階段室内に設ける放水口(連結送水管)


はい、こんにちは。
今まで設計をしていて連結送水管の放水口の位置を階段室内に設置するよう所轄消防より指導された経験はないだろうか。
消防法施行令29条(210918時点)では放水口の設置位置は『階段室、非常エレベーターの乗降ロビー、消防隊が、有効に消火活動ができる位置』と記載されている。
高層建物でない限りは基本的に非常用エレベーターが計画されていないことが多い。
そのためそういった中層の建物の場合は必然的に階段室に放水口を設置することとなる。
よくある失敗として放水口から半径50mで包含している位置に設ければいいだろうなどと解釈される方がいる。しかし実際には半径50m包含かつ消防隊が有効に消化活動ができる位置に設置が必要なので注意が必要だ。
今回はそんな連結送水管の放水口を設ける具体的な位置の紹介や放水口廻りの納まりイメージを紹介する。

放水口の位置

所轄消防による指導なない限りは通常3以上の階に放水口の設置が必要だ。
その放水口により半径50mで建物全体を包含するように計画する必要がある。
通常半径50mもあれば基本的に階段室に設置することで網羅できる可能性が高い。

放水口による警戒が足りない場合はその他の位置に放水口の設置が必要だが基本的には共用部(廊下)などに設置が望ましい。
冒頭でも述べたが基本的には階段室内への設置が必要だ。

階段室内の放水口の設置位置

階段室内に放水口を設けるわけだが3以上の階に必要なことを考えると踊場へは設けづらい。
また放水口からの吐出圧力の考え方がおかしなことになるため中間階への放水口の設置は要消防確認だ。

そのため階段室内のどこに放水口を設置するかというと各階の階段室と廊下やホールなどとの境界線付近ということになる。

放水口廻りの納まり

階段室内は竪穴区画になることから原則として壁に穴をあけたままにはできない。
一方で放水口を壁に埋め込み意匠的に配慮することが普通なので区画壁を放水口分一部埋め込むようにして計画する必要がある。

次に放水口の設ける高さだがFL+500~1,000mmの位置に設ける必要がある。
一方で福祉のまちづくり条例により設置義務が生じる手摺の高さと干渉することが往々にしてある。
そのため放水口を設ける場合は十分に留意して計画する必要がある。

放水口廻りの配管の納まりだが、放水口すぐ隣の室がDSやPSなどの設備スペースであれば特に配管スペースの計画に困ることはないだろう。
一方で階段室内に配管スペースを設けなければならない場合を考えてみる。
意匠的に配管を露出することは通常避けたいかと思われるため配管スペースとしてのふかしが必要なわけだがそのふかしは最低でも250mmは確保したいところだ。
(連結送水管を100Aとしたときに放水口へのエルボと1F天井などからの立ち上がり管用のエルボの2か所を加味すると250mmは有効で最低でも必要。)


またさらにこのスペースに放水口格納箱が奥行方向で230mmは別途確保としたい。

まとめ

今回は連結送水管の放水口について紹介した。
連結送水管は基本的に階段室内に設置する必要があることと放水口廻りの納まりに考慮する必要がある。
階段室の有効幅員が変わってしまうと建物全体の計画に影響を及ぼすため早めに放水口の位置や納まりを確認することをお勧めする。

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