こんにちは。
建築設備業界に従事していると、よくデッドスペースという用語を耳にすることがある。
普段デッドスペースを耳にしない方からすれば、デッドスペースとは死んだスペース?などと思われるだろう。
その死んだスペースという表現で間違いはないのだが、いまいちどのようなスペースであるかが理解できない方も多い。
今回は、デッドスペースの意味とデッドスペースが発生しやすい箇所について紹介する。
デッドスペースとは
デッドスペースとは、使いようのない空間や、意図して、使用できないように壁等で囲んだ空間のことを指す。
物騒な表現に聞こえるかもしれないが、埋め殺しと表現することもある。
例えば、階段下の空間等の有効に活用できない空間や、配管を見えないようにするために、壁で囲まれた空間が該当する。
デッドスペースと床面積
デッドスペースは建築基準法上、床面積に参入される。
つまり、デッドスペースが多いほど、床面積の割に、使用できない面積が多いといったことにつながる。
したがって、限られた空間を有効に使うためには、デッドスペースを極力設けない方が望ましい。。
デッドスペースが結果として発生しやすい場所
デッドスペースが結果として発生しやすい場所は前項でも紹介したとおりだが、以下のとおりである。
サッシュ(窓)と方立廻り
サッシュと方立、内壁の位置がうまく噛み合わない場合に、デッドスペースが発生することが多い。
特に、面積調整を行う際に、要望面積の反映が絶対である場合には発生する。
(各室の要望面積をある程度自由に変更することが可能な場合は、発生しづらい現象である。)
階段下の空間
階段下の空間についても、比較的デッドスペースとなることが多い。
階段下は特に十分な高さを取ることができないことが理由である。
解消策としては、倉庫や物置とできるような空間づくりをすることや、その他、何かしらの用途を与えることで、デッドスペースをデッドスペースと見せないような、空間を作ることだろう。
その他
その他にも様々なデッドスペースがある。
また、インターネットで「デッドスペース」「建築」などと調べれば、デッドスペースの様々な活用法を検索できるため是非参考にされたい。
デッドスペースが必要な場所
結果として、デッドスペースが発生してしまう場所の他にも、主に設備的理由により、デッドスペースが必要な場所もある。
デッドスペースが必要な場所について以下に紹介する。
雨水たて管のスペース
左の写真は外樋の様子だが、例えば雨水のたて管を内樋(屋内にたて配管をせっちすること)としたい場合に、たて配管用のスペースを屋内に設置する必要がある。
内樋とすることで雨水配管を隠すことができるため、よりデザイン性の高い外観とすることができる。
ドレンたて管のスペース
エアコン(室内機)のドレン配管についても、建物内にたて管を設置する場合は、たて管用のスペースを設置する必要がある。
(外樋のように、屋外配管とする場合は、たて管用のスペースは不要)
集合住宅の排水管
集合住宅の場合、室内の要所に排水管用のデッドスペースを設置することが多い。
(左写真のPSと記載のある部分(厳密にはPSではなくデッドスペースである))
その他
樋やドレン管以外にも通気管や給水管、排水管など、様々な配管が必要となることがある。
建物の形状や用途等によって、デッドスペースが必要な位置が変わるため、都度確認を行いながら設計を進める必要がある。
デッドスペースとPSの違い
デッドスペースとPSの違いは、点検が可能なスペースがあるかどうかである。
デッドスペースの場合は、点検口を設けることはない。
そのため、点検を要する配管を計画する場合は、原則としてデッドスペース内の設置とすることはできない。
まとめ
今回は、デッドスペースの意味とデッドスペースが発生しやすい箇所について紹介した。
設計を行うと、平面断面上に様々なデッドスペースが生まれる。
そのデッドスペースをどのように計画の一部に溶け込ませるかが重要だろう。
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