特定建築物に関するビル管法の動向

こんにちは。

一般的な建築物(特定建築物)の場合は延べ面積3,000m2以上、学校については延べ面積8,000m2からビル管法の順守が求められる場合が多い。
大規模な建物を計画する場合には設計段階から地方自治体の保健所と建物の計画について事前協議を行う。
ある程度の件数の設計を経験していればある程度ビル管法順守のポイントを心得ることができるが、日本の近年の動向によりビル管法による指導事項も変わりつつある。

今回は、東京都健康安全研究センターから学ぶビル管法の動向について紹介する。

東京都健康安全研究センターとは

東京都には東京都健康安全研究センターがあり、延べ面積10,000m²を超える建築物については、地方自治体の保健所ではなく、同センター建築物監視指導課とビル管法に関する事前協議を行う必要がある。
同課は、都内の「特定建築物」と呼ばれる、不特定多数が利用する大規模建築物の環境衛生に関する監視・指導・検査を担っている。
担当範囲には、空調・給水・排水など建築設備の衛生管理、法令・基準への適合状況の確認、必要な届出・報告の監督などが含まれる。

東京都健康安全研究センターによる講習会

東京都健康安全研究センターでは定期的に講習会も行っている。
近年の日本の動向を踏まえた空調・給排水設備を中心にビル衛生管理の重要ポイントと実際の不適事例をまとめた講習である。
テキストはインターネットで無料公開されている。
こちらからダウンロードいただければと思う。

近年のビル管法の動向

近年のビル管法の動向の概要

令和7年度の講習会の内容は主に空調設備では、外気量の不足やCO2センサーの誤作動、個別空調の換気不足、加湿不足が挙げられた。また、衛生設備ではクロスコネクションやコロナ渦による水使用量の低減に伴う水質悪化が挙げられた。

空調設備
その1 外気量の不足・CO2センサーの誤作動
その2 個別空調の換気不足、加湿不足
衛生設備
その1 クロスコネクション
その2 コロナ渦による水使用量の低減に伴う水質悪化

外気量の不足・CO2センサーの誤作動

以前こちらの記事でも紹介したが外気のCO2濃度は年々上昇傾向にある。
東京都のビル管法指針では25m3/h・人以上の外気導入が求められているが、実際には25~36m3/h・人の外気量が必要とのことである。
とくに在室率の高い学校やコールセンターでは注意が必要とされている。

出典:東京都健康安全研究センター

また、最近の設計ではCO2センサーを設置して外気量を制御する方式が一般に用いられつつあるが、CO2センサーの定期的な校正が不十分であるがゆえに、CO2センサーの表示値と実態値に乖離が生じていることが顕在化している。
CO2センサーの表示値が実態との異なることにより、本来正しく制御されているはずの外気量制御がうまく機能しないことが指摘されている。
また、この表示値には、複数の室の還気が合流した位置にCO2センサーが設置されていることも挙げられており、CO2濃度を正しく計測できていないことも挙げられている。

個別空調の換気不足、加湿不足

出典:東京都健康安全研究センター

次に、室内機を介して室内に供給する方法による換気不足や加湿不足が挙げられる。
これは室内機自体が停止した際に、外気が室内に導入されないことが理由である。
また、同様の理由により加湿を適切に行うことができない。
これらを回避するためには、室内機に接続せずに単独で外気を導入可能なシステム構成とすることが望ましい。

クロスコネクション

出典:東京都健康安全研究センター

クロスコネクション自体は以前から指摘が多い。
例えば、空調配管と衛生配管(補給水)が直接接続されることによるクロスコネクションが挙げられる。
その他にも、上水配管と井水配管や雑用水配管が直接接続されるクロスコネクションも想定される。
現在では各配管の誤接続防止のため配管種別を分けることが一般的だが、今後も同様の指導がさらに強化されるものと思われる。

コロナ渦による水使用量の低減に伴う水質悪化

出典:東京都健康安全研究センター

コロナ渦によりロックダウンをはじめ、コロナ後においても在宅勤務が大きく普及した。
これに伴い、一日の水使用量が大きく減少した。
したがって、受水槽内で上水が滞留する時間が増え、結果として水質が悪化したことが挙げられる。
近年ではボールタップや電極棒ではなく推移を1mm単位で制御可能なシステムが存在する。
こういったシステムを採用することで今後の建物のニーズに合った水位制御を行うことができるだろう。

まとめ

今回は、東京都健康安全研究センターから学ぶビル管法の動向について紹介した。
東京都健康安全研究センター開催の講習は毎年実施されているので、直近の動向を把握することで、手戻りの少ない設計を行うことができるだろう。

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