沈砂槽の計算方法 -役割や計算方法を紹介-

こんにちは。

最近では雨水利用設備を建物に導入する事例が多い。
理由は節水やSDGs、CASBEE等様々だ。
雨水利用設備の導入にあたって沈砂槽や沈殿槽、雨水貯留槽等を設置する必要がある。
その中でも各水槽の容量の算定方法がわからない方も多い。

今回は沈砂槽の役割や計算方法を紹介する。

雨水利用設備の雨水処理フローは大きく3種類に大別される。
但しいずれの場合でも沈砂槽の設置は必要だ。
沈砂槽は雨水利用設備としての最初の雨水受け入れ用の水槽となる。

沈砂槽の役割

文字通りだが沈砂槽は比較的大きな粒子と雨水を分離するための水槽だ。
二次利用する雨水の清浄度を極力上昇させるために沈砂槽が用いられる。

沈砂槽の容量計算方法

本章では沈砂槽の容量について計算方法を紹介する。

沈砂槽有効容量の計算方法

「雨水利用・排水再利用設備計画基準・同解説(出典:国交省)」によれば、沈砂槽の有効容量は計画時間最大雨水集水量の1/60程度とする必要がある。
以下に計算式を紹介する。

沈砂槽の有効容量[m3]
計算式有効容量[m3] = 計画時間最大雨水集水量[m3/h] ÷ 60[min/h]

計画時間最大雨水集水量の計算方法

計画時間最大雨水集水量は以下の式で算出可能だ。

計画時間最大雨水集水量[m3/h]
計算式計画時間最大雨水集水量[m3/h] =
1時間最大降水量[mm/h] x 集水面積[m2] x 流出係数[-] ÷ 1,000[L/m3]
1時間最大降水量の算出方法

1時間最大降水量とは統計開始された1850年頃から現在に至るまでの間で、1時間当たりの降水量の最大値を示す。
理科年表を確認することで都道府県別の1時間最大降水量を確認することが可能だ。
以下に主要都市の1時間最大降水量を紹介する。

市町村1時間最大降水量
北海道50.2mm/h
仙台94.3mm/h
東京88.7mm/h
名古屋97.0mm/h
大阪77.5mm/h
福岡96.5mm/h
那覇110.5mm/h

集水面積の算出方法

集水面積とは雨水をどこから集水しているかの表面積を示す。
予め意匠担当と集水箇所とその範囲について事前に打ち合わせの上集水面積を決定する必要がある。
大きく以下の項目に分けて集水面積を算出する。

集水場所集水面積
屋根○○m2
道路○○m2
その他の不透面○○m2
水面○○m2
間地○○m2
芝、樹木の多い公園○○m2
勾配の緩い山地○○m2
勾配の急な山地○○m2

流出係数の算出方法

流出係数は前項で整理した集水場所別に設定されている。

集水場所流出係数
屋根0.85-0.95
道路0.80-0.90
その他の不透面0.75-0.85
水面1.00
間地0.10-0.30
芝、樹木の多い公園0.05-0.25
勾配の緩い山地0.20-0.40
勾配の急な山地0.40-0.60

計算例

前章までの内容を用いて実際に計算例を2例紹介する。

計算例①

計算条件
計画地東京
集水場所と面積、流出係数屋根1,000m20.90
間地1,000m20.20
計算例
1時間最大降雨量88.7mm/h
集水面積 x 流出係数屋根1,000m2 x 0.9 = 900m2
間地1,000m2 x 0.2 = 200m2
合計900m2 + 200m2 = 1,100m2
計画時間最大雨水集水量88.7mm/h x 1,100m2 = 97,570L = 97.57m3/h
沈砂槽有効容量97.57m3/h ÷ 60min/h = 1.62m3

計算例②

計算条件
計画地福岡
集水場所と面積、流出係数屋根5,000m20.90
道路1,000m20.85
計算例
1時間最大降雨量96.5mm/h
集水面積 x 流出係数屋根5,000m2 x 0.9 = 4,500m2
間地1,000m2 x 0.85 = 850m2
合計4,500m2 + 850m2 = 5,350m2
計画時間最大雨水集水量96.5mm/h x 5,350m2 = 516,275L = 516.28m3/h
沈砂槽有効容量516.28m3/h ÷ 60min/h = 8.60m3

まとめ

今回は沈砂槽の役割や計算方法を紹介した。
雨水利用設備は沈砂槽以外にも様々な水槽や機器がある。
そのため雨水利用設備全体のシステムを理解することも重要だ。
以下の記事では雨水利用設備全体のシステムについて紹介している。
そのため是非確認頂ければと思う。

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