年間熱負荷算定ツール

毎回設計業務を行っていて一番時間がかかることが、熱源システム廻りの比較表だ。
特に中央熱源でも何パターンも作成しなければならない上に個別熱源までまとめて複数パターンを作成しなければならない。
そのためには通常机上計算で年間熱負荷を積み上げる方法を用いたり、インターネットで気軽に使用できるHASP(テキスト形式なので難解ではあるが)を用いたり、はたまた人によってはThe BEST Programを使用している人もいる。

上記ソフトを使用可能な人は十分に検討が可能だと思うが、ソフトの使い方を知らない人やそもそも1週間という限られた期間で資料が作成できない人が多い。

だから日々残業まみれで深夜帰りが当たり前な生活となる。
そんな生活を少しでも手助けできればと思い今回第一弾ということで今回熱負荷計算ツールを作成してみた。
本ツールでは熱負荷計算を簡易的に行うことができ、熱源機算定やライフサイクルコストまで算出可能となっており、建物条件を入力するだけであっという間に熱源比較表に必要なデータの算出が可能。
(まだ作成したばかりなので今回は冷温水発生機1台の場合および2台の場合、個別パッケージ(電気)の場合の3パターンのみ)

まだまだ至らない点は多い上にまだ慣れないためにデータ容量が非常に重いが、試しに触ってみていただきその感想を頂けるだけでも筆者は大いに満足する。

ダウンロードはこちらから。

使い方 - 建物入力シート

まずはエクセルファイルを開いていただき、シート名「建物入力シート_要入力」を開いていただきたい。
建物入力シート内は以下のように表示されているかと思う。

上記シート内の黄色着色部分を基本的に触っていただければと思う。

①室名・・・任意名称で構わない。
②全熱交換器の有無・・・外気の処理方法を意味している。有無により熱源容量が大きく変わるため注意。なお熱交換効率は現状一律で60%とした。
③床面積・・・本面積を熱源負荷の原単位として用いるためある程度正確に入力されると熱源側の容量もある程度正確となる。
④冷房期間、暖房期間
冷房、暖房を行う期間を1~12で記載する。
ここでは特に中間期は設定していないため冷暖房期間外は熱源停止とする。
⑤空調時間
空調を行う時間を0~23で選択。
⑥空調曜日
少し注意だが、日曜日を1とし月曜日を2、火曜日を3といった形で入力を行う。
⑦空調条件(室内温湿度)
室内温湿度を厳しくするほど熱源容量が大きくなり、逆にクールビズのような環境にすると熱源容量が小さくなる。(厳密にはクールビズでは再熱の可能性があることから負荷が増える可能性があるが計算上は熱源容量を小さくすることとした。)
⑧人員種別
本項目はプルダウンから選択可能としている。
内容としては人員密度のパターンを時間別に設定している。
(詳細はシート「database」参照)
いわゆる緑本に沿って建物用途室用途ごとの人員スケジュールから選択が可能。

⑨外皮方位
外皮の包囲だが今回は東西南北の4方位から選択が可能な仕様とした。
⑨その他熱負荷
照明負荷や機器発熱負荷を見込むことが可能。

室について基本的な入力は以上。

気象条件 -weather-

気象条件を入力するシートが「weather」だ。
標準では東京_2020年の外気温湿度条件を添付している。
必要に応じてコピーペーストで対応可能。

年間熱負荷算出結果

わずかこれだけの入力で年間熱負荷の算出が可能だ。
熱負荷は以下の通り

年間熱負荷を降順図で自動で作成する。
また一番最初に記載した室名称毎の熱負荷の算出も可能だ。
添付の例では青が事務室赤が会議室で表示されている。
また緑が宿直室である。
最大負荷が冷房時で約5,500MJ/hであり熱負荷は約160W/m2、暖房時で約4,500MJ/hであり熱負荷は約130W/m2。
まあそんなものだと思うが結果に納得がいかない方は適宜補正をかけていただければと思う。

イニシャルコストおよびランニングコスト

上記のような形で60年分の電気代、ガス代および機器のイニシャルコストや修繕費、更新費まで算出が可能。
算出に当たり何点か注意
①パッケージの台数
シート「パッケージ」のC7列に記載の台数より台数を調整すること。
②ガス代と電気代単価
それぞれF6~F8およびG6~G8より任意の単価を入力すること。

上記2点を調整することで結果の算出に調整を行うことが可能。

最後に本エクセルは自動計算ではなく手動計算を標準としているため、入力後は必ず再計算を行うこと。

まとめ

以上簡単ではあったが熱負荷計算ツールの紹介を行った。
簡単な設定を行うだけで熱負荷の計算を行うことが可能だ。
まだまだ至らない点がたくさんあるかと思うが少しでも皆様の設計の補助になればと思う。

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