こんにちは。
普段設計をしていてあまり設計基準等でも触れられていない制気口ボックスの大きさについて悩んだことはないだろうか。
公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)には一応2種類の制気口ボックスサイズが記載されている。
だが実務においては2種類の制気口ボックスだけで足りるわけではない。
今回は制気口ボックスの大きさの決め方を紹介する。
(参考)制気口ボックスの役割をより詳しく知りたい方は以下の記事を参照頂きたい。
冒頭でも紹介したが一部のサイズにおいては公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)に制気口ボックスのサイズについて記載がある。
だが実際には様々な制気口のサイズがありその制気口のサイズに伴い制気口ボックスのサイズも選定しなおす必要がある。
以下にそれぞれ紹介する。
公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)
公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)ではシーリングディヒューザーの選定の際に以下の二種類の制気口ボックスを使用する例が紹介されている。
ネック径が200φ以下の場合 :W400×D400×h250
ネック径が200φを超える場合:W500×D500×h300
一般的な制気口ボックスサイズの決め方
次にその他のサイズについて制気口ボックスサイズの決め方を紹介する。
(基準が特にない以上設計者により考え方が異なるのでその点は注意いただきたい。)
左図に制気口ボックスのイメージ図を記す。
基本的には以下の方法で決めれば大きな問題となることはないだろう。
W = W’ + 150mm
D = D’ + 150mm
H = H’ + 150mm
ほとんどの場合制気口ボックスへの接続ダクトはフレキシブルダクト(丸ダクト)だ。
そのため先ほど紹介した計算式で事足りるはずだが矩形ダクトの場合は以下の通りとなる。
W = W’ + 150mm
D = D’ + 150mm と D” + 150mmの大きい方
H = H’ + 150mm
制気口ボックスによる減音量
建築設備設計基準にチャンバーボックスの減音量算出式が記載されているため以下の2ケースで減音量を試算する。
ケース1:チャンバーボックス寸法 350 x 350 x 350、出口断面積0.04m2の場合
ケース2:チャンバーボックス寸法 450 x 450 x 450、出口断面積0.04m2の場合
まずはケース1から試算する。
チャンバーボックス寸法 350 x 350 x 350、出口断面積0.04m2の場合
周波数 Hz | 63Hz | 125Hz | 250Hz | 500Hz | 1000Hz | 2000Hz | 4000Hz |
GW25mmの吸音率 | 0.02 | 0.03 | 0.22 | 0.69 | 0.91 | 0.96 | 0.99 |
吸音力 m2 | 0.0147 | 0.0221 | 0.1617 | 0.5072 | 0.6689 | 0.7056 | 0.7277 |
減音量 dB | 0.00 | 0.00 | 6.07 | 11.03 | 12.23 | 12.46 | 12.60 |
続いてケース2について試算を行う。
チャンバーボックス寸法 450 x 450 x 450、出口断面積0.04m2の場合
周波数 Hz | 63Hz | 125Hz | 250Hz | 500Hz | 1000Hz | 2000Hz | 4000Hz |
GW25mmの吸音率 | 0.02 | 0.03 | 0.22 | 0.69 | 0.91 | 0.96 | 0.99 |
吸音力 m2 | 0.0243 | 0.0365 | 0.2673 | 0.8384 | 1.1057 | 1.1664 | 1.2029 |
減音量 dB | 0.00 | 0.00 | 8.25 | 13.21 | 14.42 | 14.65 | 14.78 |
但し
消音チャンバーの吸音力[m2] = チャンバーボックス内の表面積[m2] x 吸音率
減音量[dB] = 10 x log10 ( 消音チャンバーの吸音力[m2] ÷ 出口断面積[m2])
消音ボックスが大きくなると減音量が大きくなることがわかる。
そのため室内騒音を気にする室であれば通常の制気口ボックスよりも大きな寸法とした方が望ましいだろう。
まとめ
今回は制気口ボックスの大きさの決め方を紹介した。
あくまでも制気口ボックスのサイズ選定は一例だ。
そのため、実務を踏まえてより現場に遭った制気口ボックスのサイズを考えていただければと思う。
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