こんにちは。
空調機を選定する際によくSHFといった言葉を耳にすることが多いかと思う。
初めて聞く方からすれば、英語の羅列だけでは意味がわからないだろう。
SHFは空調機を選定する上で非常に重要であり、これを間違えると、室内の湿度が目標値に到達しないといったこともありうる。
今回はSHFの意味や計算方法を紹介する。
SHFとはSensible Heat Factorの略であり、顕熱比を意味する。
顕熱比とは全熱に対する顕熱の比率を示す。
顕熱と潜熱
建物や室に発生する熱負荷は顕熱と潜熱で構成される。
顕熱
顕熱は単純に温度を上げたり、下げたりする際に発生する熱のことだ。
左図の例でいえば、火を使用して20℃から30℃へ昇温させれば10℃分の顕熱が発生したこととになる。
また、氷を使用して20℃から10℃へ減温させた時も10℃分の顕熱が発生する。
潜熱
潜熱とは水蒸気によって、発生させる熱のことだ。
例えば、左図のとおり、人の呼吸は水蒸気を含む。
そのため、人からは潜熱が発生している。
また、体内から発生している呼吸自体に熱を持っているため、同時に顕熱が発生する。
例として呼吸を挙げたが、実際には人の皮膚から汗が出たりする。
これも潜熱の一部となる。
顕熱と潜熱の仕分け
顕熱と潜熱の発生について、下表に示すとおり、熱負荷の種類ごとに整理した。
一般的に潜熱が発生する熱負荷は「人体負荷」と「外気負荷」となる。
熱負荷の種類 | 顕熱 | 潜熱 | ||||
構造体負荷 | 室内負荷 | 空調機負荷 | 熱源負荷 | ○ | – | |
ガラス面負荷 | ○ | – | ||||
室内発生負荷 | 照明負荷 | ○ | – | |||
人体負荷 | ○ | ○ | ||||
その他内部発熱負荷 | ○ | – | ||||
間欠空調による畜熱負荷 | ○ | – | ||||
送風機による負荷 | ○ | – | ||||
ダクトにおける負荷 | ○ | – | ||||
再熱負荷 | ○ | – | ||||
外気負荷 | ○ | ○ | ||||
ポンプによる負荷 | ○ | – | ||||
配管の負荷 | ○ | – | ||||
装置負荷 | ○ | – |
SHFの対象範囲
SHFは主に空調機の吹出温度を決定する際に使用される。
吹出温度に直接影響する対象は室内負荷のみであるため、室内負荷のみを対象としてSHFが計算される。
つまり、対象となる潜熱はほとんどのケースで人体負荷のみとなる。
顕熱と潜熱をもっと詳しく知るなら
SHFの計算式
前項までで紹介した内容を踏まえると、冒頭で紹介したSHFは下表のとおりに示すことも可能だ。
SHFの計算式 |
---|
SHF = 顕熱 ÷ 全熱 |
SHF = 人体負荷以外の室内負荷 ÷ 室内負荷 |
計算例
計算例①
顕熱が4,500W、潜熱が500Wの場合を考えてみる。
全熱は4,500+500=5,000Wとなる。
結果、SHFは0.90となる。
SHFの計算式 |
---|
SHF = 顕熱 ÷ 全熱 |
SHF = 顕熱 ÷ (顕熱+潜熱) |
SHF = 4,500W ÷ (4,500W + 500W) = 0.90 |
計算例②
顕熱が5,000W、潜熱が1,000Wの場合を考えてみる。
全熱は5,000+1,000=6,000Wとなる。
結果、SHFは0.83となる。
SHFの計算式 |
---|
SHF = 顕熱 ÷ 全熱 |
SHF = 顕熱 ÷ (顕熱+潜熱) |
SHF = 5,000W ÷ (5,000W + 1,000W) = 0.83 |
SHFが吹出温度に与える影響
まとめ
今回はSHFの意味や計算方法を紹介した。
SHFは空調設計の基礎的内容であるため是非習得されたい。
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