こんにちは。
最近ではパッケージエアコンの性能も上がっていることもあり中央熱源が用いられないケースも増えてきた。
そんな中空調設備としてパッケージエアコンの採用事例も増えつつある。
但しただ闇雲に室外機を適宜設置しているといざ運用を開始した時に室外機周辺でショートサーキットが起こることも少なくない。
今回はショートサーキットの観点から室外機設置位置の留意点を紹介する。
ショートサーキットとは室外機から出た排熱を同じ室外機、もしくは付近に設置されている室外機が吸い込んでしまうことをいう。
例えば夏期であればショートサーキットが発生することにより室外機の吸込温度が上昇する。
室外機の吸込み温度が上昇すると室外機の性能がより悪くなる(冷房できなくなる)といったことが発生する。
室外機内部では空気と冷媒の熱交換を行う。
冷房を行う場合でいえば冷媒を冷やし冷房を行う。
冷たい冷媒を作るためには少しでも冷たい空気が必要だ。
冷たい空気と温かい冷媒が熱交換することで暖かい空気と冷たい冷媒が精製される。
そんな中冷たいはずの空気の温度が上昇したら何が起こるだろうか。
少し極端だが温かい空気と温かい冷媒が熱交換しても温かい空気と温かい冷媒のままだ。
結果建物内の冷房ができないことにつながる。
ショートサーキットが発生するということは夏期には冷房ができず冬期には暖房ができないといった問題が発生するということだ。
室外機の設置を避けるべき場所
例えばドライエリアに室外機を何台も設置する場合はショートサーキットに気を付けた方がよい。
ドライエリアは4方向が壁に囲まれている特性上室外機の排熱が逃げるスペースがないからだ。
屋上に設置する場合にも考慮すべき点がある。
屋上の同一の位置に多くの室外機を並べて設置する場合だ。
台数が多ければ多いほど中央にある室外機は他の室外機からの排熱を吸い込みやすくなる。
少し特殊な例かもしれないが軒に壁掛けで室外機を設置する場合も気を付けた方がよいだろう。
温かい空気は他の空気と比べて軽いため軒に暖かい空気が滞留してしまう。
すると徐々に室外機自身も温かい空気を取り込む可能性があるからだ。
ショートサーキットに対する対策
最初に考えられる方法が室外機の設置位置を見直すことだ。
室外機の設置位置を見直すだけでショートサーキットを解消できる場合が多い。
ただ設計の後半や既に建物が建っている場合等、構造計算を変えられない状況の場合はこの方法が取れないことも少なくない。
家庭用ではないある程度冷房暖房能力が大きい業務用の室外機は軽く100kgを超える。
そのため構造に影響を与える変更となる可能性があるからだ。
続いて考えられる方法が室外機に風向板等を設けることだろう。
例えば室外機の吸込み部分にダクトのようなものを設ける。
ダクトにより強制的に空気を吸い込む位置を変更するといった方法だ。
他にも室外機からの空気吐出部分に同じくダクトのようなものを設けることで
室外機からの排熱の位置を操作することが可能だ。
これらの方法は基本的にメーカー附属品で行うことが多いだろう。
というのもダクトのようなものを設ける時点で室外機が持っているファンの静圧に影響を与えるからだ。
極端な例だがダクトの延長が100mあった場合、室外機の空気が問題なく排熱されるだろうか。
ダクトのサイズ次第でもあるが規定の風量を満足させることはできないだろう。
まとめ
今回はショートサーキットの観点から室外機設置位置の留意点を紹介した。
ショートサーキットが起こると発覚した時点で大きな変更を迫られることになる。
そのため設計の初期段階からショートサーキットに対する認識があるとよりスムーズに設計業務を進めることができるだろう。
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