こんにちは。
設計を始めて間もない方がよくやる失敗。
それはトイレからの衛生配管と梁が干渉しトイレの計画を再度行うといったことだろう。
なかなか計画段階では気づかないが故に現場に入ってから施工者側より指摘が入ることが多い。
現場段階での抜本的な変更は設計側の負担も大変なものでもある上に施工側にも大変な迷惑をかける。
そもそもなぜ設計段階で気づかないのかというと設計時点では建築構造設備含めての重ねた平面図を一切作成しないことにあるからだ。
本当は全ての図面を重ねて問題点をプロジェクト全体で早期発見・認識する必要がある。
そのためこれら不整合を撲滅するといった観点から最近ではBIMを活用する動きも出てきていることが実情だ。
(とはいえBIMが本格化するためにはまだまだ時間がかかる。)
今回は排水管と梁が干渉する際の解消方法について紹介する。
BIMについては以下の記事にて紹介しているので興味がある方はどうぞ。
排水管と梁が干渉している状況について紹介する。
小便器や大便器、洗面器等には排水管が取り付けられている。
例えばよく家庭にあるような床置きの大便器の場合を想像してみよう。
床置きの大便器の場合排水管は床を貫通して大便器に接続される。
床貫通の位置は大便器の設置位置に依存するため動かすことはできない。
床貫通部に梁を設けることはできないので床貫通部と梁の位置が平面的に干渉してはいけないこととなる。
これが排水管と梁が干渉している状況を示す。
排水管と梁の干渉を避ける方法
排水管と梁の干渉を避ける方法について紹介する。
排水管と梁の干渉を避けるために考え得る方法は以下の通りだ。
①大便器や小便器等の設置位置を見直す。
②梁の位置を調整する。
③床を上げる
上記の方法について順に紹介する。
①大便器や小便器等の設置位置調整
一つ目の方法は割と誰でも考えやすいだろう。
基本設計時レベルであれば比較的調整がしやすいかと思う。
根本的に梁の下に大便器や小便器が来ないように設置位置を調整すれば問題を解消することができるだろう。
②梁の位置調整
次は梁の位置を調整する方法だ。
特にトイレのレイアウトを原則的に動かせない場合に取るべき手段となる。
通常柱芯に対して梁の位置はちょうど真ん中に計画される。
その梁の位置を左右どちらかに動かして調整する方法だ。
但しこの方法は構造的な変更が必要となる。
そのため構造的に梁の位置調整が問題ないことを確認する必要がある。
③床を上げる
次に紹介する方法が床を上げる方法だろう。
床を上げることで梁と床の間に配管を通す空間を作る。
但しこの方法を行うことによりトイレとその他の場所で段差ができてしまう。
基本的に改修時の建物などに多い方法だ。
(参考)改修等排水管衛生器具からの排水管が納まらないときの解消方法については以下で紹介しているため併せて参考に頂ければと思う。
なぜ排水管と梁が干渉するのか
そもそもなぜ設計時に排水管と梁が干渉するのだろうか。
大規模になればなるほど排水管と梁が干渉するといったことが起こりやすい。
よく基本設計時等においてグリッドである程度各室のレイアウトを決めることが多いかと思う。
(ここでいうグリッドとは柱の通り芯を指している。)
ここで1グリッド分をトイレとすることが多いだろう。
(小規模の建物であれば1グリッド分も必要ないだろうが)
1グリッドということは四方が梁に囲まれた空間となる。
そんな中で何も考えずにその四方に小便器や大便器を設置すると各衛生陶器の真下に梁があるレイアウトが完成する。
トイレの1グリッドの取り方に問題があるのだろうかというとそういったわけでもない。
1グリッド分がトイレとなること自体は計画上なかなか避けようがないことと計画時から0.5グリッドx2とすること自体考えづらい。
つまり1グリッドの四方に小便器や大便器を置く前提となる。
そういった前提であるはずなのにもかかわらず衛生陶器設置位置に対して全く配慮されていないことが理由だ。
まとめ
今回は排水管と梁が干渉する際の解消方法について紹介した。
建築のレイアウト変更は結局のところ設備にまで影響がある。
そのためこういった問題を早期発見できるようになれば手戻りが少なくなるだろう。
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