【設備設計者必見】排水口に網が必須な理由

こんにちは。

現在はパプアニューギニアに住んでいるがパプアではまだ細かな技術までは及んでいないこともあってかかなり細かいところの建築がいろいろとずさんだったりもする。
どこの国の方が設計したのかはわかりかねる部分があるが、少なくとも現地の方が実際に建物を施工するわけでその設計方法や施工方法が日本でいう常識が常識ではないことも多々ある。
とはいえ日本における建築基準法や建築設備設計基準については先人の方々が代々様々な失敗をしてきたからこそその失敗をしないようという願いが込められている。
だからこそある種日本の常識というのはある程度どの国にも持ち込んでもよいと考えている。
例えば今回紹介する排水口が詰まる理由についても同じだ。
ある程度日本の常識にて設計施工までできていれば排水が詰まらなかったのかもしれない。
と思いながら今回は実際に問題となった排水が詰まった経緯とその予防策について紹介する。

排水口が詰まった室の概要

今回対象とする室はこちらだ。
水廻りが室内にたくさんある室だ。
洗面器やトイレ、床排水口、またこちらの写真からは確認できないが左手奥にバスタブがある。

こちらが洗面器だ。
私物がたくさん移っているがごくごく一般的な洗面器。

洗面器下部を覗き込んだ写真だ。
洗面器下部にはトラップが設置されている。

続いてこちらがバスタブだ。

こちらが今回詰まっていた床排水口だ。
BOX上の入れ物手前側に写っているものが排水口をきれいにするために使用した靴下。
BOX上の入れ物奥側に写っているものが髪の毛の山だ。
この髪の毛の山が個の排水口に詰まっていた。

こちらが髪の毛排除後の排水口。
髪の毛を取り除いた際にぼこぼこと音を鳴らしながら排水が流れるようになったためこちらの写真が正常な状態だ。

各種平面イメージ図

こちらが現在住んでいる我が家の見取り図。
パプアでは普通なのかどうかがよくわからない部分もあるが1Fには洗濯機用の室が1室あるくらいで基本的には2Fにしか部屋がない。
(虫対策や床下の湿気対策だろうか)
また日本でいう3LDKの間取りとなっている。
便所とシャワーは同室内に計画されている。
なお前項で紹介した写真は上記平面図内のSanitaryにあたる。

続いて排水設備イメージ図を添付する。
わかる方はこれを確認されただけでかなり不思議な排水設備図に見えるだろう。
細かな部分は後ほど順に紹介する。
なおキッチンの流しの排水も記載しているが今回紹介の内容とは直接関係ない。

今回排水が詰まった症状

基本的には普段普通に使用している場合には特段問題がなかった。
ある特定の状況において排水口から排水が逆流し問題解決にあたることとなった。

そのある特定の状況とはバスタブにお湯をためた後にまとめてバスタブ内の排水を一気に流すときに排水口から逆流した。

原因

排水口が詰まった原因は以下の通りだと想定される。
①二重トラップ
トラップは排水管内に潜む害虫が建物内に侵入してくることを防ぐために存在する。
とはいえトラップを設けるほどそこで水の流れが止まってしまうため必然的に排水の流れが悪くなる。
今回の場合だとバスタブ以外については衛生器具の部分でトラップが設けられておりなおも排水口でも排水トラップが設けられている。
そのため排水の流れが悪くなっていることがあげられる。
(バスタブの排水トラップの有無については確認ができなかったため排水トラップ無と一旦記載した。)
そのため本来であれば洗面からの排水とバスタブからの排水について床上掃除口よりも下流側に計画すれば二重トラップとはならずに済んだ。
(バスタブの排水については横引主管合流前に配管トラップを組むか単独で排水として排水桝にてトラップを組む必要がある。)

②床上掃除口が排水桝の役割をしている。
先ほどの①でも既に話題には上げたがそもそも床上掃除口へ排水を接続していることがかなり不思議な配管計画となっている。
床上掃除口は枝管に設置するべきである。

③排水口に網がない
今回の明らかな原因はこちら。
なんとこの建物の排水口には1か所にも排水口に網が張られていない。
そのため何でもかんでも排水管に水が流れてしまい排水管の詰まりの原因を引き起こしている。
必ず網を設けることが排水管を守るためにもとても大切だ。

④余談:通気管がない
余談だがこちらの建物には2F床下レベルには通気がない。
通気がないと封水切れを起こしてしまうため本来は通気管があるべきである。
(今のところトラブルにはなっていないが)

まとめ

今回は排水の詰まりについて紹介した。
もちろんトラブルになる要因は様々であるが、特に給排水設備については必要なところに必要な設備を設け要点を押さえたうえで計画することが大切だ。
特に建物が運用されてからトラブルになることを避けるためにも購読されている方々の案件においても丁寧に計画していただければと思う。

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