こんにちは。
主に雨水利用もしくは中水利用を行う際に必要となる計算。
それは給水量による水道料金の試算だろう。
そもそもどのように水道料金を計算すればよいのかがわからない方も多いだろう。
今回は水道料金試算の方法を紹介する。
水道料金を計算するにあたって1日あたりの使用水量を把握する必要がある。
1日あたりの使用水量は建物内の人数や厨房の有無などにより計算を行うことが可能だ。
建築設備設計基準によれば事務所において1日1人あたりの使用水量は60L/日・人とされている。
そのため事務所であれば従業員数よりある程度1日の使用水量を把握することが可能だ。
(参考)具体的な計算方法は以下の記事で紹介しているため参照頂ければと思う。
給水使用日数を確認
1日あたりの給水量が把握できたら、次に給水の使用される日数を確認しよう。
週末がお休みの事務所であれば1か月あたり約22日程度給水が使用されることとなる。
学校であれば夏期休暇や冬期休暇があるため、そもそも給水が必要ない月があることになる。
一方で商業施設等であれば基本的に毎日営業することも珍しくない。
1か月の使用水量を確認
1か月の使用水量は1日の使用水量 x 給水の使用日数で求めることが可能だ。
1月から12月までの月別の使用水量を把握しよう。
1か月の使用水量[m3/月] |
---|
1日の使用水量[m3/日] x 給水使用日数[日/月] |
水道料金の確認
次に建物のある地域の水道料金を確認しよう。
「市町村名」と「水道料金」等でインターネットで検索すれば以下のような情報が見つけられるはずだ。
呼び径 (メーター口径) | 基本料金 [円] | 従量料金[円/m3] | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 – 5m3 | 6 – 10m3 | 11 – 20m3 | 21 – 30m3 | 31 – 50m3 | 51 – 100m3 | 101 – 200m3 | 201 – 1000m3 | 1001m3 – | |||
一般用 | 13 | 860円 | 0円 | 22円 | 128円 | 163円 | 202円 | 213円 | 298円 | 372円 | 404円 |
20 | 1170円 | 0円 | 22円 | 128円 | 163円 | 202円 | 213円 | 298円 | 372円 | 404円 | |
25 | 1460円 | 0円 | 22円 | 128円 | 163円 | 202円 | 213円 | 298円 | 372円 | 404円 | |
30 | 3435円 | 213円 | 298円 | 372円 | 404円 | ||||||
40 | 6865円 | 213円 | 298円 | 372円 | 404円 | ||||||
50 | 20720円 | 372円 | 404円 | ||||||||
75 | 45623円 | 372円 | 404円 | ||||||||
100 | 94568円 | 404円 |
呼び径
呼び径とは水道を引き込んでいる水道管の配管径のことを示す。
水道の使用水量や計画を水道局と協議することで配管径が決められる。
一般に配管径が大きくなるほど同じ使用水量でも水道料金が高くなる傾向にある。
基本料金
基本料金は水道本管から建物内に引き込む配管径によって決められる。
配管径が大きいほど基本料金が高くなる傾向にある。
また自治体にもよるが基本料金は使用水量によらず毎月一定の金額である。
従量料金
従量料金は実際に水をどの程度使用したかによってかかる金額である。
水道本管からの配管引込径によって使用水量1m3あたりの従量料金の単価が変わることが多い。
従量料金は以下の式で算定が可能だ。
従量料金[円/月] |
---|
1か月の使用水量[m3/月] x 従量料金単価[円/m3] |
給水料金試算
前項までで給水料金の計算方法を紹介した。
だがこれだけだとまだ実際にどのように給水料金を計算したらいいかがいまいちピンと来ていない方も多いだろう。
そこで以下に給水料金を試算したので参考にしていただければと思う。
計算例①
与条件 | |
---|---|
用途 | 事務所 |
従業員数 | 100人 |
1人当たりの使用水量 | 60L/人・日 |
営業日数 | 22日/月 |
配管引込径 | 40A |
水道料金価格表 | 前項で紹介した価格表による |
使用水量計算 | |
---|---|
1日の使用水量 | 60L/人・日 x 100人 = 6,000L/日 ⇒ 6m3/日 |
1か月の使用水量 | 6m3/日 x 22日/月 = 132m3/月 |
水道料金計算 | ||
---|---|---|
項目 | 基本料金 | 引込径40Aより 6,865円/月 |
従量料金 | 40Aと101-200m3の交点より 298円/m3 132m3/月 x 298円/m3 = 39,336円/月 | |
合計 | 6,865 + 39,336 = 46,201円/月 | |
46,201円/月 x 12か月/年 = 554,412円/年 |
計算例②
与条件 | |
---|---|
用途 | 学校 |
従業員数 | 教師:50人 生徒:250人 |
1人当たりの使用水量 | 85L/人・日 |
営業日数 | 22日/月 (別途夏期、冬期、春季休業期間を計2か月と想定) |
配管引込径 | 75A |
水道料金価格表 | 前項で紹介した価格表による |
使用水量計算 | |
---|---|
1日の使用水量 | 85L/人・日 x 300人 = 25,500L/日 ⇒ 25.5m3/日 |
1か月の使用水量 | 25.5m3/日 x 22日/月 = 561m3/月 |
水道料金計算 | ||
---|---|---|
項目 | 基本料金 | 引込径75Aより 45,623円/月 |
従量料金 | 75Aと201-1,000m3の交点より 372円/m3 561m3/月 x 372円/m3 = 208,692円/月 | |
合計 | 45,623 + 208,692 = 254,315円/月 | |
254,315円/月 x 10か月/年 = 2,543,150円/年 |
まとめ
今回は水道料金試算の方法を紹介した。
様々な文献や情報を駆使することで給水計算を試算することが可能だ。
本稿をベースに様々な給水方式のメリットデメリットを整理頂ければと思う。
特に最近ではBCP対策等で受水槽を使用することも多い。
そういった災害面や費用面も含め各給水方式を総合的に評価し方式を決定頂ければと思う。
実務では給水料金の計算のみならずポンプの選定や受水槽を設置する場合は受水槽の容量検討も行う必要がある。
以下に受水槽とポンプの算定方法についてわかりやすく紹介しているので参考にしていただければと思う。
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