こんにちは。
熱源・空調配管を作図する際にヘッダー間のバイパス管を設けることがほとんどだ。
だがその意味を理解せずただただ記載している方も少なくない。
今回はヘッダー間に設けるバイパス管について必要な理由を紹介する。
ヘッダー間のバイパス管は大きく2か所に設けることが多い。
上図に熱源システム図を紹介する。
大きくは1次ヘッダー(往)と2次ヘッダー(往)の間に設けるバイパス管および1次ヘッダー(往)と1次ヘッダー(還)にバイパス管を設ける。
バイパス管の役割
1次ヘッダー(往)と2次ヘッダー(往)間のバイパス管の役割
1次ヘッダー(往)と2次ヘッダー(往)間のバイパス管の役割を紹介する。
通常二次ポンプは1次ヘッダー(往)と2次ヘッダー(往)の差圧よりポンプの回転数を制御する。
これを吐出圧制御という。
例えば2次ヘッダー(往)の圧力の方が1次ヘッダー(往)の圧力よりも高い場合はポンプの回転数を絞る。(二次側配管に圧力がかかりすぎているため)
また差圧が±0ではポンプが動いていないことと同じだ。
そのためある程度の圧力がかかるようにポンプの回転数と差圧の関係をあらかじめ設定する。(SP値)
左図にポンプ・空調機・ファンコイルユニット等の運転割合を示す。
例えば左図の場合は空調機が15%の運転を行っており、空調機に伴いポンプ1台が50%の運転を行っている。
例えば空調機の運転が15%から30%に増加した場合を確認する。
(空調機側の2方弁がより開になった状況)
するとポンプの送水量が変わらない限りは二次側配管内の圧力が低下する。
配管内の圧力を一定に保持するためポンプは運転の割合を自動的に変更する。
例えば二次側配管内の圧力を一定に保つためにポンプは50%運転から100%運転に変更される。
では先ほどの図からさらに空調機側の要求水量が減った場合はどうだろうか。
具体的には左図の場合を考えてみる。
空調機が15%運転から5%運転へ減少した場合だ。
2次ポンプの運転割合が変わらない限り二次配管内の圧力が上昇する。
二次側配管内の圧力を一定に維持するためにポンプの回転数を自動的に落とす。
但しポンプの回転数を絞ることにも限界がある。
通常は定格運転の30%程度といわれている。
つまり30%を下回る運転についてポンプはできない。
そのため上昇しすぎた二次側配管の圧力を一定に維持するためにはどこかに逃がしが必要だ。
そのために1次ヘッダー(往)と2次ヘッダー(往)間にバイパス管を設ける。
左図にバイパス管の制御イメージを追記した。
バイパス管の開閉はポンプが送水可能な最小流量以下になった場合に制御される。
バイパス管はあくまでも逃がしのために設けられる。
そのためポンプが送水する流れの方向とは逆方向の水の流れとなる。
1次ヘッダー(往)と1次ヘッダー(還)間のバイパス管の役割
次に1次ヘッダー(往)と1次ヘッダー(還)間のバイパス管の役割を紹介する。
前章よりポンプの運転が最小流量かつ1次ヘッダー(往)と2次ヘッダー(往)間のバイパス管に設置される二方弁が開である場合の水の流れを上図に示す。
バイパス管から水が逆流する。
つまり逆流した水はどこかをさらにどこかへ逃がす必要がある。
水を逃がすために1次ヘッダー(往)と2次ヘッダー(還)間にバイパス管が設けられる。
これが1次ヘッダー(往)と2次ヘッダー(往)間にバイパス管が設けられる理由の一つだ。
例えば熱源機側の流量とポンプ側の流量が異なるときにもバイパス管に水が流れる。
1次ポンプの流量が2次ポンプの流量よりも多い場合は1次ヘッダー(往)から1次ヘッダー(還)へ水の流れが発生する。
一方で1次ポンプの流量が2次ポンプの流量よりも少ない場合は1次ヘッダー(還)から1次ヘッダー(往)へ水の流れが発生する。
まとめ
今回はヘッダー間に設けるバイパス管について必要な理由を紹介した。
バイパス管があることで熱源システムが上手く機能することを認識いただければと思う。
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