電気室の送風温度 -室内の湿度の観点から紹介-

こんにちは。

電気室内を空調機(エアハン)で行う場合において、どの程度の送風温度とすればよいか迷うことがある。
重要諸室である電気室の設計を間違えると後々取り返しのつかないことになる恐れすらある。

今回は電気室の送風温度について室内の湿度の観点から紹介する。

空調換気方式
機械換気方式
パッケージ方式
空調機方式

電気室の空調換気方式は大きく左図の3種類に大別される。

①機械換気方式

機械換気方式は給排気ファンによって換気で室内の熱を処理する方式だ。
夏期においても比較的外気温度が低い地域もしくは電気室内の発熱量が比較的小さい場合において採用されることが多い。

②パッケージ方式

パッケージ方式とはパッケージエアコンにより電気室内の空調を行う方式だ。
室内の発熱を空調で強制的に冷却する。
最近では比較的採用事例も多い方式だ。
空調機器の故障を踏まえバックアップ用の空調機器を追加で設置することも多い。

③空調機方式

空調機方式は空調機により電気室内の空調を行う方式だ。
空調機を使用するため、建物全体に熱源機器がないと採用ができない。
また、電気室内での漏水等を避けるため別途空調機械室を設けることが多い。

電気関係の機器側の温湿度条件

トランスの使用温湿度条件
温度-5℃ ~ 40℃
湿度45% ~ 85%
出典:富士電機テクニカ

富士電機テクニカで公開している情報によれば、左表のとおり温湿度に対しての制限が設けられている。
メーカーによって異なるため一概には言えないが一つの指標にはなるだろう。

湿度に下限を設けている理由は静電気が発生する可能性があることが挙げられる。
室内で静電気が発生すると、静電気は帯電が大きくなると火花を発生させる。
その火花が火災源となり、火事が発生する可能性がある。
一方で湿度が高くなると結露が発生する恐れがあるため、上限値を設けている。

なお、トランスの使用温湿度条件について空気線図で示すと下表の通りとなる。

空気線図の読み方に自信がない方は以下の記事も併せてご確認頂きたい。

空調を行う場合の設計室内温湿度

設計室内温湿度
温度30℃
湿度

出典:建築設備設計基準

建築設備設計基準によれば電気室内の空調を行う場合の設計室内温湿度は30℃程度とされている。
一方で湿度については言及がないため、前項で紹介した相対湿度45%~85%を担保できるように設計を行うこととなる。

空気線図で示すと下図の通りとなる。

電気室内のSHF

電気室内で発生する熱は機器からの発熱および構造体負荷や照明負荷等の顕熱のみだ。
そのため電気室内のSHFは1.0となる。
空気線図で示すと下図の通りとなる。

SHFがよくわからない方は以下の記事で紹介しているため、確認頂ければと思う。

電気室内の吹き出し温度

次に電気室内の吹き出し温度を紹介する。
前項よりSHF=1.0のため電気室内の空調機の吹き出しは19℃90%から29.5℃90%の間とする必要がある。
一方で電気室内の発生熱量を処理する必要があるため、吹き出し温度が30℃に近いほど必要な風量が大きくなる。
(以下に吹出温度が29℃の場合と20℃の場合の2パターンを計算したのでご確認頂ければと思う。)

空調機風量計算式
必要風量[CMH] = 発生熱量[kJ/h] ÷ (空気密度1.2 x 温度差[℃])
空調機風量計算例
計算例①必要風量[CMH] = 36,000[kJ/h] ÷ (1.2 x (30[℃]-29[℃]))=30,000[CMH]
計算例②必要風量[CMH] = 36,000[kJ/h] ÷ (1.2 x (30[℃]-20[℃]))=3,000[CMH]

風量が大きくなるほどダクトや空調機本体が大きくなるため、極力温度差を大きくして空調を行うことが理想だ。
そのため電気室内の空調機の吹き出しを20℃90%程度で行うことが多い。

まとめ

今回は電気室の送風温度について室内の湿度の観点から紹介した。
電気室は様々な空調方式があるため混乱を生じやすい。
だが、空気線図を正しく理解することで悩みを解決できることが多い。
以下の記事で空気線図について詳しく紹介しているため、確認頂ければと思う。

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