空調用ヘッダー -ヘッダーの役割やサイズの計算方法を紹介-

こんにちは。

普段何気なく設計しているヘッダー。
それほど目立たないが故にヘッダーの計算方法がわからないという方も多い。
特にヘッダーは計算式がやや複雑だ。
そのため計算方法を見ただけで挫折する方も多いだろう。

今回はヘッダーの役割やサイズの計算方法を紹介する。

ヘッダーは簡単に言うと大きな配管だ。
主に複数個所からの配管を統合し複数個所へ冷温水を供給するプラットフォームのような役割をする。

出典:http://birumensetsubi.xyz/archives/24613067.html

ヘッダーは左の写真のようなイメージだ。
主にヘッダー上部へ配管が接続されることが多い。
またヘッダー下部には水抜き管を設ける。

ヘッダーの計算方法

ヘッダーの計算方法は公共建築設備工事(機械設備工事編)に記載されている。
以下に計算方法を紹介する。

配管の本数と径を確認

ヘッダーのサイズを選定するためには配管の本数と配管径を確認する必要がある。
ヘッダーの設置箇所によって接続される配管が変わる。
そのためヘッダー毎に確認を行う必要がある。

ヘッダーと配管の接続イメージを確認

左図にヘッダーと配管の接続イメージを紹介する。
配管の接続方法は配管端からの距離と配管と配管の離隔を考慮し決定する必要がある。

配管と配管の離隔を確認

下表に配管と配管の離隔距離を配管径別に紹介する。
下表より配管と配管の間の離隔を確認することが可能だ。
読み方を以下に紹介する。

【例1】150φと200φの離隔を確認する場合
・まず縦軸左側より150Aを探す。
・次に横軸上側より200Aを探す。
・150Aと200Aの交点500[mm]が配管と配管の離隔となる。

【例2】50φと100φの離隔を確認する場合
・まず縦軸左側より50Aを探す。
・次に横軸上側より100Aを探す。
・50Aと100Aの交点335[mm]が配管と配管の離隔となる。

なおここでの配管と配管の離隔は配管の芯と配管の芯の離隔を指す。

径[A]と
距離[mm]
20A 25A 32A 40A 50A 65A 80A 100A 125A 150A 200A 250A 300A
20A 190 200 215 250 260 270 280 285 300 320 365 380 390
25A 200 210 245 255 265 275 285 290 315 330 370 390 395
32A 215 245 220 260 270 280 290 300 320 340 375 400 400
40A 250 255 260 290 300 310 315 330 345 360 405 420 445
50A 260 265 270 300 305 315 320 335 355 370 415 430 450
65A 270 275 280 310 315 325 330 345 365 380 415 440 460
80A 280 285 290 315 320 330 335 355 370 390 440 445 465
100A 285 290 300 330 335 345 355 380 390 415 465 465 480
125A 300 315 320 345 355 365 370 390 400 425 475 475 500
150A 320 330 340 360 370 380 390 415 425 450 500 540 550
200A 365 370 375 405 415 415 440 465 475 500 550 550 575
250A 380 390 400 420 430 440 445 465 475 540 550 575 575
300A 390 395 400 445 450 460 465 480 500 550 575 575 600

圧力計や温度計の設置位置を確認

圧力計や温度計の設置ができるようにヘッダーの端300mm程度を確保しておけば十分だろう。
またこれらの計器類の配管径は32A等と想定し、前項の表から計器類と配管径間の離隔を求めることが可能だ。

ヘッダーの長さ計算へ水抜き管を考慮する必要はない

水抜き管の特性上、水抜き管はヘッダー下部へ設置される。
つまりヘッダー上部へ接続される配管のみを対象とし配管のヘッダー長さを算出することが可能だ。

ヘッダー径の寸法を確認

次にヘッダーの径を確認する必要がある。
ヘッダーの径はヘッダーへ接続される最大の配管径から2サイズアップした径となる。
ヘッダーへ接続される最大の配管径が50Aであれば80Aがヘッダー径となる。
またヘッダーへ接続される最大の配管径が100Aであれば150Aがヘッダー径となる。

計算例

以下に計算例を計2例紹介する。

計算例①

冷温水2次ヘッダー(往)のヘッダー計算イメージを示す。
配管a,b,c,dが配管出口側の配管だ。
また配管e,f,gが配管入り口側(冷温水2次ポンプが接続されている配管)となる。
配管hは吐出圧制御を行うためのバイパス管となる。
配管iとして予備用のタッピングを見込んだ。

結果ヘッダー長さは5,100mmLとなりヘッダー径は300φとなる。

計算例②

冷温水2次ヘッダー(還)のヘッダー計算イメージを示す。
配管a,bが配管入口側の配管だ。
また配管cが配管出口側の配管だ。
配管dとして予備用のタッピングを見込んだ。

結果ヘッダー長さは2,400mmLとなりヘッダー径は300φとなる。

まとめ

今回はヘッダーの役割やサイズの計算方法を紹介した。
本稿を参考にヘッダーの計算方法についてマスターして頂ければ幸いだ。

また計算例で使用したデータ(エクセル)のフォーマットはこちらで公開している。
興味がある方はご確認頂ければと思う。

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