【設備設計必須知識】水道料金試算 -計算方法を紹介- 2023.11.052023.11.12 こんにちは。主に雨水利用もしくは中水利用を行う際に必要となる計算。それは給水量による水道料金の試算だろう。そもそもどのように水道料金を計算すればよいのかがわからない方も多いだろう。今回は水道料金試算の方法を紹介する。 コンテンツ 1日あたりの使用水量を把握給水使用日数を確認1か月の使用水量を確認水道料金の確認呼び径基本料金従量料金給水料金試算計算例①計算例②まとめ 1日あたりの使用水量を把握 水道料金を計算するにあたって1日あたりの使用水量を把握する必要がある。1日あたりの使用水量は建物内の人数や厨房の有無などにより計算を行うことが可能だ。建築設備設計基準によれば事務所において1日1人あたりの使用水量は60L/日・人とされている。そのため事務所であれば従業員数よりある程度1日の使用水量を把握することが可能だ。(参考)具体的な計算方法は以下の記事で紹介しているため参照頂ければと思う。 【建築設備】1日の使用水量(上水・雑用水)の算定方法こんにちは。建物の設計を行う際に必ず必要な情報。その一つが1日の使用水量だ。使用水量を整理しないと給水管の引込口径や受水槽の方式の場合は受水槽容量の算定ができない。基本的な設備計画の基礎的な内容であるため必ず押さえておきたいポイントだ。今回... 給水使用日数を確認 1日あたりの給水量が把握できたら、次に給水の使用される日数を確認しよう。週末がお休みの事務所であれば1か月あたり約22日程度給水が使用されることとなる。学校であれば夏期休暇や冬期休暇があるため、そもそも給水が必要ない月があることになる。一方で商業施設等であれば基本的に毎日営業することも珍しくない。 1か月の使用水量を確認 1か月の使用水量は1日の使用水量 x 給水の使用日数で求めることが可能だ。1月から12月までの月別の使用水量を把握しよう。 1か月の使用水量[m3/月] 1日の使用水量[m3/日] x 給水使用日数[日/月] 水道料金の確認 次に建物のある地域の水道料金を確認しよう。「市町村名」と「水道料金」等でインターネットで検索すれば以下のような情報が見つけられるはずだ。 呼び径(メーター口径) 基本料金[円] 従量料金[円/m3] 1–5m3 6–10m3 11–20m3 21–30m3 31–50m3 51–100m3 101–200m3 201–1000m3 1001m3– 一般用 13 860円 0円 22円 128円 163円 202円 213円 298円 372円 404円 20 1170円 0円 22円 128円 163円 202円 213円 298円 372円 404円 25 1460円 0円 22円 128円 163円 202円 213円 298円 372円 404円 30 3435円 213円 298円 372円 404円 40 6865円 213円 298円 372円 404円 50 20720円 372円 404円 75 45623円 372円 404円 100 94568円 404円 呼び径 呼び径とは水道を引き込んでいる水道管の配管径のことを示す。水道の使用水量や計画を水道局と協議することで配管径が決められる。一般に配管径が大きくなるほど同じ使用水量でも水道料金が高くなる傾向にある。 基本料金 基本料金は水道本管から建物内に引き込む配管径によって決められる。配管径が大きいほど基本料金が高くなる傾向にある。また自治体にもよるが基本料金は使用水量によらず毎月一定の金額である。 従量料金 従量料金は実際に水をどの程度使用したかによってかかる金額である。水道本管からの配管引込径によって使用水量1m3あたりの従量料金の単価が変わることが多い。従量料金は以下の式で算定が可能だ。 従量料金[円/月]1か月の使用水量[m3/月] x 従量料金単価[円/m3] 給水料金試算 前項までで給水料金の計算方法を紹介した。だがこれだけだとまだ実際にどのように給水料金を計算したらいいかがいまいちピンと来ていない方も多いだろう。そこで以下に給水料金を試算したので参考にしていただければと思う。 計算例① 与条件 用途 事務所 従業員数 100人 1人当たりの使用水量 60L/人・日 営業日数 22日/月 配管引込径 40A 水道料金価格表 前項で紹介した価格表による 使用水量計算 1日の使用水量 60L/人・日 x 100人 = 6,000L/日 ⇒ 6m3/日 1か月の使用水量 6m3/日 x 22日/月 = 132m3/月 水道料金計算 項目 基本料金 引込径40Aより 6,865円/月 従量料金 40Aと101-200m3の交点より 298円/m3 132m3/月 x 298円/m3 = 39,336円/月 合計 6,865 + 39,336 = 46,201円/月 46,201円/月 x 12か月/年 = 554,412円/年 計算例② 与条件用途学校従業員数教師:50人生徒:250人1人当たりの使用水量85L/人・日営業日数22日/月(別途夏期、冬期、春季休業期間を計2か月と想定)配管引込径75A水道料金価格表前項で紹介した価格表による 使用水量計算1日の使用水量85L/人・日 x 300人 = 25,500L/日 ⇒ 25.5m3/日1か月の使用水量25.5m3/日 x 22日/月 = 561m3/月 水道料金計算 項目 基本料金 引込径75Aより 45,623円/月 従量料金 75Aと201-1,000m3の交点より 372円/m3 561m3/月 x 372円/m3 = 208,692円/月 合計 45,623 + 208,692 = 254,315円/月 254,315円/月 x 10か月/年 = 2,543,150円/年 まとめ 今回は水道料金試算の方法を紹介した。様々な文献や情報を駆使することで給水計算を試算することが可能だ。本稿をベースに様々な給水方式のメリットデメリットを整理頂ければと思う。特に最近ではBCP対策等で受水槽を使用することも多い。そういった災害面や費用面も含め各給水方式を総合的に評価し方式を決定頂ければと思う。実務では給水料金の計算のみならずポンプの選定や受水槽を設置する場合は受水槽の容量検討も行う必要がある。以下に受水槽とポンプの算定方法についてわかりやすく紹介しているので参考にしていただければと思う。 受水槽とポンプの算定方法こんにちは。近年ではBCPや災害時の対策といった観点から受水槽方式が用いられるケースが多い。特にわが国では地震をはじめとしたさまざまな自然災害が発生する。その際に少しでも事業を継続できるように水源を確保、あるいは帰宅困難者等を受け入れるため...
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