洗浄弁

出典:TOTOホームページ

水道側から供給される水圧を利用して大便器を洗浄する方式を洗浄弁という。
洗浄弁はフラッシュバルブとも呼ばれる。
最大の特徴が、後述する洗浄タンクと比べ、何度でも連続して洗浄を行うことが可能であることだ。
そのため、不特定多数の施設や比較的トイレの使用頻度が高い施設に採用されることが多い。
デメリットとすれば必要な給水管の口径が大きくなることが挙げられる。

洗浄タンク

出典:TOTOホームページ

大便器背面にタンクを抱え、タンク内の水を利用して大便器を洗浄する方式を洗浄タンクという。
水道管からタンクへ供給が行われ、タンク内へ充水される。
その構造から、タンク内の水が空となった場合は、タンク内へ水を充水するために時間がかかる。
洗浄弁と比較すると連続して洗浄することができない一方で、給水管径を小さくすることができることがメリットだ。

専用洗浄弁

出典:TOTOホームページ

タンクやフラッシュバルブなしに洗浄する方式を専用洗浄弁という。
専用洗浄弁はタンクレストイレとも呼ばれる。
また、TOTOのフラッシュタンクも専用洗浄弁に分類される。
特殊な洗浄方式により、フラッシュバルブの特徴である、連続洗浄可能な点を活かしかつ、洗浄水量を小さくすることが可能である。
現在では家庭用のみならず、様々な建物で見かけることが多く、一般的に採用されることが多い種類の大便器だ。

洗浄方式とJIS記号、給水負荷単位

下表に洗浄方式とJIS記号、給水負荷単位を紹介する。
各洗浄方式によって給水負荷単位が大きく変わることが特徴だ。
また、官庁案件であれば基本的にJIS記号に該当する品番しか使用することができないため、注意が必要だ。

洗浄方式使用水量給水負荷単位JIS記号
洗浄弁Ⅰ型 8.5L/回以下8単位C710R,C730R,C1810R
Ⅱ型 6.5L/回以下6単位C710S,C730S,C1610S
洗浄タンクⅠ型 8.5L/回以下4単位C1200R,C1201R
Ⅱ型 6.5L/回以下3単位C1200S,C1201S
専用洗浄弁5.5L/回を超え6.5L/回以下4単位C810S,C830S
5.5L/回以下3単位

給水負荷単位が与える影響

給水負荷単位が大きいほど必要な給水量も大きくなる。
つまり、給水ポンプの能力が上がることと同時に、給水管径も大きくなることが特徴だ。

給水負荷単位が100の場合

例えば給水負荷単位が100の場合は、265L/minの能力を持った給水ポンプが必要となる。
(洗浄タンクを採用している場合や庁舎の場合は161L/minとなる。)

給水負荷単位が200の場合

例えば給水負荷単位が200の場合は、353L/minの能力を持った給水ポンプが必要となる。
(洗浄タンクを採用している場合や庁舎の場合は254L/minとなる。)

まとめ

今回は、大便器の洗浄方式である、洗浄弁および洗浄タンク、専用洗浄弁の違いを紹介した。
洗浄方式によって給水計画が大きく変わるため、都度確認を行って設計することが大切だ。

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